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異世界ぐーたらゲーム録  作者: 娯楽作品の虜
グダグダ使用人ライフ
26/37

ゲーム24

前回のあらすじ


優希の初仕事としてファティとの遊びに駆り出されるが、一瞬で殺されてしまい……?

「……見慣れない天井……ではないな……」


生き返って咄嗟に出た言葉がこれか……我ながらなかなかの壊れっぷりだな……。


生き返って目が覚めたのはアイナの部屋だった。

両脇にはアイナもロミーナさんもいる。

まあ、二人とも全く心配している様子はなく、俺の部屋から勝手に持ち出してきたジェンガを積み上げているだけなんだけど……少しぐらい心配があってもいいんじゃないだろうか……。


しかも明らかにジェンガが物理的に有り得ない置かれ方してるし。

まず最初に分かる可笑しいポイントとしてはジェンガの一段目が宙に浮いている。

そこから逆ピラミッド状に積み上げられ、その土台の上に大きな城が作られていた。


まあ簡単に言うと……ラピュ〇の城だった。

なんでこの世界にないものをこんなに忠実に再現してるんですかねぇ……いや、案外あるのか? 異世界だし……てかそもそも俺あんなにジェンガ持ってたっけ?


「これはリトルフ様が全く同じ物を魔法で作り出した物ですよ」


流石ロミーナさん、俺が質問する前に答えてくれるとは、でも出来たら心を無断で読むのはやめて欲しいかな。


「魔力で体をガードしない貴方が悪いんじゃない」


その魔力が全くない俺に、向かってよくそんな事言えますねぇ……。


「というか、俺ってホントに魔力全くないのか?」


俺は平和な日常から、無理やり異世界に転移された男子高校生だぞ?

いわばこの物語の主人公! そんな俺が魔力無しなんて事あるのか? いや、あるはずが無い! きっとどこかに隠された力があったり、ピンチになったら覚醒するとか……。


「何回も貴方死んでるけどそれはピンチの内に入らなかったのかしら?」


「ぐっ……じゃ、じゃあ、相手の魔力を無効化する能力があるとか!」


右手の肘から先に触れた能力は神の力だろうと何でも無効化とか!


「試してみますか?」


ロミーナさんが拳をぐっと握りこちらに向き直る。


「や、止めておきます……」


風圧だけで悶絶物の拳を喰らったりしたら幻想じゃなくて、右手がぶち壊されちゃうよ……。


「それにそもそもその能力、何処が強いの?」


「え? だって右手で触れた物何でも無効化だよ?最強じゃん」


幻想殺しの強さを分からないとは……所詮アイナだな……。


「じゃあ例えばその右手はコップも箸も……こういうジェンガも持てないの?」


アイナは手元にあったジェンガを持って質問する。


「いや、流石にそれは持てるんじゃ……」


「じゃあ、ねぇ、ピナ、これ投げて。 そうね……二割くらいで」


と言ってアイナはおもむろに持っていたジェンガをロミーナさんに投げ渡す。


「はい、では……フッ!」


ロミーナさんが少し振りかぶり、軽い調子で投げたジェンガは、ロミーナさんの手から離れた途端に姿を消し、ラピュ〇の城を粉々に粉砕し、なお有り余るその勢いで石性の壁にめり込んだ。


「例えばその右手は今のジェンガを受け止めて無効化できるのかしら?」


アカン、どう考えても今の一撃をあの人が受け止められる構図が思い浮かばない……。

だがしかし!主人公はそんな事では負けたりしないんだ! 何故なら主人公には主人公補正という物がある!


「確かに受け止める事は出来ないだろう……だがしかし! そんな攻撃はその人には当たらない! 絶対に当たる角度で反射できない速さだとしても確実に当たらない!」


「それは凄いですね……」


俺の主人公補正の説明に感心気味のロミーナさん。 そうだろう、あの人は凄いんだ。

というかあの人何処が不幸なんだ? 明らかに俺の方が不幸だろ、だって、あの人死んでないし。


「貴方も相当幸福な方だと思うわよ?」


「三日で五回以上死んでる俺を幸福だと?」


「そうですよ優希さん、だってあなたは五回も死ねてるじゃないですか、一回しか死ねない人だっているんですよ?」


「む……確かに……俺は生き返ってるだけまだ幸せ……っておい待て、俺が死んだ理由、全部お前らに殺されたからなんだけど……」


よくよく思い出してみると、八つ当たりだったり何だりで殺されてる気しかしないんだが……。


「優希……貴方生き返ったばかりで混乱しているのよ……」


アイナが宥めるように言ってくる。


「そうですよ優希さん」


ロミーナさんまで……ホントに俺が混乱しているだけなんだろうか?


