ゲーム25
前回のあらすじ
果たして優希の魔力とは……!
「あの、優希さん……これ……」
「ん?」
振り向くとロミーナさんは、ポケットから見覚えのある包みを出した。
「こ、これは……!」
チ、チョコレートじゃないか!! 前のものはアイナに食べられてしまって諦めていたロミーナさんの手作りチョコレート!!
「あの……優希さんがあんまりにも惜しんでいてくださっていたようですので、時間が足りなかったので一つだけですが……死んでいる間に作っておきました……」
死んでいる間にってなかなか凄い言葉だな……それにしても、ロミーナさん……なんて人間が出来ている人(?)なんだ……!
「う、ううっ……ありがとう……ありがとう、ロミーナさん……」
「そ、そんな泣かなくても……こんなもので良ければ、言ってもらえば何時でも作って差し上げますよ、どうぞ、遠慮なさらず」
ロミーナさんは手にチョコレートを持ちこちらに向けてくる。
ま、まさかこれは……巷でにわかに囁かれている都市伝説……「あーん」!!?
なんて優しいんだ……まさに女神!
「じゃ、じゃあ……頂きま「いっただっきまーす!!」……え? あれ?」
あれ?可笑しいな?歯ごたえが全くないぞ?
しかも目の前には見覚えのある高さから垂らされた見覚えのあるルビーのように真っ赤な髪。
「あ、リトルフ様、おかえりなさいませ、診断は終わりましたか?」
「ふぇえ、ほぉわっはふぁ(ええ、終わったわ)」
あれ?可笑しいぞ?何も俺はチョコレートを食べた筈なのに……しょっぱい、ロミーナさんったら……塩を隠し味として入れたな?
あれ?なんで俺泣いてるんだ? ああそうか……あまりにも美味しすぎて……。
「って、な訳あるか!!」
「うわっ、ビックリした! なんだ優希、居たなら居るって言いなさいよ」
この野郎……反省の色なしだと?
いい加減に思い知らせてやらないといけないようだな……俺とお前の格の違いを……。
「ホアタァァァ!!」
「ミニマムメリャ」
「ぐわあああ!!熱い!熱い!すいません調子こきました許してください!うわあああ!」
「全く……いい加減格の違いを学びなさいよ……」
酷い格差社会を見た……というか体験した……。
それにしてもあんなライターの火みたいなちっぽけな火で死にかけたぞ……。
「まあいい、で、結果は?」
「あれ?今度は泣きわめいたりしないのね?あれ結構面白かったからもう一度見たかったんだけど……」
この野郎……狙ってやりやがったのか……まあいい、コイツは後で部屋に帰ったら絶許ノートに大きく名前を書いておこう。
フッフッフっ……俺が下校中に堪えきれずにうんこ漏らしたことを、学校中に言いふらした、たかしくん並に大きく書いてやるぜ……。
「うわっ汚っ!」
「流石にそれは……」
「だからお前ら心読むのはズルイだろ! てかお前らだって一回ぐらいあんだろ!」
「いや、私テレポートあるし」
「私も走れば数秒と掛からないので……」
くっ……化け物どもめ……。
「まあ、そんな話は置いておいて!」
「あ、話逸らしたわよ」
「逸らしましたね」
「うるさい!逸らしてないから! 本題に戻そうとしただけだから! で、俺の魔力はどうだったんだ?」
そうそう、こっちが本題だ、俺に主人公としての素質があるかどうかもかかっている。
「そうね、じゃあ結果から言うわ、貴方の血の染み付いたハンカチからあなたの血の成分だけ取って検査したところ、微量ではあるけれど、陽性……いえ、小さく陰性を示したわ」
陰性?って事は魔力無し?
「慌てないで頂戴、魔力はあったわ、だから最初に陽性だと言いかけたの、しかし貴方の魔力は微量ながら通常では有り得ない反応をしたの、簡単に言うなら逆、逆の方向に陽性だった、つまり通常ならば有り得ない「陰性」という事ね……」
「通常では有り得ない!?」
おおっ!流石俺! 異世界転移してきただけの事はある、主人公の資格あり、しかもチート系主人公キター!!
「だから、慌てないで、いい?通常では有り得ないというのは決していい意味ではないわ、貴方の魔力は流れが逆なの、私達と全くの逆、これが生まれついての物なのか、それともそっち側の世界特有の物なのかは分からないけれど、逆」
「ふむふむ……わかりやすく言うと?」
魔力の向きが逆だとなんなんだ? 相手の魔法を全て無効化するとか?
