月下の船
何も見えない暗闇の中で
ゆっくりとボートを漕いで目を凝らします
明日がどちらかも分からない中で
ぐるぐるとその場で回り続けていることも知らないで
もうボロボロになってしまったのか
それともまだ傷一つ無いのか
自分の姿も確認できていない状況で
この先進んでしまって良いのでしょうか
チカチカと蛍が光っています
捕まえて掌に抱えると
ぼんやりとほのかに明りが灯りました
辛うじて私のボートは無事なようで
まだ先に進む事はできそうです
再びゆっくりとボートを漕ぎ始め
不安定に水面の上を流れて行きます
もう少し進んで行けば
きっと月明かりの下に出ることができるのでしょう