3・ホルスト 真実の愛
ホルストの望みは、レイ坊ちゃまとの心と肉体のマッスルドッキングです。
ああぁあぁぁぁぁぁ……
やはりだ! やはり、こうなってしまった!!
レイ様はお優しすぎる、お優しすぎるのだ!
相手の身の上とか、赤の他人の本当にどうでも良いようなことにまで気にされて共感されてしまう……
まぁ、そんなお優しいお心が愛らしくて愛おしくて、だからこそ穢したくて仕方が無くなるところでもあるんですけど。
はぁ……
便座に座りながら、我ながら覚えが無いほど深い深いため息をついてしまう。
……別に便意があったわけじゃないんです。
何も考えずに小さな空間に引き籠もりたかっただけなんです。
本当ですよ、本当なんです。
あぁあぁぁ……まだレイ様と二人きりになって二十八時間ですよ!
たった二十八時間しか経っていないんです!!
それなのに、それ、なのに……ああぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!! どちくしょうがぁあぁぁぁぁぁあっ!!
何で化粧臭いメス豚を、私とレイ様の空間に入れなければならないんだ!!
クソッタレが!!!
やはり、どこかで殺して……ぐ、ぎがが……ダメだ、それを行えば私がレイ様に疑われる。何より、あの小娘を雇うと決めたレイ様の優しさに泥を塗ることになる。
なら、どうすれば……
「う゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ ぁぁぁあぁ……」
レイ様……レイ様、レイ様……
ふと気が付けば、ハンカチに包んだレイ様の髪の毛を吸引していた。
吸い込む酸素に、鼻腔に、血液に、全身に、否! マクロの細胞にレイ様が染み渡る!!
「ん……す~……あ゛あぁあぁぁぁ……んあっ?」
舌に絡みつく違和感。
「何と言うことを……せっかく手に入れたばかりだというのに、口に含むなど早過ぎる……」
舌に絡みついていたのはレイ様の髪の毛。
……出会いの時は蔑み、見下していた。だが、気が付けば目で追い、そして、そして……愛おしくて、ただ愛おしくて、あぁあぁぁ、嗚呼、焦がれていた……
その後は、ただ、ただ……
口内と鼻腔に広がる、レイ様への思い。
「んあぁああぁ!!」
そうだ、私はここに居る。
レイ様はそこに居る。
これは試練。
ただの小さな試練だ。
神なんぞ信じちゃいませんが、こう言う時は神とやらの言葉はありがたい。
――神は、決して越えられない試練は与えない――
そう、これは私とレイ様の愛の試練!!
そこにどんなにえげつない試練があろうとも、これは私のレイ様への愛を確かめるべく神とやらが無理矢理に与えた試練。
これは最後に、レイ様の隣に立っていた者が勝利の物語だ!!
「レイ、様……はぁ……私の愛を、どうか、疑わずに……」






