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第14話

「おにぃ鍵閉めた??」

「おう。ちゃんと閉めたぞー。」

「そっか。なら行こ」


俺と真理は並んで歩き始めた。妹と学校に行くというのはかなり久しぶりだ。隣に歩く真理の髪が揺れ、いい匂いがする。

女子ってどうしていい匂いがするのだろうか?俺と同じシャンプー使ってるはずだよな?


「おにぃ難しい顔してどうしたの?」

「いや……なんで女子っていい匂いするのかな?と思ってな」

「は?なにそれ……おにぃキモ……」

「き、キモくはないだろ!?」

「いいや充分キモイから」


冷たい目線を送ってくる真理。妹にキモイと言われると以外にに傷つくな…………。



「あーでもさ、おにぃが意外と元気そうでよかった。」

「急にどうしたんだ?」

「いや……昨日の様子を見るとさ……もっと元気ないかな?って思うじゃん」

「まぁ……いつまでも引きずってても仕方ないしな。暗い顔しててもいいことなんて起きない。それにな悲しいときこそ――」

「笑顔でしょ?」


真理はドヤ顔でそう言った。


「あぁ。その通りだ。」

「まぁ昨日は泣いてたけどねー」

「う、うるせぇ!」


妹との他愛もない会話は楽しい。俺が1番心を許して話せる相手かもしれない。その後も俺と真理は他愛もない話をし続けた。


「それじゃおにぃまたね。授業中寝たらダメだよ」

「わーってるよ。お前も頑張れよ」

「うん。」


そして妹は中学に、俺は自分の高校へと足を進めた。





妹と別れて、1分程度歩いたところで俺は1人の生徒に声をかけられた。


「星矢君おはよう。私を待たせるなんていい度胸ね。」

「副会長……おはようございます。――あと俺は約束した覚えなんてないんですが?」

「したじゃない?昨日の私の夢の中でね」

「俺はその夢見てないんですけど!?」


この人頭いいはずなのに言ってることが無茶苦茶だ……。


「そんな些細なこと気にするものじゃないわ。それより早く行きましょ。遅刻しちゃうわ。」

「ったく…………」


そして俺と副会長は並んで歩き始めた。


「クンクン……星矢君から女の匂いがするわ。」

「あんたは犬か……」

「正直に言いなさない。これは誰の匂いなのかしら?」

「あんたはなんでそんなに偉そうなんだ……。――多分妹ですよ。い、も、う、と」

「妹?――そう。星矢君は実の妹の匂いが体に移るくらい密着していたのね」

「なんか嫌な言い方ですね……!」


副会長と話すのはやはり、エネルギーの消費が激しい……。


そしてその後も俺と副会長はそんなやり取り続けていた。――そして学校に着くひとつ前の信号。


そこには香苗の姿があった。

香苗は俺に気がつくとすぐに近付いて来た。


「お、おはよう!星矢!」

「………………」

「その昨日は突然ごめんね……!私が全部悪いのに逆ギレしちゃって!!も、もし良かったらもう一度だけ私と話す機会を――」


香苗がそう言いかけたところで副会長がこう言った。


「ねぇ貴方……さっきから星矢君が嫌がってるのに気がついてないのかしら?」

「……貴方誰ですか?首突っ込まないで貰えますか?」

「私はこの学校の生徒会副会長――西田桜よ。それに一緒に登校している私達の間に入ってきたのは貴方だと思うのだけれど?」

「そう……生徒会……ですか。そういえばいた気がしますね……」

「とにかく今はどっか行ってくれないかしら?星矢君との時間を邪魔してほしくないのだけれど?」

「じゃ……邪魔って!……星矢は貴方といる方が嫌そうにしてる!」


香苗がそう言うと副会長は笑っていた。


「面白い冗談を言うのね……貴方……。」

そして副会長は香苗の方へと歩いていった。女子にしては背の高い副会長は上から香苗を見下してこう言った。


「でも……そんな冗談は"顔だけにしてもらっていいかしら?"」――と。



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