5、二日前
今回、すごく短いです!一人称変更しました。
今日は、俺の父である魔王リアムが20年前、女神の加護を受けた記念すべき日。女神様と魔王の記念パレードが夜に控えてるので、朝から衣装を運ぶのを手伝ったりなどの雑用をやらされる慌ただし1日が始まった。
しかし、何故か嫌な予感がした。
一通り、準備が整い少し時間ができ、父は「疲れてしまったので、少しベットで横になりたい。」と青ざめた顔で言ってきたので、迷わずベットで寝かせることにした。きっと、気疲れしてしまったんだろう。
しばらく経って、部屋で寝ている父が出てくる気配が無い。もう少しで、パレードの準備をしなければ間に合わない。焦る自分をよそに、眠っている父を考えると苛立ったが、普段眠りの浅い父親がこんなに起きないのは珍しい。心配になり、父の部屋の扉にノックをした。激しくノックをしても気付かないようだったので、我慢出来ず部屋に入った。
部屋に入ってすぐ後悔した。
ベットの上には、父親の死体があった。腹部に、鋭い剣が刺されそこから鮮やかな鮮血が溢れ出ていた。顔を見ると、先程よりも青白くなっていた。
ふと、手に目が行った。よく見ると右手の親指に、常に付けられているはずの指輪が無い。女神の加護はその指輪に与えられ、50年が過ぎるまで取れることはないと言われている。指輪が無いという事は、女神の加護は無いということ。
俺の嫌な予感は的中してしまった。
それからのことは、あまり覚えていない。召使いや父を慕っていた魔物達が、慌しく目の前を通り過ぎていく。何も出来ない自分に怒りが込み上げていた所に、女神様が通っていたので呼び止めた。
そして、女神様に問いかけた。
「もう、父は生き返ることはないのですか?」
「残念だけど、ない。どうして指輪が無いのかもわからない。」
「...。」
「私が、新しい魔王を見つける。だから、手伝って。」
「...わかりました。」
魔王が、父が、死んでしまった。それは変えようのない事実ということを、この時気づいた。