「そうよ優希……だから、混乱解くために……一回死ぬか?」


「やっぱりお前らじゃねぇーか!」


なんだよ、混乱解くために死ぬって、こっちは回線悪くなったゲームじゃねぇんだよ!

そんな電源消すみたいな感覚で人を殺すな!


「ちぇっ、いい案だと思ったのに……」


「ホントに思っていたのならお前は確実に可笑しい……」


「まあまあ、とりあえずこの話はここまでにして、で、何でしたっけ、優希さんに魔力が本当にあるのか無いのか、でしたっけ?」


棚に上げてますけどロミーナさん……貴方もピコピコハンマーで私を撲殺してますからね?


まあ、それは置いておいて……確かにそれは気になるな……俺に魔力があるかないか……。


「じゃあ調べてみる?」


するとアイナが今度は冷静に何事でもないように提案してくる。


「え?調べられるの?」


調べられるのであれば、ぜひ調べてもらいたい!

なんて言ったって魔法なんて生まれてからの一番の夢と言っても過言ではない。

男子だけに留まらず、人類全員の夢だ。


「ただ……これから行うのは言うなれば魔力の精密検査、本来ならば少し対象者の魔力を貰うだけでいいんだけれど……あなたの場合その魔力がないからね……」


「え?じゃあ出来ないじゃん……」


なんだよ、結局出来ないのか……期待させるだけ期待させておいて……。


「いいえ、出来なくはありません」


「え?ホントですか!ロミーナさん!」


「そうね……確かに出来なくは無いわ……、優希、私達が最初に魔力についてした説明、覚えてる?」


最初にした説明……? 確かファティの部屋のトイレで……。


「確か……血液に乗って魔力を全身に運ぶとか……なんとか……」


「そう、つまり魔力というのは血液中に溶けているものなの!」


なるほど、魔力は血液中に溶けていて、魔力検査にはその魔力が必要……。


「えっ……と、つまり?」


物凄く嫌な予感を感じつつも聞かない訳にはいかない気がするので及び腰ながらも聞く。


「つまり、魔力検査には魔力以外を使う場合、対象者の血液が必要なの、それも血液中に流れている魔力は極少数だから、少し多めにね」


その言葉を聞いた瞬間、俺はドアに向かって全力でダッシュしていた、50m六秒前半の力!見せてやるぜ!


しかしそんな俺が一m進んだか進んでないかぐらいで目の前に百m一秒かからないロミーナさんが立ちはだかる。


「しまっ……」


全力ダッシュは途中でいきなりは止まれない!

ロミーナさんにぶつかる……!


「とおっ!」


事はなく無事にロミーナさんの拳から出る風圧に跳ね飛ばされて天井にぶつかったのであった。


「へべっ!」


跳ね飛ばされた時に舌を噛んでしまって、血が止まらない……。


「ナイスよピナ、さあ、このハンカチにその血を染み込ませて」


「はい、リトルフ様。 大丈夫ですか?優希さん」


ロミーナさんが口元の血を優しく拭ってくれる。


「えぇ……でも、あれ? 俺殺されるんじゃ……」


大量の血が必要って言われたからてっきり殺される物だとばかり……。


「いいえ、リトルフ様が仰っていたのは、魔力の時と比べ、という話ですから、実際にはこのハンカチに染み込む程度で事足りるのです」


「あ、そうなんですか……」


なんか、完璧に殴られ損だったな……。

まあ、殴られた時点で得になる事は無いんだけど、死ななかっただけマシだと感じてしまう俺はもうこの世界の命の感覚に麻痺させられてきているんだろうか……。


「さて、じゃあ、調べてくるわ、すぐ終わるとは思うから、優希はファティに対抗する策でも考えておきなさいよ~」


そう言うとアイナはテレポートでどこかに行ってしまった。

「あ、昨日の夜もこれで移動すれば……」

何か言っていた気がするけれどテレポートの途中だったので効果音的なものに邪魔されててよく聞こえなかった。


「さて、じゃあどうしますかロミーナさん」


アイナの言うすぐがどのくらいかは分からないけど、恐らく一時間はかからないだろう。

これから少しの間……ロミーナさんと何かをして暇つぶししなければいけないな……。



読んでくださりありがとうございます。

もしお気に召しましたら他の話も是非ご覧ください。


……書くことなくてこんなこと書いちゃったけど、ほかの作者様はどんな事書いているのだろうか……。

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