ゲーム7
またまた遅くなりました!
新キャラ登場です!
「着いたわよ、ここらへんがその友達が住んでる区域よ、多分この部屋に居るわ」
長い旅を終え、何とかアイナの友人がいるという部屋の前に辿り着く。
「へー、この屋敷って住人によって区域が分けられてるんだー。
でもさーそれより……遠すぎじゃない!?」
こんなに大きな声で突っ込んだのはちゃんとした理由がある。
何故ならここまでアイナの部屋からここまで実に歩くこと実に五時間。
ここに来るまで途中で魔法使いの団体さんだったり、ロミーナさんの同族っぽい人達だったりを見かけた。
一体この屋敷どんだけ広いんだと驚かざるを得ない。
「だから飛んで行こうって言ったんじゃない」
「そうですよ優希さん、飛んでくれば一時間かかりませんよ?」
アイナとロミーナさんはまるでアニメにハマった中学生のごっこ遊びのように言ってくるが、この二人の言っていることはガチだ。
「あのさぁ、今更かもしれないけど……俺、飛べないから!」
「「え!?」」
「何その意外そうな顔!俺か?俺がおかしいのか!?」
「えー、マジ飛行出来ないの?」
「キモーイ!」
「無飛行が許されるのは3歳までだよねー」
「キャハハハハ!」
「なんでお前らがそのネタ知ってるんだァー!!」
絶対こいつら異世界人じゃねぇだろ、ただのネトウヨだろ!
てかこの世界じゃ四歳児からは空飛ぶのが当たり前なのか……。
足とか退化したりしないんだろうか……。
「まあ、とにかく着いたんだから良いじゃない」
誤魔化した……どっちの事か分からないけど絶対誤魔化した……。
両方とも異世界物のご都合主義ってことなんだろうか。
イヤでも、流石に前者は……。
「しつこいですよ優希さん、しつこい男は嫌われます」
半分笑って明らかに面白がっている目で優希を責め立てるロミーナ。
「なんかさっきからロミーナさん当たり強くない!?」
いつもなら「ごめんなさい」ぐらい言ってくれそうなのに……。
「あなたに私の何がわかるんですか!!」
そして突然の逆ギレ。
「ええ!?なんで怒られたの!?」
さらに困惑する優希。
「すいません、ちょっとキャラ付けしてみようかと」
いや、うさ耳巨乳メイド以上のキャラなんてないだろ……これ以上一体なにを……。
「多重人格のヤンデレで実は義理の妹で、中二病の世界を守る勇者の1人ぐらいは……」
「多いよ!キャラ付けってよりそれもうキャラ漬けだよ!」
今の我ながらうまかったな……。
「10点っと……」
「ねぇそれ何点満点!?100点じゃないよね?違うよね?」
十点満点だよな……そうに決まってる。
「はい、勿論違いますよ「だよねー良かった!」千点満点です」
「もっと低いのかよ!」
100点換算で1点だぞ……評価厳しすぎだろ。
「正確には上手さで710点で、ドヤ顔で-700点です」
テヘ、と可愛らしい笑顔で心を折るような事を言うロミーナ。
「そんなにウザかった!?ねぇねぇそんなにウザかった!?」
-700点って……そんなにか……なかなか落ち込むな……。
「落ち込んでる様が面白いので+990点です!良かったですね満点ですよ!」
楽しそうに飛び跳ねるロミーナ。
「ロミーナさんってドSだったんですね!」
あまりの毒舌に驚きつつも正直跳ねる時のあの半端ない胸の踊りを見れるならあと2時間くらいは罵倒されてもいいと思う。
「…………そろそろいいかしら?いる部屋がわかったわ、ここから2つ奥の部屋だと思うわ」
「お、おう……」
「は、はい……」
なんかアイナ気を遣われると恥ずかしいな……そうゆう大人な所もあるんだな……見直したぜ。
「それと優希」
ついでとばかりに口を開くアイナ。
「ん?」
なんだろう、まだ注意されるところがあったのだろうか?
「さっきギャグ、私を会話の輪に入れてくれなかったから-1000点よ」
「ただ仲間に入れてもらえなくて拗ねてただけかよ!!」
てっきり大人になったと思ってたのに……見直して損したわ!
