~選ばれし英雄(?)~③
「いやいやいや、無理無理無理無理ーー!」
先生から「魔王が目覚めた」という報告を聞いて、気絶していた蒼髪の少年『ロット』は、目を覚ますなり、首がはち切れんばかりに左右に振り駄々をこねていた。
「阿呆が…。 貴様が英雄に選ばれないことぐらい誰でも分かっている。 これは『義務』だ――黙って俺について来い」
モルドは先生の命令に従い、泣きじゃくるロットを仕方なく王宮までへと案内する役割を全うしようとしていた――しかし、ロットの相変わらずな臆病な性格にウンザリして、苛立たしげに強い口調で命令する。
ロットは、これ以上モルドの機嫌を悪くしないために口を閉ざすが、どうしても恐怖に侵されてしまい体を震わしてしまう。
「――ロット。 安心してください、『英雄の選定』はただの行事です。 ……ただ、もし万が一の場合があった時のために『コレ』を渡しときます」
「コレは……?」
先生から渡された物は、掌サイズほどの大きさで半月の形をした欠けた水晶だった――海のような鮮やかな色で煌めいており、眺めていると吸い込まれそうになるほど美しかった。
「『お守り』です」
そう告げた先生は、水晶についていた紐をロットの首にかけて、唇に綺麗な半円を形作り安堵していた――それを見たロットは、先ほどの恐怖が嘘のように無くなっていた。
勇気を貰ったロットは、イライラしながら先を歩いているモルドの後を追いかける。
「ふん……。 最初っから、そうしてればいいものを――」
こうして二人の旅が始まった――。




