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高校3年、3月

3月。


「合格おめでとう御座います!」


無事、第一志望の大学に合格した。


「有難う。良く分からない役割当選して、頭が痛いけどね」


特定の順位の人は、入学式で何か挨拶しないといけないらしい。

キリ番じゃ無いんだから、変なノリはやめて欲しい。


「変な大学ですよねえ」


美雨ちゃんも不思議そうにする。


「先輩、引っ越しちゃうんですよね・・・」


「一人暮らししてみたかったからね。美雨ちゃんと会う時間が減るのは寂しいけど・・・」


「うう・・・遠距離恋愛になっちゃいます」


美雨ちゃんが悲しそうに言う。

あれ、遠距離恋愛?


「美雨ちゃんが好きな人も、引っ越してしまうの?」


「はい、そうなんです。困りました」


「また同じ大学目指すの?」


「です!」


健気だ。

その行動力は有るのに、どうして同じ高校行ってる間に告白しないのか。

告白どころか、距離を縮める事すらしていない。

・・・個人的にはその方が都合良いという。

俺って最低だなとは思う。


あれ、確か。


「美雨ちゃん、俺と同じ大学目指してたよね?」


「はい!」


「美雨ちゃんが好きな人が何処に行くかは分かっているの?美雨ちゃんの志望大学変わったかな?」


「いえ、先輩と同じ大学、同じ学部です!」


なるほど。

・・・あれ?


「うちの高校から同じ学部受けた人、居なかったような」


「あ・・・」


美雨ちゃんが顔を真っ赤にして、困った様な顔をする。

・・・どういう事だろう。


これは・・・俺は根本的な思い違いをしているのでは・・・そう例えば・・・


こんこん


扉がノックされる。


「入って良いぞ」


「はーい、お邪魔虫します〜」


凛夏が入ってくる。


「美雨〜」


「何?」


美雨ちゃんがきょとんとして、小首を傾げ、凛夏を見る。


「おじさん、おばさんが、お兄に付いて行くのか聞いてって」


何で?!

あ・・・想い人が俺と同じ大学なら、付いてくれば会える可能性が有るのか。


「な・・・え・・・そんな」


狼狽える美雨ちゃん。

めっちゃ可愛い。


「あの・・・自分の力で頑張って無いのは・・・卑怯だと思うんです。だから、行きません」


きっ


美雨ちゃんが決意を込めた顔で言う。

真摯なんだなあ。


「ふーん、通い妻するんだね〜」


凛夏がうんうん頷く。

美雨ちゃん、想い人の所に通うんだろうか。


「あの・・・それは・・・」


おろおろする美雨ちゃん。

可愛いけど・・・


「あまりからかうなよ、美雨ちゃん困ってるだろ」


俺が凛夏を嗜めると、凛夏がきょとん、とした顔をする。

え、何でその反応。


「ううう・・・」


何だか美雨ちゃんが落ち込んだ雰囲気だ。

結局1年間、告白も距離を縮める事もできず、後悔しているのだろうか。

会う機会も減るだろうし。


凛夏は溜息をつくと、


「あーあ、お兄生活能力無いから、誰かが面倒見てくれると良いなあ」


超絶失礼な事を言う。

俺は掃除も料理もそれなりに出来る方だぞ。

五つ星レストランの料理長に挑戦したくらいだ。

・・・残念ながら、試作が終わったあたりで、相手が持病の癪が発生して、お流れになったが。


「・・・!仕方がないですね、この先輩は!私が面倒見てあげます!掃除洗濯、料理に各種お世話、お任せ下さい!」


良いの?!


「そっか・・・美雨ちゃんが通い妻してくれるのかあ」


思わず喜びの声を漏らすと、


「妻?!」


美雨ちゃんが叫ぶ。

あ、嫌だったかな。


「うん、妻」


何故か凛夏が頷く。

何でだよ。

やっぱりやめるとか言われたらどうする。


美雨ちゃんが、きっ、と俺をまっすぐ見て、


「ふつつか者ですが、宜しくお願いします」


そう言って頭を下げた。

・・・可愛い。


「宜しくお願いします」


こちらも頭を下げた。

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