ゲーム9
またこっちです
「じゃあ第1回戦は……[叩いて被ってジャンケンポン!]でーす!!イエーイパチパチパチ……」
「「「叩いて被ってジャンケンポン?」」」
あ、やっぱり皆知らないのか……。
「まあ、全員初めてならむしろ公平か……」
「で、それはどうやるんだ!?」
「叩いていいんですか?自由に叩いていいんですか!?」
「わーわーぱちぱちぱち〜!」
反応は三者三様だが皆それぞれ興奮している様子だ。
……てか、前からちょくちょく思ってたけどロミーナさん結構Sだよね。
「叩いていいんですか!?」って……。
そしてファティは……興奮しているんだろうか……?なんというかマイペースな……。
アイナは…………まあ特にないな。
「何も無いってなんだー!!」
「痛っ!蹴るなよアイナ!普通が一番じゃないか」
まあ、いつもは魔法でやられてたからわからなかったけど正直アイナに直接殴られても体格が違い過ぎて全く痛くない。
「あら、じゃあ私が叩いてあげましょうか?」
「いや、ロミーナさんに叩かれたら違う意味で痛み感じないから!」
「じゃあ私が〜ていっ!」
漫画ならポコって感じの擬音が似合いそうなほど可愛らしく叩かれた。
「さて、まあ場も和んだ所でルール説明をば」
「いや、和んでないから」
「そうです、和んでないです」
「え?今の可愛らしさで和まないなんてなん……一体どうしたらその荒んだ心は和むんだ……」
「誰の心が荒んでるって?」
「そうですよ、私の心は純粋ですよ?純粋な……黒ですよ?」
「黒なのかよ!」
なんというドS……。
「というかそもそもなんか優希、ファティに優しくない?」
「いや、優しい人には優しく返さないと……」
「ですがそれなら私達にも優しくなくては行けませんよ?」
「いつあなた達が俺に優しくしましたか!?もう何回か殺されたし、殺す宣言されてるんですけど!?」
「何言ってるのよ、私達はいつも優しいじゃない」
「そうですよ優希さん、私達はいつも優しいです」
「だって……優希は今生きているじゃない」
「そうですよ、生かしておいてあげてるんですから最高に優しいじゃないですか」
「殺しても生き返らせてあげるし……」
「遊び半分で殺したりはしてないじゃないですか」
「どう?(どうですか?)」
「私達、優しいでしょ?(優しいですよね?)」
「おかしい……俺の世界と言語が噛み合わない……やはり異世界だな……」
「そうですか、そちらの世界では私達のような人はなんというのですか?」
「悪魔……かな?」
「それは傑作ね!私達の世界では私達のような人は天使と呼ぶのよ!」
おかしい……相手が絶対におかしいと思ってない所がおかしい……。
「まあ、おふざけはこれくらいにしてゲームの説明です!」
ーーーーーーー説明中ーーーーーーーーーー
叩いて被ってジャンケンポンを知らない人のためにルール説明!
一つ!
叩く部分がスポンジなどで出来たハンマーと、何か被れるものを用意します。
ここで注意!!
被れる物はハンマーより、頑丈な物をお勧めします!
ハンマーは二つ、被れる物は一つが好ましいです!
ハンマーに金属製の物を使う遊びもありますがそれはまた別の遊びですのであしからず。
二つ!
それぞれをお互いの手が届く場所に置きます。
三つ!
その状態でジャンケンをします。
四つ!
勝った人は即座にハンマーを持って相手の頭を叩きます。
負けた人は勝った人に叩かれる前に被り物を被ってガードします。
ここでも注意!!
ここで、金属製のハンマーを使用すると、ガードが遅いと星が見えます。
さらに被り物がハンマーより弱いとガードしても意味が無いという修羅場になります。
五つ!
四の手順を勝った人が負けた人より早く頭を叩くまで続けます。
以上です。
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「なるほど、理解しました」
「私も〜」
「えっ、ちょっと待って!今覚えてるから!」
まあ、1回の説明で覚えられる人の方が珍しいもんな……その点ファティと、ロミーナさんは凄いな。
「よし!覚えた!」
どうやらアイナも覚えたらしい。
「よし!じゃあやるか!このゲームは二人用だから俺も参加しての、トーナメント式で行こう!
