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6、夢と指輪

ルイスからの衝撃の過去を話され、すっかり静かな食事会になってしまった。夢でもこれは、精神的にくるものがある。軽率かもしれないが、私は決心した。この空気を変えるためには、アレしかない。夢の中だし、はっちゃけてみよう。


「...あの、私、魔王になります!」


3人は、驚きのあまり口をあんぐり開けている。一方、女神様は宝石のような瞳をより一層キラキラさせ、パチパチパチと拍手をしていた。


「こんな都合良くいくとは…。そうと決まれば、明日にでも儀式をしたいのだけどいいかな?」

「ぎしき...?」

「女神様から指輪を受け取る儀式だよ。もう用意はしているから、明日すぐに出来るよ!」


レオはとても上機嫌に、明日のことについてマシンガントークを繰り広げていた。


トントン拍子で明日儀式をするということが決まった。そして、食事会はお開きとなった。部屋に戻り、改めて食事会のことを思い返してみる。見たことのない彩豊かな野菜にフルーツ、ドラーという動物の肉。どれも美味しかった。しかし、女神様が魔法が使えないというのは意外だった。聖なる力で死者蘇生、女神自身のみの空間移動、指輪を持つ者との意思疎通だけが出来るらしい。充分だと思うのだが、この世界の住人としては物足りないようだ。


私も魔法使ってみたいな。格好いい魔法がいいな。あるかなそんな魔法。そんなことを考えながら、ベットに横たわる。このベットで寝てしまえば、いつも通りの日常が待ち受けていると考えるとすこし寂しい。もう少しで堪能したい気分だが、夢の中だと言うのに体と精神の疲労感を感じる。あー、眠い。もう寝てしまおう。楽しい夢、さようなら。


*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*◇*◆*


詩乃が部屋に戻り、食事会は沈黙が流れていた。3人が顔を見合わせ、レオが手を挙げる。すると、壁際で控えていた召使いたちは次々と下がっていった。


「...ルイス、よろしく頼む。」


レオがそう言うと、ルイスは席を立ち女神の真正面に座った。


「どうして、あの子に指輪を与えることにしたのですか?」

「あの女の子じゃないと、魔王になれないから。」

「今までの、歴代の魔王は男性だったじゃないですか。」

「そんなこと、今は関係ない。あの女の子じゃないと。」

「何故...。」

「女性で魔王の素質がある者が、あの子しかいないの。」

「何故、女性に固執するのですか?」

「...今、魔王になれるのは女性だけだから。」


その言葉に3人は首を傾げた。今まで、女性を拒んできたのは女神自身なのに。


「何か、理由があるんですか?」


セルジオの問いかけに、女神はこくりと頷き、口を開いた。


「...どこかに、リアムではない魔王はいる。わかることは、指輪を持っている者は男性ということだけ。」


そう話した、女神の肩は震えていた。

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