大学3回生、5月
5月。
ゴールデンウィーク。
連休なので、美雨ちゃんと温泉旅行に来ていた。
意中の人を誘ったりしなくて良いのか・・・そんな事は聞いていない。
駄目だ、とは分かってはいるのだけど・・・今は、美雨ちゃんと一緒に居られるのが楽しい。
だから、つい、今の状況に甘えてしまう。
「すいません、写真撮って貰って良いですか?」
美雨ちゃんがカメラを渡し、川を背景に2人の写真を撮って貰う。
「いやあ、えらい美形同士のカップルですね。びっくりしましたよ。背景の川の方が霞んで見えます」
おっちゃんがお世辞を言う。
事実では無い。
美女と野獣だ。
「有難う御座います!」
美雨ちゃんがカメラを受け取る。
「えへへ、おにーさん。私達、カップルに見えたらしいですよ」
俺にとっては嬉しいけど、美雨ちゃんにとっては複雑・・・でもないか。
親友の兄、と言うポジションは、恋人扱いされても冗談で流せるのだ。
「誇らしいね。自慢の彼女を見せつけないといけないね」
「ふえ?!」
ぽふ
美雨ちゃんが腕に強く抱きついてくる。
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夜。
部屋で豪華な食事を食べ、温泉へ。
温泉から戻ると、布団が1つ。
枕が2つ。
まあ、良くある鉄板のネタだ。
丁度セットを終えた中居さんが、
「ご指示通り、布団は1つにしてありますので」
そう言って、部屋を出ていった。
それ、別の部屋だよ。
うちは何も指示して無いよ。
ちょっと予想外のパターン。
「ふう、良いお湯でした・・・ああっ、布団が1つですね!」
美雨ちゃんが驚いた様子で言う。
「一緒に寝るしかないね」
まだ布団買えてないから、マンションでも毎日同じ布団で寝ているけどね。
美雨ちゃんの布団へのこだわりが強いらしく、買いに行ってもなかなか決まらないのだ。
俺と同じ型番の布団でも微妙に違うらしい。
実家から持って来るのも勧めたのだけど、そっちはそっちで置いておきたいらしい。
そう言えば、旅館の布団は大丈夫なのだろうか。
まあ、何とかなるだろう。
「へへ、おにーさん」
きゅ
美雨ちゃんが抱きついてくる。
「濡れた髪が非常に艶めかしい。髪が流れるせせらぎの様だ。温まってピンク色になっている肌も、実に可愛らしい。おまけに徐々に浴衣がはだけていて、胸が一部見えている。このまま食べてしまいたいくらい可愛いが、何とか自制出来ている」
そんな心の内を悟られる訳にもいかず、大人の余裕を見せつつ美雨ちゃんを抱き止める。
あれ、大丈夫かな。
耳まで真っ赤になったし、汗が凄いし、息が荒い。
「大丈夫、美雨ちゃん?」
「は、はいっ。大丈夫です!」
意外とすぐ体調は戻り、ゆったりとした2泊3日をすごした。




