第13話
「おにぃ起きて……朝だから」
そう言って俺の体を揺らす真理。
「うぅ……もう朝か……」
「おにぃ寝癖やばすぎ。しっかりして」
呆れた顔をしつつも、手で俺の寝癖を押さえてくれた。――なんだかバカップルの朝みたいだな……。
これでも俺と真理は実の兄妹だけどな。
「朝ご飯はお母さんがサンドイッチ作ってくれてるから。早く降りてきて」
「うん。わかった」
俺がそう言うと真理は部屋を出ていった。
昨日の引き続き学校に行くのが嫌だが、ズル休みをする訳にも行かない。学校の制服に袖を通して、ズボンをはき、ベルトをしめた。
下に降りると机の上にはサンドイッチと牛乳が置かれてあった。真理もまだ食べてないうだ。
「ほらおにぃ早く来て。遅刻する」
「お、おう。すまん」
そして俺は席に座った。
「「いただきます」」
2人で手を合わせて食べ始める。ちなみにサンドイッチの具は卵だけ。シンプルだがこれが一番美味しかったりする。
食べ始めて少し経つと、真理が少しだけ顔を赤くしてこう言った。
「おにぃさ……」
「うん?どした?」
「その……今日は学校誰かと行く予定あったりするの?」
「いーや。1人だ。」
「そ、そっか。だったら私と行かない?途中までになるけど……」
「い、一緒に!?どうして?」
突然の提案に驚く俺。だって仕方ないだろ。今まで1度もこんなこと言われたことがないんだから。
「どっ、どうしてって……それは……おにぃを1人で行かせたくないから……」
ボソボソという真理。
「ごめん真理……何言ってるのか聞き取れなかった。もう1回だけいい?」
「だからっ……!おにぃ学校一人で行くの辛そうだから……!一緒に行ってあげてもいいよ……って言った。」
顔を真っ赤にしていう真理。いつもはクールぶってる真理がここまで顔を赤くしているのを見るのは初めてかもしれない。
「な、何とかいってよ……!」
「え、?あぁうんごめん。――えっと……それじゃお願いしてもいいか?」
「うん……お願いされました。」
俺がそう言うと、真理はサンドイッチを一気に口に放り込んだ。
俺も急いで食べた。俺はそのサンドイッチの味を思い出すことはできなかった。




