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アーサー王と11人の子供たち  作者: 尾十神誠
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~英雄の贖罪~⑤

 彼は、自分のことを『マーリン』――そう名乗った。


(マーリン……って、昔どこかで聞いたことがあるような……?)


 しかし、それは自分の思い違いだろう――なぜなら、女性の下着を身に着けて、堂々と徘徊する人間を忘れるわけがない(忘れたくても忘れないだろう)。


「僕が、君の悩みを『解決』できる――そう言ったらどうする?」


 自身を予言者と告げる彼――マーリンはそう言った。 僕の悩み……それは、ベドウィルさんとどう仲直りをするか――。


「違う、そうじゃない――君の悩みの『根源』はなんだ?」


 根源――? なんで、僕は師匠であるベドウィルさんと喧嘩したんだっけ……。 確か、修行中に僕のことを猿呼ばわりしかたら……?


 いや、違う……そもそも、僕がスライムの攻防を受けきることができなかったのが原因だ。 つまり、僕の悩みの『根源』は――。


「――強くなりたい」


 僕はそう告げていた――そうだ、結局のところ僕が強ければ……才能があれば修行に苦労することもなく、ベドウィルさんの手を煩わせることはなかったのだ。


「グレイト!」


 彼――マーリンは、僕の想いは間違っていないと褒め称えるように、僕を指差しながら満足げに微笑む。


「そんな君に『プレゼント』だ――コレを受け取るがいい」


「コレは――?」


 マーリンから受け取ったのは、謎の『赤い液体』が入った試験管だった――。


「君を変える『魔法の薬』さ――」


 そう言い残して彼――『預言者マーリン』は、この場を立ち去って行った。 しっかりと、女性の下着を身に着けたまま……。


「なんなんだ、あの人は……」


 まるで僕の過去を視てきたかのように、悩み事を見事的中させた預言者かと思えば、人間性を疑う変な性癖の持ち主――凄い人なのか変態なのか分からない……。


 僕は、そんな彼から貰った『魔法の薬』を眺める――。


(うーん……、『赤い』ってことは『辛い』のかな?)


 液体が赤色だったので、つい唐辛子などを連想してしまう――僕は辛い食べ物が苦手だった。


 ロットはこの時点で気付くべきだった――辛いか辛くないかで飲む判断をするのではなく、見知らぬ人の言うことを信用するかどうかを考えるべきだった――。


 そして、人はそう簡単に強くなれないことを――。


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