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ボロボロ転移  作者: glass cicada
第一章 召喚編
13/16

13話 観察力

ところでこの人魂は何なんだろうなぁ











広間の扉をくぐると、皆が剣の訓練をしていた。

…さっきの食事は昼食だったらしい。

僕が現れると皆こちらに目を向けた。皆少し安堵したような表情をしている。そんなに僕は取り乱してたかな?……いや取り乱していたな。

僕が現われたので、皆が皆、剣の訓練を中断してこちらにきた。

「由希、少し落ち着いた?」

真樹が訊いてくる。

「うん。」

真樹達は安心したようだ。

そのとき、ふと思いついて【洞見眼】を使ってみた。

…おぉ。これは使える。

なんというか、観察力がカウンターストップしたかのようだ。

人の僅かな動きから動く先が見えるし、表情筋から感情も読み取れる。真樹は本当に100%安心してくれていて、良い奴だなぁと改めて思った。

【洞見眼】は、今まで覚えてきた魔法とはできることのレベルが圧倒的に違うことがひしひしと伝わってくる。

驚きと喜びが隠しきれていなかったのか、いきなり表情が変わってニヤニヤし始めた僕を見て皆が若干引いているので説明をする。


「なんか新しい魔法を手に入れた」

「ああ、そうかよ?凄いものゲットしたわけ?」金木が訊いてくる。

「ニヤニヤできるほど?」真樹が茶化す。

「【洞見眼】っていうものをゲッ…」

「【洞見眼】って言いました!?」

…何故かアンナさん(*金木付きのメイド)が食いついてきた。

「そうですけど?凄いんでs…」

「凄いですよ!【洞見眼】なんてクロッツ中を探してもいるかわからないほどレアでレベル高いですよ!?さすが転移者魔力の質が違う!」

…めっちゃ興奮しとるやないか、アンナさん…(エセ関西弁)

「そ、そうなんですね…」

まあ、レアで有用なスキルなのは分かった。

「【洞見眼】があれば、戦闘時には相手の動きの先読みが、会話時には相手の感情を読み取ってより良い方向に話を進められますし、嘘を見抜けたりします。本当に有用なんですよ!」

なるほど、たしかにそうかも。

「国としても、【洞見眼】を持っているだけで特別な人材扱いされます。【洞見眼】の能力は、その習得者の少なさもあって価値が物凄く高いですから。強化魔法の系統に適正のある人が手に入れる最高級の能力ですよ!私も憧れます!」

へー

………もしかして、いやもしかしなくても僕は何気なくすごい力を手に入れたのでは?

ふと皆を見ていると、急速に負の感情が湧き上がっている。

紫吹は単に感嘆のみだし、真樹や岬といった明るい人は憧れ混じりの嫉妬でまだ可愛げがあるが、如月は強い苛立ちを抱いているし、金木は殺意に近い嫉妬だ。金木はほんと怖い。

アレかな?アンナさんが、【洞見眼】は強化魔法の系統に適正のある人が手に入れる能力って言ったから、転移者組でいうと僕しか手に入らないと思っているが故の負の感情かな?実際僕しか手に入れられないんだろうし。これは甘んじて受け入れなければいけないかもしれない。そんな嫉妬の視線は嫌だけど。

そんな事を考えていると、アンナさんが僕に言った。


「そんなに高位の、強化魔法の系統の魔法を手に入れたのだったら、強化魔法の系統以外の魔法も習得して戦闘力を高めて、早く実践経験を積んだほうがいいかもしれませんねー」


……なんか皆の負の感情が増幅したんだけど。真樹や岬、紫吹からまで強い嫉妬を感じる。

空気がピリピリする。一日分寝込んで遅れを取っていた筈の僕が逆に先を歩んでるから普通に悔しいんだろう。僕も逆の立場だったらそうするだろうしこれは仕方ないなと頭では納得できるが、皆に敵意というか強い嫉妬をぶつけられてヘコむわ…。


空気はピリピリしたまま剣の訓練は再開された。

魔法の面ではともかく剣の腕は少し離されてしまったようだ。誰にも勝てない。この前までは紫吹や如月あたりには勝ててたのに…。あと皆やたらいつもより本気で力を込めて剣を振ってきたので、めちゃくちゃ体が痛い。木剣だからまだいいものの、これが真剣なら5回は殺されている。特に、金木は本当に撲殺してくる勢いだった。禁止されてるのに魔法使ってたような気もする。怖い怖い。

殴られすぎて2周スパーリングしたら心が折れたので、見学に移ることにした。……日和ったと笑いたいなら笑うがいい。マジでクソ痛かったんですよ…。アレから逃げるためにはプライドなぞ捨てるわ!

剣で打ち合っている時は魔法を禁じられているが、見学している今はいいだろう、ということで【洞見眼】を発動した。あまり意識しないようにしてたけれど魔力の消費も型違いだなぁ…。あ、これも【洞見眼】使えるぞ!魔力が残り何割くらいかなんとなくわかる。今の僕は8割だ。

皆の訓練を見ていると、【洞見眼】の観察力により、メイドさんの剣捌きと皆の剣捌きの違いがよく分かる。こうしてみると所詮メイドさんと転移者組の実力はまだ雲泥の差だということがよく分かるな。平和な日本で暮らしてたから当然だけど、皆の剣捌きはまだまだ拙い。

メイドさん達の剣は、刃先の軌跡が常にきれいな円を描き、刃が振る方向に対して向いているし、インパクトの瞬間は剣を引くような角度で木剣が振られている。



訓練後、【洞見眼】の観察でわかった、それぞれの改善点を皆に教えたら見直された。そこまで天狗にならずにしっかり皆のフォローをしたのがポイント高かったみたいだ。ピリピリした空気が薄まってよかった…。このままずっとだったらいつか首吊ってたかもしれん……。それだけ過ごしにくかったんだもの。



部屋に帰ってきました。

ボコボコにされて体中が痛いのでもう寝ます。

おやすみなさい。

……



痛すぎて寝れね〜(TдT)

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