高校2年、秋
「お兄さん、ここ教えて下さい」
美雨ちゃんが教科書を開いて見せ、尋ねる。
美雨ちゃんも受験生。
俺の部屋で勉強を教えている。
妹に教われば良い気がするが、妹は天才肌の為、分かりにくいらしい。
今は保健体育を教えている。
最近は受験に保健体育が必要らしい。
「ここはね」
教えながら、背後からくっつくように覆いかぶさる。
俺の声は小さいらしく、密着した方が聞き取りやすいらしい。
「ほら、ここが」
「ひゃ?!」
美雨ちゃんが驚いてこっちを見る。
涙目で顔が真っ赤だ。
「お兄さん、いきなり胸を触るなんて・・・本当に変態ですね!」
じろり、と睨まれる。
有難う御座います。
じゃなくて・・・
「いや、分かりにくそうだったから教えようかと・・・」
「それでも、いきなり触ったらびっくりしますよね」
ですよね。
「えっと、じゃあ、触るぞ」
「え」
・・・
「まあ、このあたりの記述が」
ややあって、説明を再開する。
「・・・説明止まってましたよね。お兄さん、触りたかっただけじゃないんですか?」
蔑んだ目、継続中。
それにしても大きくなったなあ。
昔、知り合って間もない頃、大雨が降ったとき、偶然に偶然が重なって、一緒にお風呂に入った事があった。
まあ、妹とお風呂に入るのの延長線上だ。
もっとも、妹と最後に入ったのは俺が小学校低学年の頃までだけど。
「いや・・・あくまで説明の為に」
優しい親友のお兄さん、の立ち位置を崩す訳にはいかない。
「保健体育以外の教科は良いの?」
「ですね・・・今のところ、間違える頻度は激減してきました。本番の緊張感の中でどれだけ取れるか分からないのですが・・・」
確かに。
俺も、何時もなら解ける問題逃したしなあ。
「そうだな・・・緊張感か・・・間違えたらペナルティをつけるとか・・・」
美雨ちゃんがきょとんとする。
「ペナルティですか?」
「ああ・・・間違えたら、服を1枚ずつ脱いでいくとか」
あ、また蔑んだ目。
「お兄さんは本当に変態ですね。お兄さんが私の裸を見たいだけじゃないんですか?」
「いや・・・あくまで緊張感を・・・」
何とかそう言うと、美雨ちゃんは溜め息をつき、
「分かりました。逆にお兄さんを裸にしてあげますからね」
睨まれた。
俺も脱ぐの?!
「さあ、問題を出して下さい」
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「うう・・・本当にちゃんと学習範囲から出していますか?」
下着に靴下だけという格好で、美雨ちゃんが涙目で睨んでくる。
あれ・・・ちゃんと学校の教科書に書いてある範囲なのだけど。
思ったより緊張感を与えられているようだ。
靴下は最初に脱ごうとしたのだけど、冗談で不満気にしたら、残してここに至る。
・・・なんか、逆にえっちな。
「どうする美雨ちゃん。これ以上は後が無いよ。そうだね・・・脱ぐ物がなくなったら、触らせて貰おうかな」
いや、どう考えても、今の時点で終了、で良いんだけどね。
これ以上脱いだら下着すら脱ぐ事に。
靴下はあるけど。
「・・・変態、変態、変態」
手で隠しつつ、睨まれる。
「次の問題を早く出して下さい」
続けるの?!
「えっと・・・じゃあ・・・8✕9は?」
徐々にレベルを下げ、ついに九九に。
キミ、この前全国模試で上位取ってたよね?
「・・・64ですか?」
間違うの?!
「72です」
「う・・・」
美雨ちゃんが泣きそうな声を出す。
そして・・・ブラに手をかける。
靴下じゃなくていいの?!
手で隠しつつ、睨んでくる。
「次は間違えないですからね」
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「うう・・・もうお嫁に行けないよお・・・」
美雨ちゃんが泣きながら服を着ていく。
結局靴下は脱がなかった。
美雨ちゃん凄く可愛いから、争奪戦起きてそうだけど。
まあ、今は勉強を優先したいらしい。
「嫁の貰い手がなければ、責任取るよ」
ぽんぽん、と頭に手を乗せると、
「約束ですからね」
赤い目で睨んでくる。
いや、絶対モテるから大丈夫だよ。
思えば、この日が美雨ちゃんにセクハラした最初だったと思う。