組み合わせは、俺とロミーナさん。 アイナとファティ。 で、両方で勝った人同士で決勝だ」
「いいんですか?これじゃ私、シードみたいな物じゃないですか」
さりげに凄いこと言うなこの人……まあ、俺もそれは同じ感想だがな、カードゲーム等なら勝ち目はないがこのゲームは、慣れてないと中々対応が難しい。
正直楽勝だ。
「手加減しないわよファティ!」
「こちらこそです〜」
あちらは友達同士の可愛らしい会話をしている。
「じゃあ始めていこうか、1セットしかないから、俺とロミーナさんが最初な」
「わかりました、まあ、勝負にならないと思いますけどね……」
「くっくっく……それはこっちのセリフだぜ……さて、使えそうな台は……っと」
使えそうな台のために辺りを見渡す。
椅子……は狭過ぎるし……テーブルは広すぎる……お!あれなんかいいんじゃないか!?
縦長だし、横も丁度いいし、高さもピッタリ!
……ってかこれなんだ?
「私のベッド(棺桶)ですね〜」
「流石に棺桶の上で叩いて被ってジャンケンポンをやるのは初めてだな……」
しかもファティはこの棺桶で寝ているらしい。
流石吸血鬼……。
「じゃあ始めるか!一瞬で勝負を付けてやるぜ!」
「それはこちらのセリフです、残念ながら私の負けは有り得ません」
「ふっふっふっ……勝負に絶対は無いことを教えてやる!」
「ダメだ……勝てねぇ……」
「だから言ったでしょう?私が負ける事はありえないと」
ロミーナさんが言っていたとおり勝負はほぼ一瞬でついた。
いや、むしろ勝負は始まる前についていたと言うべきか。
「確かにそうだ……お前が負ける事はありえねぇ……だって……お前ジャンケン負けないじゃん!!」
そうだった、ジャンケン三回目でやっと思い出した。ロミーナさん……めちゃくちゃ運いいんだった……。
この勝負、ロミーナさんの独壇場だ……だって、そもそも誰もロミーナさんに攻撃のチャンスすらない。つまり、どれだけ粘っても、チャンスが来ない。
「ふふん……ドヤっ!」
ドヤ顔でロミーナさんが煽ってくる。
「だがまだだ……奇跡は起こるはずだ!」
幸いロミーナさんはまだ慣れてないようで攻撃に移るまでの展開が十分対処できるレベルだ。
この状態なら……奇跡が起こればまだチャンスがある!!
「よし、いくぞ!」
「「ジャーンケーンポイ!」」
くそっ、また負けだ!
よし、ヘルメットを被った!
やはりまだ慣れてないようだ、次こそ…………「あれ?ロミーナさん?もう俺被っちゃってるから叩かないんだよ?なんでそんなに高くピコピコハンマーあげてるの?」
「優希さん、一つ確認なんですけど、ヘルメットの上から叩いたら負けとかないですよね?」
「ま、まあないけど……」
「じゃあもう一つ確認ですけど……相手がジャンケンに応じて来なかった場合は?」
「それは勝負の意思がないとして、負けでいいんじゃない?なんでそんな事今聞くの?」
「今じゃないと聞けないからですよ」
ロミーナさんはニコッと可愛く微笑んだ。
その刹那、高く上げた右手が閃き、初動すら確認出来ないほどのスピードで振り下ろされた。
「え、なんd……」
瞬間、頭上で何かが砕ける音とハンマーのピコォ、というか間抜けな音と耳障りの悪いメキョという音が混ざりあった。
薄れゆく意識の中で聞こえたのは無邪気にもゲームを続けようとするロミーナさんの、「ジャーンケーン……」という声だった。
⚠
注意が一つ増えました!
相手の力をよく考えて勝負するか決めること!
…………心に刻みましょう。
次回からはアイナ対ファティです