「あれ?」
しかしアイナはそんな俺のツッコミをスルーし、居るはずだと言った一つ前の部屋で立ち止まる。
「どうした?」
もしかして怒らせたか? と懸念を抱き何時でも逃げられるように足に力を入れる優希とは対象にロミーナはなにかを察したように、声を低くしてアイナに確認をとる。
「お嬢様……もしかして……」
正直全くなんのことか分からないがそれでもアイナとロミーナさんの間では今のだけで通じるようでアイナは鋭く頷いた。
どうやらアイナの友達はこの部屋にいるようだ。
「まあ、とにかくここか……なんつーか、教会か?」
ドアにはでっかく十字架が掘ってある、友達はシスターとかなんだろうか?
そんな呑気な事を考えている俺とは対象的に隣のふたりはワナワナしながら、
「お嬢様!!」
「ええ!急ぐわよ!早くしないと手遅れに……」
「ええ!?友達の家に手遅れとかあるの!?」
なんだ?死にかけなのか、御見舞とかにきたのか?
「今は詳しく話してる暇はないわ!」
バァン!
ドアを開けるとそこには、大きな聖堂があり、その奥には縦10m以上あるであろう神聖な女神像が立てられていた、さらにそこには………………縦横無尽に走り回る足がいた。
「ファティ!」
「え!?あれ?お前の友達足なの!?」
幽霊が普通にでる屋敷だから多少は覚悟してたけども足は流石に……流石、混沌都市……
。
「何バカなこと考えてるの!どう見ても死にかけてるじゃない!」
「死にかけってか死んでるだろ!」
あれでも死んでない(アイナ談)とかどんな生命力だよ……。
「二人とも!カーテン閉めて!早く!」
「わかっ……うわっ!?」
俺の返事が言い終わる前にロミーナさんが黒い影となってカーテンを全て閉めきってしまった……。
やっぱはえーな……どんな脚力してるんだ?
元立ってた所の床割れてるし……。
「あと、女神像も壊して!」
「いやそれは流石に……ってもう壊れてるし」
早押しクイズじゃないんだから……てかロミーナさんが移動して壊したの俺見えなかったんだが……まあ、ドラゴンの首手刀で落とす人だからな……。
今後絶対にロミーナさんだけは怒らせないようにしようと心に誓ったその時。
「ジャオリキュ!ベホマジュン!」
「いや、俺の時と待遇ちがくね?おかしくね?」
そんな俺の心の叫びも虚しくその、ファティと言うらしい人物 (?)が、緑色の眩い光に包まれ復活してくる。
だがしかしどうやら服までは復活できないようで少しずつ肌色が多くなって……「ちょっと死んでてください」
俺が目線を奪われている間にロミーナさんが空気を読んだのかどうかはわからないが、よく漫画などで見る首の後ろをトンってやって気絶させるヤツをやってきた。
ただ一つだけ違いがあるとしたら……「トンっ」じゃなくて「スパッ」だった事だ。
俺は妙な浮遊感と同時に頭と体が段々遠ざかっていく奇妙な感覚を感じながら意識を手放した。
「じゃねえ!」
「お、今回は一回ね、運がいいわね優希!」
「よくないだろ!なんで殺されてるのに運がいいんだよ!てか、ロミーナさん別に殺さなくてもいいじゃないですか!!普通に気絶で良かったじゃないですか!」
あまりにも理不尽な暴力に異議申し立てる。
「なによ、生き返らせてもらっただけ有難いと思いなさいよ!」
「そうですよ優希さん」
「そうだそうだ〜」
しかしどうやらこの世界ではこの異議申し立ては却下されるようで、むしろ逆に断罪されそうな勢いだったので諦め、せめて命の保証だけでもと懇願する。
「そうですね、出来たら生かしといてもらう方がありがたく思います」
「贅沢な……」
「優希さん、人には分相応というものがあってですね?」
「ぜーたくー」
「生きてるのすら俺には釣り合わないと!?」
なんという鬼畜……ってか、あれ?「なんか一人多くない?」
「今頃気づいたんですか……あなたが死ぬ前に熱い視線を送っていた人ですよ……」
「お、送ってねーし! 初めて会ったのに印象悪くなるだろ!」
