8、影と謎
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儀式の最中、人集りから離れた所でテラスを眺める人影があった。
「へぇー、新しい魔王誕生ね。面白いことしてくれるよね。」
その人物の睨む先には、女神とシノの姿があった。
「女の魔王なんか、この世界を治めることなんか出来ないのに。きっと倒れちゃうだろうね。」
その人物はくすくすと笑う。まるで未来を見透かしているように、女神から指輪を受け取ったシノは倒れる。
「ほら、やっぱり。」
人々が混乱する中、その人物はその場を去った。
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シノが倒れ儀式は騒然となってしまったが、レオが手を回してくれたため、なんとか騒ぎは収まった。そして、レオは女神、ルイス、セルジオを魔王城のある部屋に招いた。たった4人だけの部屋は、静寂に包まれていた。レオとルイスは顔を見合わせ、ルイスは口を開く。
「女神様、俺はずっと疑問に思っていたことがあるんです。答えてくれますか?」
女神はその質問の意図が分かり、こくりと頷く。
「今まで、男性しか魔王をやってこなかった本当の理由。それと、なぜ今になって女性の魔王なのか。」
「まず、一つ目の質問から。魔王は女神の加護を受ける。だから、私の魔力に耐えられるほどの人間ではないといけない。この世界の女性の魔力の器は小さいから。下手したら死んじゃう。だから、今まで避けてきた。シノが倒れるとは思ってなかったから、正直驚いた。」
「二つ目の質問は...。今指輪を持っている、リアムではない魔王が男性だから。私は、男性用の指輪と女性用の指輪、1つずつしか創り出すことは出来ないから。」
薄々気づいていた彼らは確信を持ち、納得した表情を浮かべていた。その3人の姿をみて、女神は申し訳なさそうにしていた。女神は曇った表情のまま重い口を開く。
「...あの、おとぎ話は作り物じゃない。」
3人は驚く。女神の言う"おとぎ話"を知っていたから。
「あれは1000年前、本当にあったこと。」