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異世界ぐーたらゲーム録  作者: 娯楽作品の虜
グダグダ使用人ライフ
20/37

ゲーム18,5

遅れてすいません……(´;ω;`)

始まりはあの一言だった。


それはファティの部屋から返って来て、優希と別れて、ご飯を食べてお風呂から上がって私の部屋で就寝の準備をしている途中の出来事。


「お嬢様、そう言えば先程一人でももう寝れると仰ってましたよね?」


それは確かに私がファティの部屋でからかわれた時にとっさに口から出てしまった言葉だ。


しかし正直な所そんなこと不可能に近い。 だって怖いし! それにどういう理由か何故かこの屋敷には幽霊が住み着いており一人で寝た日でなんか寝た日にはきっと酷い怖がらせを受けるに決まっている! (怖い+嫌がらせの形容詞系=怖がらせ)


しかしそんな事、一応わたしの使用人という立場であるロミーナに悟られる訳にはいかない。 威厳ある主人で居なければ……!


「ま、まあ……言ったけど? それがどうしたのかしら?」


「お嬢様……非常に申し上げにくいのですが…………心の声ガードするの、忘れてますよ」


「えぇ!?」


……ホントだわ……なんて事、もしかして今までの考えてる事全部筒抜けだったのかしら……。


「えぇ、食事の時の「ウゲッ、私トマト嫌いなんだよな~、なんで入れたのよロミーナ……」辺りから筒抜けでした」


「も、もしかしてロミーナ……いえ、本当にもしかしてだけれども……怒ってる?」


「いいえ、私は別に怒ってなどいませんよ?」


ほっ……良かった……ロミーナったら怒ると結構怖いのよねー。


「結局トマトを残して、そのトマトを魔法で消し去った事も、私がそれに気づかない振りをした時に、少し心の中で私の事をバカにした事も、特に怒ってなどいませんよ?」


「怒ってるわよね!? 明らかに怒ってるわよね? ごめんなさい許してお願い!」


そこから聞こえてたの!?

それよりさっさと心の声ガードしとかないと……よし、OK。

通常心の声をロックするのは非常に簡単だ、自分自身に軽く魔力を被せてやるだけで良い。 むしろ心を読める状態になる、つまり魔力を一切纏っていない状態に、なるなんて相当安心しきっている時でもない限り有り得ない。

何故ならその状況というのは心を読まれてしまう、言い換えれば自身の心への干渉を許してしまうという事で、もしその間に誰かに洗脳魔法をかけられでもしたら、一発でアウトだ。


「いっその事洗脳してしまえば良かったのに……」


隣から聞き捨てならない言葉が聞こえる。


「やっぱり怒ってるんじゃない!」


「ええ、怒っていますとも! そりゃ自分が作った料理を棄てられた挙句に心の中でバカにされたら誰だって怒りますよ?」


「ちゃんと謝ったじゃない!」


そりゃ確かに今回の事は私に非があったけれども、仮にもメイドと主人だ、そこら辺は少しくらい見逃してくれてもいいんじゃないかしら。


「そんな大きい声で怒らなくても……」


「うるさいわね! 影で私の事散々バカにしてる癖に!」


そんな噂一度も聞いたことないけど、この時は引っ込みが付かなくなってついついこう言ってしまった。


「そ、そんな……お嬢様は私の忠誠すら疑うのですか……?」


「忠誠? そんなの本当にあるのかしら?」


そんなこと全く思ってないのに、頭に血が登ってつい口からでまかせが出てしまった。

料理で出てきたトマトだって私が食べやすいようにと精一杯配慮してあったし、量も少なくなっていた。

今となればそんなこと分かりきっているのに、ついつい毒が出てしまったのだ。


「そんな……! すいません、少し頭を冷やしてきます……」


ロミーナは敷きかけの布団をそのままに出ていってしまった、その顔には涙さえ浮かんでいるように見えたが、私はその最後の引き留めるチャンスを自己嫌悪に費やし、逃してしまった。


そして今に至る。

ロミーナがこの部屋を出ていってから早くも一時間が過ぎようとしている。

ロミーナは兎人故にその特性を色濃く受け継ぎ(本人談)一時間以上人と触れないと寂しさで死んでしまう。

ロミーナは大丈夫だろうか……、ロミーナなら本気を出せば一時間かからずにこの世界を一周する事も可能だから死んでしまうという事は有り得ないとは思うが……。


「よし、ちゃんとロミーナに謝りに行こう」


さっきの数々の心無い言葉を主人としてちゃんと謝らなければ!

それに…………怖い!

鏡に映る自分が怖い、天井に映るシャンデリアの影の揺らめきが怖い、無駄に広いこの部屋が寂しさを加速させる、正直もう限界……寝ようにも怖くて一人じゃ寝れないし……、よし、やっぱりロミーナに謝って一緒に寝てもらおう、もうこの際主人の威厳とかどうでもいいから、土下座してでも許してもらいましょう。

恐怖の前では威厳も何もない!


「さて、じゃあ探しに行きますか……」


今はファティの所は絶対に行かないだろうから恐らくロミーナは優希の所だろう優希の部屋なら私の部屋をでてすぐ右よね、魔法で距離を縮めてしまえば数十メートルないわね。


よし、行きましょうか!

と意気込んで部屋のドアを開ける。


開けたドアの先に広がる景色は闇。 黒一色。


暗い! 怖い! なによあれ、夜の廊下ってあんなに暗くて不気味なものなの?

数メートル先も見えなかったわよ!?

