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本来の話数が変わるタイミングは、タイトルが変わる時です。番号がふってありますが、それは一つの話を何等分かにしたものです。
前半はギャグまっしぐらですが、ラスト付近はシリアスになる予定です、ご注意ください。
あと、カオスです。
オレの名前は久我 朱彦、クーガ・グリムゾンと呼んでくれ。
オレはとある世界で勇者をやっている。
いわくつきの剣に伝説つきの鎧、そして市販品の盾を持ってウィクトリア姫を助けるために邪竜ファヴニルを倒す運命だ。いや、予定と言った方がいいかもしれない。オレにもライバルと呼べる存在は居たけれど、ついこの間敵に追われていたとき「ここはオレに任せて行きな!」と言い残して、死んでしまった。
親父に押し付けられた金色の片耳ピアス、このピアスをつけた日にオレの運命は決まったんだ。多分そのピアスの効果なんだろう、神の声が聞こえるようになったオレは、国から勇者とされた。
……おかしいだろ?
何でこんなにコテコテの勇者なんだよ、仲間がいないだけマシだけど、いたら絶対に僧侶と魔法使いと盗賊だぜ?それだけ典型的な勇者だって事だ。
普通に考えて、こんなに都合よく姫さまがさらわれるか? ちょうどオレがピアスをつけた翌日にさらわれたんだ。
うっかり入ったダンジョンに伝説の装備か転がってるか? 地図を逆さまに持ってて、たどり着いたダンジョンの中にあったんだぞ。
そして、オレが一番納得行かないのはこのピアスなんだよ。
親父が誕生日プレゼントにくれたんだ、いらねぇって言ったのに無理やり押し付けられたんだ。どこで手に入れたのかわかりゃしない、うさんくせぇ。まぁとりあえずためしに付けてみるか、と思って軽い気持ちで付けてみたんだよ、綺麗だったしな。わざわざピアス穴開けちまったんだよな、ご苦労なこった昔の自分、なにが起こるかも知らないで。
あの時は本当にびっくりした、付けたとたんに、このピアスの異常性を理解した。
……怪しい笑い声が聞こえてきたんだ。
その笑い声の主こそオレが“神”って呼んでる存在で、オレをこき使ってる奴だ。正直どこが神様なんだって思う、ネーミングしたのはオレだが。すぐに外そうと思ったのに何やっても外れないんだよな、このピアス、こういう理不尽な事ができるところは神様らしいかもしれない。
あとな、オレは人とは違うところがある。
勇者だとかそう言うのは関係なしに、決定的に違うところがあるんだ。あのピアスをつけた瞬間に知った、いや勝手に教えられた。
オレは、
自分が小説の主人公だと知っている。