表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘士クーガ  作者: 狂狗
半生霊クーガ
13/49

 「貴方の住んでいた世界は、既に無くなりました」


 ……は? 世界が、無くなった?

 思考が止まった、閻魔様の言った言葉が理解できなかった。世界が無くなったとはどういう事か、閻魔様が何を告げたのか解らない。いや、解ろうとしていないのか。淡々とした口調で説明は続けられた。

 「貴方が殺めた存在、その人は貴方の世界の神だったんですよ。貴方のいた世界は、もう何時がたが来てもおかしくない、そんな状態でした。その状態で楔でもある神が死ねば、世界はバラバラになって消えてしまいます。言ってしまえば、神を殺した貴方が世界を壊した事になりますね」

 その言葉に、体が固まった。その原因に、思考が凍った。その事実に、心が止まった。現状がやっと理解できたオレは何も言えなかった。嘘だと思いたかったが、閻魔様はそのような素振りはちらとも見せず、こちらを見つめている。

 一体どれの事だ? 今までオレはたくさんの命を葬ってきた、たとえその理由が正義だとしても、オレは地獄へ落ちるのではないかと考えていた。しかし、こんな状況は考えた事もなかった。オレのせいで世界が壊れるなんて。オレの世界は既に無い、オレの世界はオレが壊した。そんな訳あるか、何の冗談だ、これは夢か。

 混乱の最中、声が聞こえた。


 「そう気にせんといておくんなはれ、クーガはん」


 思考が今までと違う意味で固まった。背後からとても聞き覚えのある声が聞こえた、そして何か固い物で軽く肩を叩かれた。声を聞いただけでそいつが誰かわかった。ああそうだとも、この変な喋り方といいよく覚えている、忘れようがない。理由は解らないが、何故だか心の奥底に喜びと怒りが湧き出して来た。それと同時に大きな混乱がオレの思考を乱し、感情に任せるがまま、オレは振り向きざまに背後にいるそいつに向かって叫んだ。

 「邪竜かよ!」

 その言葉に対して、邪竜は困った顔をしていた。どう反応するか悩んだらしい。

 ……オレ、なんか間違えた。邪竜かよ! って何だよその言いかた、普通こんな感じのシーンなら、感動の再会かなんかだろ。いかん、やり直したい。うっかり突っ込んでしまった。

 「いきなりなんや」

 オレの間違った突っ込みに対して、とりあえずと言った感じで、冷静な突っ込みを返された、間違いない邪竜だ。何処からどう見ても邪竜だ、誰が何と言おうと邪竜だ、三百六十度の何処から見ても邪竜で間違いない。相変わらず角はキラキラで体は真っ黒、爪はやっぱり長くてでかい。とりあえず邪竜が目の前にいる訳だが、思考は余計に混乱したままである。もうわけわかめと言いたい状況だコノヤロー。混乱しすぎたオレは、気づけば思いついたままの言葉を叫んでいた。

 「何でここにいるんだよ、つーかそんな爪で人の肩を叩くな!」

 「ワイも死んだからに決まってるやないか、あとワイの爪は何も切れやせんで!」

 「そんなナリで切れねぇのかよ! あといつの間に後ろに立った!?」

 「切れんモンは切れへん! 忍び足で後ろに立ったのは今さっきや!」

 「やっぱりお前なんか邪竜じゃねぇ!」

 「せやから邪竜とちゃうってゆーとるやろ!?」

 ……一通り言いたい事は言い終わった。気づいたら立ち上がって叫んでたよ、どれだけはっちゃけてるんだよ、オレ。喜んでるのか怒ってるのか、自分でもわからねぇ。

 “そうだね、そろそろ冷静になろうか”

 あーはいはい、お前に言われるまでもないよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