「別に気にしてないよ〜初めまして〜、
吸血鬼のソフィーナ・ファティです〜年齢は〜アイナと同じ〜」
「ああ、それは良かった、初めまして佐藤優希です、一応この屋敷の使用人やらせてもらってます……ってえ?同年代?アイナと?」
「そうですー」
え?だって明らかに全てのボリュームが……
「何か言いたげね優希?」
「いえ、何でもないです」
ほんとに何でもないです、同じですどう見ても同年代です。
って、なんで俺心の中でも言い訳してるんだ……。
「……ところで、ソフィーナさんはなんで足だったの?」
「ファティでいいわよ〜あれはね〜私って吸血鬼だから、日光とか十字架とかに弱いから灰になっちゃってたのよ〜」
なんていうか……ほかの2人と違って安心感があるな〜。
「あら?一体誰のことかしら?」
「本当に誰のことでしょうねお嬢様?」
後ろからとんでもないスピードで死が迫っていたので急速にハンドルを切る。
「な!なんでそんな弱点の場所にいたの!?」
「話題をずらさないでもらえますか優希さん?」
「ヒィ!やめて!殺さないで!」
「私はどれだけ心が狭いと思われてるんですか……」
「髪の毛と髪の毛の間ぐらい……」
「わかりました、あなたの毛根を全て消し去ってあげましょう」
「ってのは嘘で!この部屋全体ぐらいかな、うん!」
「ファティさん、この部屋の壁取り払ってもいいですか?」
まだ足りないのかよ!
この部屋三十畳ぐらいあるのに……。
「いいですけど……なんで居たかはもういいんですか〜?」
場の三人のテンションにおいてけぼりを食らって困惑気味のファティ。
どうしてこんなに真面目な人で普通の人がアイナなんかと友達に
「そ、そうですね、なんであんな所にいたんですか?」
こんなに普通の人が自分が灰になってしまうほどの場所に行くなんて……よっぽどの理由があったんだろうな。
「それは……「どうせ寝ぼけてたとかでしょ?」そう!流石よく私のことわかってる〜」
アイナに理由を当てられたファティは嬉しそうにはにかむ。
「え?」
「だから!この子は超天然で、寝ぼけて死にかけることが結構あるのよ」
「そうなの〜」
「え?死にかけて、足だけになっちゃった理由が……寝ぼけてただけ?」
「だけなんてひど〜い、私は吸血鬼だから、夜型なのよ、だから朝はすっごく眠いの、優希だってそういう事あるでしょ?」
……どうやらこの天然巨乳吸血鬼、アイナの友達に相応しい人物のようだ。
「ちょっと!なんでそこで判定するのよ!」
「だから心を読むな!」
「フフフっ、中々楽しそうな人ね〜」
「それはどうも、それにしても吸血鬼か……そうは見えないけどなー」
どう見てもただのコスプレにしか見えない、まあそれを言えばあとの2人もコスプレにしか見えないけど……。
「そんな事言ってると吸っちゃいますよ〜?」
そんなファティのどこか官能的なお誘いを受けた俺は
「是非お願い致します!」
全く迷う暇なく即決した。
「アララララ……」
「自ら地獄に飛び込むなんて馬鹿ね……」
「え?地獄?」
「それじゃ、いただきまーす」
服の上からでもわかるはち切れんばかりの胸と芸術的とも言える造形美を醸し出している幼顔が近づいてくる。
どこが地獄なんだよ、天国じゃないか……。
「あーん、カプッ」
「!!?」
こ、これは……。
「痛ったぁー!ちょっ、タンマタンマ、ファティさんタンマ、マジで痛い」
「無駄よ、ファティは血を吸ってる時は一切人の言葉聞かないから」
「ちょっ、それ先言って……」
よく考えれば当たり前のことだった、注射器の数mmという太さでもあの痛さなのに3センチ以上ある、牙を麻酔なしで首筋に打ち込まれたら痛いに決まってる。
あ、なんか眩暈が……意識も朦朧としてきたし……あ、これだめなやつだ……忠告聞いときゃ良かった……。
本日2度目の死を体感しながらアイナの「だから言ったのに……」という声を聞いた。
天然ってなんだ?
(哲学)




