ゲーム8
遅くなりました!
ってかなんかこれ毎回言ってる気がする……。
「ふぅ……あれからどれくらいたった?」
生き返りざまに現在時刻を確認。
「3時間ぐらいよ、血を一滴も残さず飲まれたから中々回復に時間がかかったわ……てか、あんたも随分死ぬのに慣れたわね……」
「まあ、ここ2日で3、4回死んだからな、耐性つくわ」
3時間か……そもそもこの屋敷で窓見たことないから昼夜の感覚がなくなっちゃうんだよね……
「それって人間としてどうなんでしょうね?」
確かに普通の人間の俺としては中々複雑だな……。
「じゃあもう一回吸っていい?とっても美味しかったわ〜」
ファティが恐ろしい提案をしてくる。
何が恐ろしいってあの吸われる直前の桃源郷を見れるならもう一回ぐらい死んでもいいって思えちゃうあたり恐ろしい……。
「じゃ、じゃあもう一回……「もう生き返らせてあげないわよ?」……はまた今度にしとこうかな!うん!」
流石にまだ本当の意味で死にたくはないからな……。
「むー、じゃあまた今度ねー」
「というか……マジな質問していい?」
俺はアイナが友達の所に行くって言った時からずっと引っかかってた事がある。
それは……、
「アイナって友達いたの!?」
「生き返らせてあげない発言の後にそれって事は死にたいのよね?そうなのよね?」
「いや、違う違う、バカにしてるとかじゃなくて、友達いるの!?」
「まだ言うかー!!」
一回めの死の時に見た氷の槍が俺を目掛けて飛んでくる。
あぁ、この氷って無詠唱で出せたんだ…………いや、死ぬ死ぬ!この距離じゃかわせない!生き返らせてあげないっての嘘だったら良いなぁ……。
「ちょっと待ってあげようよ〜」
瞬間、時が停止した。
無数の氷槍が動きを止め、場にいる3人は瞬きさえ禁じられた。
その中をおっとりと歩くファティが、氷槍を1つずつ壊していく。
しかも壊し方は素手で握り潰している。
どうしてこの世界の住人はこう、常識離れしているんだろうか……。
……それにしても時は止まっても思考は止まらないらしい……そして思考が止まっていないって事は勿論色々感じるわけで……何が言いたいかというと……辛い!無理に氷槍を避けようとしていたせいで体が後ろに仰け反っていてこの体制はかなり辛い……早く解除してくれ……。
「終わりました〜」
ゴンっ!!
「痛い!解除するなら事前に言ってくれ!」
あれ?これ時が止まった空間で仰け反りとかテラジョジョ……とか思ってる時に解除されたから思いっきり頭ぶつけたんだが……。
「何アホな事してるのよ……てかファティ!なんで止めたの!?」
「だって、話にまだ続きがありそうだったんだもの〜」
「確かにそう言われればありそうでしたね……」
「そうなの?優希?」
渋々といった様子でアイナが聞いてくる。
てかロミーナさんも、わかってたなら止めてくれても良かったのに……。
「何か言いましたか優希さん?」
「いえ何も!」
ほんとに何も言ってないのになんで察しちゃうんだ……。
「で、なんで俺が驚いたかだけど……とある幽霊にアイナは友達がいないって聞いたんだ」
あの話はここに仕えることになった結構重要なファクターなんだけど……。
「は?幽霊?なにそれ?」
知らないのかな?もしかして俺にしか見えないとか?それも中々ロマンチックだけどこのままだとさっきの二の舞だ……誰か覚えてないのか?
