表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーサー王と11人の子供たち  作者: 尾十神誠
41/69

~英雄の贖罪~⑬

 近接格闘術――半年間、ベドウィルさんとの修行で僕は徹底的にそれを叩き込まれた。 現段階では『伝説の剣』を振れない僕にとっては、絶対役に立つ――そういった理由でベドウィルさんにしごかれた。


 ベドウィルさん独自の技法が加わっているから、一般的な近接格闘術とは違うかもしれない――けれど、今の僕はそれに縋るしかなかった――。


(まずは、相手の出方をよく見る……!!)


 右手に小刀を逆手に持ちながら、剣を構えて相手の様子を窺う――そして、相手が剣を振りかぶってきたら……!


 それにカウンターを合わせるように、最小限の動きで最速に右のジャブを繰り出す――しかし、これは敵の身体ではなく。


(武器目掛けて一直線に……!)


 小刀を逆手に持つことで、振りぬいた拳の勢いを利用して相手の剣先を受け流すことができる――!! そして、敵が無防備になったところで……!


 渾身の左ストレートを繰り出す――!!


「っ……!!」


 自身の体重を乗せて『黒の鎧』の顔面を思いっきり殴ったのだが、ガキィンという金属の重々しい音が辺りに響くだけで、『黒の鎧』には効いてなかった――。


(……普通、拳の衝撃で軽く脳震盪とか起こすはずなんだけど……!)


 まるで攻撃が当たらなかったように、怯むことなく『黒の鎧』は次々と剣戟を繰り出してくる……一体、どうすれば!?


 対抗手段を失ってしまった僕は、ひたすら敵の攻撃を避け続けるしかなかった――。


「お兄ちゃん、耳をふさいでっ!!」


 遠くから聞こえたその声にハッと気付いた僕は、小刀を腰に帯刀して両耳を塞ぐ。 すると、先程の声の主――ニーナは、召喚していた『マンドラゴラ』を悲鳴させていた――。


『――――――――!!!!』


 耳を塞いでいるからそれは聞こえないが、地面に転がっていた石が揺れていたので、マンドラゴラの悲鳴を物語っていた――。


(よし……! これで、『奴』は気絶するはず……!!)


 それで僕は油断してしまった――マンドラゴラの悲鳴を聞いた人間は、気絶して動けない……そう思っていた。


 しかし、眼前の『黒の鎧』は動きを止めることなく、斬りかかってきた――。


「……っ!!」


 反応が遅れて、上手く回避することができず、右腕を斬られる――すると、血飛沫が辺りに飛び散り、『黒の鎧』が手にしていた長剣の切っ先が赤く染まる――。


「ぐ、ぅ……!!」


 痛い、痛い、痛い――腱を切られた右腕を動かそうとすると、激痛が走る。 痛みのあまり、この場から逃げ去りたい衝動に駆られるが、気を強く持って思案する――。


(な、んで……『奴』は気絶しない……?)


 マンドラゴラの悲鳴を聞いた『人間』は、必ず『気絶』する――それなのに、気絶しないのは『黒の鎧』は『人間』ではない――?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