高校3年、4月
4月。
部活の勧誘合戦が激しい。
美雨ちゃんは学業も優秀、スポーツも万能なので、引く手数多の筈だけど・・・何故か俺のいる弱小模型部に。
ふと気付いて、意中の彼が模型部にいるのか聞いたら、赤くなって、はい、と頷いた。
可愛いけど、やっぱりもやっとはする。
誰だろう・・・そもそも、うちの部、俺以外女の子なんだけど。
部長かなあ・・・
それでも、美雨ちゃんと同じ部活なのは嬉しい。
みんなも歓迎厶・・・何故か微妙な顔をしている。
多分、何故うちの弱小部にこんな高スペックな娘が・・・という疑惑だろう。
まあ、すぐに誤解は解けると思う。
新人歓迎会を兼ねて、旅行。
ローカル線に乗り、民宿に泊まって、また戻る。
「先輩、あれは何ですか?」
お兄さん、から、先輩に呼び方が変わっている。
「あれは藤原の・・・」
事前に調べた歴史の解説。
男とは、可愛い女の子の前では良い格好したいのだ。
「・・・やれやれ、すっかり朧月が独占されているな」
部長がぼやく。
朧月は俺の名だ。
「まだ美雨ちゃんは入学したところですからね。直ぐに他の人とは打ち解けないですよ」
部長に苦笑を返す。
・・・あれ、確か美雨ちゃん、異常にコミュ力あったような。
・・・ああ、意中の人が側にいるから、恥ずかしいのか。
そんな美雨ちゃんの気も知らず、部長が言う。
「・・・君が居なければ普通にみんなと話していたのだけどね」
そう言えば、俺といる時は大抵隣にいるなあ。
妹の親友だし、それだけ信頼されているのだろう。
「先輩、あれは何ですか?」
美雨ちゃんが服を引っ張る。
ええっとあれは・・・
そんなやり取りをしながら、ローカル線の景色を楽しんだ。
--
「先輩、もう寝ましたか?」
美雨ちゃんの幾度目かの問い。
民宿は、2人1部屋だった。
男用に1部屋取るはずだったのだが、部長の手違いで部屋が足りなくなった。
部長が責任をとって、俺と同室で良いと言ったのだが。
部長だけに責任を負わせる訳に行かないと、みんな手を挙げ。
・・・俺、そんなに信用ないのか?
結局、慣れている美雨ちゃんが俺と同室になった。
先程やった怪談が、地味に効いてきたらしく、怖いらしい。
先程から何度も確認されている。
手を繋いでいるだけじゃ怖いかあ。
「・・・寝たんですね」
もぞもぞ、と布団から出て、こちらに来る美雨ちゃん。
怖くて耐えられなくなったようだ。
顔を近付けてくる。
綺麗な顔が近付いて来て・・・止まる。
見つめ合う。
「・・・起きてます」
美雨ちゃんが呟く。
「起きてるよ。怖いなら、一緒に寝る?」
布団をまくってやると、
「・・・先輩が怖いなら仕方がないですね。一緒に寝てあげます」
そう言って、布団に入って来た。
そっと抱き寄せ、
「大丈夫だよ。俺がついているから、安心しておやすみ」
「はい、おやすみなさい、先輩」
尚、翌日、美雨ちゃんの浴衣がはだけてて、ちょっとラッキーだった。
まあ俺もだけど。
浴衣って、すぐはだけるよね。