「お嬢様……もしやあの、幽霊3人組の事じゃ……」
「あぁ!あの3人ね!で、誰が言ってたの?」
「あの、黒髪の美人の女性だけど……」
「ぐっ……なんか言い方がムカつくけどやっぱりあいつか」
「そうですね、あいつで決まりでしょう……紹介の仕方に抵抗を覚えますが」
「あいつ?なんだその刺のある言い方は?あんなにいい人を……」
てか、紹介の仕方って……3人だって俺が紹介する時は同じような感じになるけどな。
ホントに、見た目はパーフェクトなんだけどなー。
「やっぱり騙されてたのね……」
「救いようのない……」
「そんなに!?てか騙されてたって……」
「そうよ、あの幽霊達は3人で組んで人を騙すのが好きなの……つまりあんたが聞いた私に友達がいないとかの話は全部嘘」
「なん……だと……?」
「え!?じゃあこの世界は生まれた時から見た目が固定ってのも、アイナが前お尋ね者で、ロミーナさんから命を狙われてたって話も!?」
「なわけないじゃない!こんな可憐な乙女がお尋ね者なんて!」
「………………」
「なによ?何か言いたげね?」
アイナの周りにはいつの間にか先程壊された氷槍がこちらをロックオンして漂っていた。
「いえいえ!可憐じゃ言葉が足りないなって思っただけです!はい!」
「それならよろしい!」
アイナは可憐ってより、苛烈だよな……。
「じゃあ私は〜?」
「うーん、ファティは…………てか、ファティも心読めるのか……」
「優希さんは読めないんですか〜?」
「そうなんだよ、この世界では読めるのが当たり前なの?」
もしそうなら常日頃から思考を覗かれてるって事だから中々怖いと思うが……。
「いえいえ〜私達は自分で言うのも何ですがかなり凄いほうなので〜この世界にもそれこそ優希さんと、同じくらいの能力の人もいますよ〜」
「へー、じゃあやっぱり、アイナの魔法とか、ロミーナさんの運動能力とか、ファティの時止めも、かなり凄いほうなの?」
「そうですね〜凄いほうっていうか、その3つに関しては私たち3人はほぼ最高クラスなんですよ〜!」
自慢げに胸を張るファティ。
視界のブラックホールに目を持ってかれないようにしながら安心する。
まあ、あの能力たちが標準装備だったら中々にぶっ壊れの世界だ。
「まあ、飛行魔法くらいは大体誰でも使えますけどね〜」
「マジで!?俺も使えるかな!?」
「優希さん、ジャンプは出来ますか?」
「え?ジャンプって普通にジャンプ?」
「そうそう、ぴょんぴょんって、」
「これでいいの?」
出来ないわけないけど……。
もしかして、実はこの世界はジャンプするのが難しいとか?その場で2、3回跳ねてみる。
「いや普通に出来るけど……?」
「じゃあ飛べるわよ、簡単に言うとその感覚をずっと維持してるだけの話だからね〜」
「そんな事言われても……」
違和感あり過ぎて普通に無理なんだが……。
てか、飛べない人ジャンプ出来ないのかよ……。
「じゃあ、今度教えてあげようか〜?」
「おお!是非!」
マジでか!吸血鬼のコーチ付きで空を飛ぶ練習とかマジで夢がひろがりんぐ!!
……ってあれ?
「あのー2人とも、どうしたの?そんなにむくれちゃって……」
「別に! 飛行魔法なら私の方が上手いし!?」
「別になんでもありませんよ?まぁ、教えるのは私が一番上手いですけどね!一番年上ですし!」
…………え?
なに?どういう事?嫉妬?嫉妬されてるの?
レアアイテム入手した時ぐらいしか嫉妬されないからこういう嫉妬は、初めてなんだけど……。
「別に嫉妬じゃないし!」
「そうですよ、ただやっぱり優希さんも教えるのが上手い人に教えて貰った方がいいかなって!」
「でも、私が最初に教えてあげるって約束したもーん」
ファティも入ってくるのかよ!
(だって、面白そうなんだもの〜)
そうですか……ってかホント便利だなテレパシー、心の中覗かれるのは普通に怖いけど……。
そんなこと考えてるうちに3人の間の火花は勢いを増して。
「ねぇロミーナ?あなたメイドでしょう?主人に譲りなさいよ」
このアイナの一見的確な指摘もロミーナさんはさらっとかわし。
「いえいえ、アイナ様、こんな役目わざわざお嬢様がやるほどのことではありません、メイドにお任せを。 それよりファティさん?まだ会ったばかりの人に教えるのは中々辛いでしょう?変わって差し上げますよ?」
受け取ったバトンを二割増に重くしてファティに回す。
しかしファティも負けずに
「そんな事ないわよー、だってこの人の血、とても美味しかったもの〜血が美味しい人に悪人はいないわ〜。 それよりアイナは、魔法に関しては天才タイプだから教えるのに向かないと思うわ〜」
おっとりと、しかし鋭く相手の嫌なところを的確に突いていく。
…………怖っ!女子怖っ!
とにかくこのままじゃリアルファイトに発展しかねない……この3人でリアルファイトなんてしたら割と本気で地獄になる…………ちょっと見てみたいな……誰が勝つんだろう……足だけになっても生きてて時止められる吸血鬼か、手刀でドラゴンの首を切り落とせるウサミミメイドか、生かすも殺すも自由自在なロリ魔女か……………………いや、てかそれ巻き込まれたら俺も死ぬな……。
流石にそれに巻き込まれたら生きてられる気がしないしとりあえずこの争いを止めとこう。
「ねぇ、3人とも!」
「なに!?」
「なんですか!?」
「なーに!?」
「俺としては一緒にいて楽しい人に教えてもらいたいんだ!
だから、ゲームで誰が教えるかを決めようぜ!!」
さてさて、次回からはゲームしていきますよー!!