いや、それとも跳ね返せるとか!?
「いいえ、そんな事は出来ませんよ? 何故なら相手の魔法を跳ね返せるか、どうかも無効化出来るかどうかも、全てその魔法に込められている魔力量とこちらがそれに対して行う行動の魔力量によって変わるので、魔力の絶対量が圧倒的に足りない優希さんには不可能です」
そんな希望をロミーナさんが一瞬でぶった斬ってくる。
「じゃ、じゃあ俺には一体なにが出来るんですか?」
「…………頑張ればリトルフ様のミニマムメリャぐらいなら……」
……聞かなきゃよかった……頑張ってミニマムかよ……。
「だから、二人共早とちりしないで、いい?わかりやすく言うと、私達は口や鼻から取り込んだ空気や食べ物を色々な所を経て、魔力に変換しているの、そして、廃棄物、丁度あなたが漏らす物と一緒にカスを外に出すの」
「漏らさねーよ!!」
なんかいつも漏らしてるみたいな事止めてくれるかな!? あれはもう何年も前の話なんだから!
「でも、貴方の場合それが逆なの、つまり貴方が魔法を使うためにはその……その穴から魔力の素となる物、又は魔力を直接供給するしかないわ……」
最後の方は少し顔を防ぎみに声を抑えて説明していた。
「ってえええ!!? つまり俺の場合は下の口がホントに下の口って事!!?」
「優希さん、もう少し品位を……」
「いやいや、無理でしょ! 俺の体はそんな風には出来てないから! 俺はノンケだから!そんな趣味ないから!」
「当たり前です!」
俺のあまりにもあんまりな発言を聞くに耐え、ロミーナさんの拳が腹にめり込む。
「ぐほっ、いやロミーナさんそれは理不尽……」
「ま、まあ実質不可能に近いけれど、気を落とさないで、慰めになるか分からないけど貴方の魔力には特別な力がもう一つあったわよ」
あまりにも惨めすぎてアイナに同情されていた……。
「と……特別?」
だが、特別と聞いて反応しない男子は男子にあらず、思わず聞き返す。
「ええ、貴方の魔力は、他の魔力を増幅させる効果があったわ」
「ぞ、増幅?」
「ええ、まあ、あんまり自発的な魔力とは言えないけれど、あと、それが理由で、トイレとかの電子機器には魔力が反応しなかったみたいよ」
「自発的じゃない……か」
「ま、まあそう落ち込まないで! 例えば貴方のアレに私が思いっきり魔法を撃ち込めば、貴方の口や鼻から出てくる魔法は一撃は神さまにだって負けない程の威力になるわよ!」
なるほど……その使い方があったか……だがしかし……。
「それ、俺間違いなく死ぬよね?」
「死ぬというか……優希さんは恐らく消えて無くなってしまうでしょう、それはもう、生き返らせることも出来ないほどに……」
さらっとロミーナさんが、お前魔力使えない宣言をしてくださった。
「俺……やっぱり主人公じゃねぇ……な……グフ」
あまりの喪失感に痛みに耐えることも諦めて意識を落とすのだった。
「あ、気絶した」
「多分、魔力があんまりにも酷かったからショックだったんじゃないですか?」
「いや、多分ピナのパンチの性だと思うけれど……まあいいわ、今日は部屋に持ち帰って寝かせてあげましょう」
「あれ? リトルフ様、随分優しいですね?」
「この後すぐ起こして又ファティの所に行けって言うのは酷過ぎるでしょ……私はそこまで鬼じゃないわ」
「失礼しましたリトルフ様」
「……ねぇ、「ロミーナ」。」
「なんでしょうか?」
「もしかして……メイドの時の方が楽だったりする?」
それは、私がロミーナをメイドから解雇し、ロミーナの事を「ピナ」、と呼ぶようにした時から感じていた違和感。
「!! すいません……」
どうやら図星だったようだ……。
「いいえ、私が悪かったわ、私が悪かったなんて言って結局は私の考えを押し付けているだけだったわね」
「すいません……ただどうしても私は、お嬢様のメイドである。 という確かな繋がりが捨てきれなくて……」
「いいえ、貴方のそんな心を感じきれなかった私がいけないの、なら貴女は今から又私の、私だけの、永久メイドになってくれないかしら、ロミーナ」
沢山間違えて、沢山勘違いした挙句の私が出した答え、多分まだ完全な正解じゃないんだろうけど……これが今私が出せる最高の答えだと思う。
「はい!よろしくお願いします 「お嬢様」!」




