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次の話が始まりました。
オレの名前は久我 朱彦、クーガ・グリムゾンと呼んでくれ。
オレはとある世界で勇者をやっていた。
あの金色のピアスをつけた瞬間にオレの運命は決まった、神の声を聞くことの出来るオレは勇者となり、ウィクトリア姫を助けるため、とうとう邪竜ファヴニルを倒した。
……それはいい、その内容が問題なんだ。
オレが倒すべき敵、邪竜ファヴニル。こいつ京都弁と大阪弁を混ぜたような……とにかく変な口調で話し掛けてきて、当然戦意喪失するよ。しかも自分の住んでいる洞窟の手入れが、やけに丁寧にやってあったり……オレが花粉症と言うことを知って、杉の木の周りで翼をバサバサやってたり……ほんとに邪竜か!? って聞きたくなるような邪竜だったんだよ。あげくの果て一撃で殺られてるし。
何だかんだ言って、オレは邪竜を倒した。そして超絶美少女の姫様を助けだしたんだ。姫様を閉じ込めてたクリスタルを壊して、姫様の手がゆっくりと持ち上がったときだ。
その瞬間に殺された。
冗談じゃない、マジで、ほかの誰でもない姫様に、素手で。
うつろな意識で見てた姫様は明らかに姫様と呼べそうな人には見えなかったし……どうなってんだかオレにもサッパリだ!
あとな、オレは人とは違うところがある。
勇者だとかそう言うのは関係なしに、決定的に違うところがあるんだ。あのピアスをつけた瞬間に知った、いや勝手に教えられた。
オレは、
自分が小説の主人公だと知っている。