滅多に夜に外になんか出ないし出る時もいつもロミーナがいた私にはこのミッションは辛過ぎる……。


「そうか……私はこんな暗い廊下にロミーナを追い出したのね……やっぱり謝らなくちゃ!」


しかし謝りに行くとしても流石に生身じゃあの暗闇に太刀打ち出来ない……仕方ないわね。

久しぶりに本気を出す時が来たようね!


「スー、フー、スー、フー……」


呼吸を少しずつ深く、大きくしていく、屋敷に掛けている魔法も最低限の物以外は身体に戻し深呼吸をゆっくり繰り返す。


すると部屋全体の空気が重くなり、部屋の内装も歪んで見えるほどまで空気中の魔力密度が大きくなる。


最後にその部屋中の魔力を全て取り込むように大きく深呼吸をする。


「すぅぅぅぅ……よし、完璧ね」


そのすべての魔力を身体中を覆うように調整する、何重にも何重にも重ねて束ねて、身に纏う。


この状態の私ならどんな呪文も無詠唱かつ最大威力で繰り出す事が出来る、さらに纏った魔力の壁がどんな呪文もその呪文の魔力量が私の纏っている魔力量を超えない限り全て跳ね返してくれる。


「よし、行くわよ」


恐らくロミーナがいるであろう優希の部屋までは廊下にでて右側、百メートルもない、これなら絶対に大丈夫よ! 大丈夫よ……大丈夫よね?


思わず自問自答してしまったがこの状態の私に触れられる者なんてこの世界にも数える程も居ない、そうだ、私は強いんだ!


「ふぅ……よし、いくわよ!」


覚悟を決め部屋の扉を思い切り開く。

しかし開けた先には思いもよらない人物がいた。


「ロミーナ……一体なんでここに……? それに貴女……魔力全開放して完全に戦闘モードじゃない……それは一体……」


ロミーナの魔力完全開放状態。

それは身体強化の能力を極限まで強化した状態、1歩踏み出す度に大地は裂け、空は啼き、空間が悲鳴をあげる。

魔力全開放の私に触れられる数えるほどの人間の一人だ。


そんな状態のロミーナが何やら甘い香りを漂わせながら、さっきめちゃくちゃ酷いことをした私の前に居る…………これはつまり……復讐!?


「な、なによロミーナ、さっきは確かに悪かったけど、そこまでする必要は、ないんじゃないの!?」


悪口言われたから復讐なんて……私でもそんな事……考えちゃうわね。


「何を言っているんですかお嬢様!? 私は唯この屋敷の魔法が、いきなり弱まって、有り得ない程の魔力が、お嬢様の部屋に集中しているので、食べかけだったチョコレートをなるべく早く食べてから来ただけですよ!?」


どうやら私の勘違いだったようだ、それにまたしてもロミーナを、疑ってしまった……私は……私は……。


「どうしたんですかお嬢様!? 食べてからかよ! って突っ込んでもいいんですよ?」


いつもよりしおらしい私を見てロミーナは激しく動揺している。

こんなにも私のことを心配してくれている人を疑うなんて……。


「違うの……違うのよロミーナ……私が悪かったわ……さっきの事は……いえ、さっきの事も、今までごめんなさい。 貴女が出ていってしまって一時間、独りで部屋にいるのは寂しかった、貴女が隣にいない廊下は暗くて怖かった……今更ながらに気付いたわ……私は貴女に支えられて出来ている……本当にごめんなさい、反省しているわ。 だから、これからも私を支えていてくれないかしら?」


周りから見たら小さな口喧嘩だったかも知れない、でも心というものはそんな小さな事で離れていってしまう……それは嫌だ、ロミーナと離れるのは嫌だ。


それを聞いたロミーナはいつもと変わらない笑顔で微笑んだ。


「大丈夫ですよお嬢様、正直さっきは、あの気まずい空気が、めんどくさくて逃げた、だけでしたので」


「え?」


え?今ロミーナなんて言ったの? よく聞こえなかったのだけれど……。


「え? だから、正直別にお嬢様に何かあったから出ていったわけじゃないですよ? だってあんなのいつもの事じゃないですか、私が何年間お嬢様のメイドをやっていると思っているんですか? あんな事で一々イラついたりしていたら、身体がいくつあっても足りませんよ」


そうだった、そういえば前にも何回か今日みたいな事があってその度にこうしてバカにされたことがあったわね……。


「ねぇロミーナ?」


「なんですかお嬢様?」


「貴女って今全力の状態な訳じゃない?」


「そうですね」


ロミーナの魔力壁は神器級の武器でもなければ身体に触れることさえ出来ないほど分厚く輝いている。


「だったら……」


左手にはマイナス273度の氷球、右手には2000度を超える焱球が無意識内に出現する。


「あの……お嬢様?それは一体どのようにして、ご使用なさるおつもりで?」


右手の焱球から発せられる熱に充てられたのかロミーナは額からダラダラと汗を流している。


「大丈夫よ、もし死んでも生き返らせてあげるから」


「お嬢様、それは不味いですって本当に!」


左手の氷球と右手の焱球を併せて一つの混沌と成す。


「わ、た、し、に、恥をかかせやがってぇぇぇ~!! 喰らえ! めどりょぉおあ!!」


「ちょっ、お嬢様、これホントに不味い、《ハーベストインパクト》!」


混沌と究極の破壊が激突する。

この夜の出来事は後に屋敷内で混沌の宴と言われる事になるのだが、それはまだまさにその混沌の宴の真っ只中の2人には知るよしもない話である。

次はすぐ出せる予定ですよ~♪

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