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班分け開始


 体育館は多くの生徒でごった返していた。世界中のあらゆる地域から人材がやってくるのでそれも当たり前かと楓は納得した。日本、アメリカから百人ずつ、ヨーロッパから二百人、アフリカから百人、南米からも百人、オセアニアからも百人。そして中国から百人と他のアジアから二百人。そして特待生が一人の合計千一人の新入生だ。

 上級生も含めると三千人も生徒が所属することになる。聞いていた通りの巨大な学校だと楓は息を呑んだ。普通の学校と比較するとバカみたいに広い体育館がひどく窮屈に感じられた。

 あまりの衝撃に感嘆している間に、入学式は次々と進んでいく。校長が何を言っていたかなんて全然耳に入ってこない。ただただ、ついに自分はこの舞台に立てたのだと奮い立つ。

 入学式がクライマックスに近づいたその瞬間、試験における最優秀生徒の発表になった。今年の最優秀生徒は満点がやけに多かったようでかなりの人数だったらしい。そのため、代表者が一人だけ呼び出された。神道 宗哉という赤髪の日本人だった。

 壇上に、その少年が上がると皆が何だか緊張感に包まれたのを楓も感じ取った。やや長身で、体も鍛えられておりスタイルがとても格好いい少年だった。顔の容貌もとても整っている。目が鋭いのは氷室と同じだなと彼は感じた。ただし、あの男子の目は冷たさよりも熱さの方が目立っていた。

 彼が最優秀生徒として二言三言口にすると、すぐに壇上から撤退した。彼の背中を見ようともせず、教師陣は他の優秀な生徒を紹介し始めた。日本人だけでも六人、全体としては七十人近くの者が満点である。自分も氷室も入っていたため、楓は内心喜ばしい思いでいっぱいだった。

 そしてそのまま入学式が終わったかと思うと、教頭がマイクを手に取った。全校生徒に、この入学式が終わったら自分の地域の校舎に行くようにと告げる。そこで、ケイドロに関する説明を受けてもらうと。


「一クラス五十人のクラスだ。多いとは思うだろうが教室も広いから気にしなくて良い」


 既に、入学前にクラスは発表されている。同じ寮舎に住んでいる五十人が同じクラスのメンバーになる。先程の神道という男も、氷室も楓と同じクラスだった。

 教室に向かう間に神道は女子から引っ張りだこのようだった。容姿端麗で成績優秀なのだから、人気が出てもおかしくない。他の男子は特に羨ましいとは思っていないようで、別のことに緊張しているようである。


「あら楓、良かったわね、最優秀生徒に選ばれて」

「お前もだろ」


 皮肉っぽく近づいてきた氷室に楓も嫌味っぽく切り返す。だが、氷室には堪えているような素振りはない。お前は神道に興味がないのかと楓が尋ねると、首を横にふった。


「私自身目付き悪いからね。ああいうのには興味ない」

「確かにお前はそういうのに興味ないもんな」


 そこで二人の間の会話は途切れた。それにしても、未だに女子が群がっているなと氷室は神道の方を見て冷ややかな目線を送っている。尤も、その視線の対象は群がっている女子なのだが。

 だが、すぐ近くに氷室と同じように彼に群がっていない女子生徒も一人いた。その少女はすぐ近くにいるやや小柄な少年と話し込んでいた。同じ班になれるかなぁと、幼そうな声で話し相手の男子が尋ねている。


「私たちはどうなのかしらね」

「俺はご遠慮」

「どういう意味よ」


 適当に言葉を濁して楓は逃げる。あからさまに邪険に扱われたことで、彼女の苛立ちは急速に募っていった。言わない方が良かったかと楓は後悔する。だが、もう手遅れには変わりなくて眉間に皺の寄った氷室の顔つきに怯えるしかない。


「ていうか、ケイドロってなぁ……」

「安心しなさい。あんたが思ってるよりよっぽど複雑だから」


 下手したら真剣に落第の可能性もあるんだぞと氷室は楽観的な楓に釘をさす。そんなに厳しいのかと、彼の表情は曇った。一応、できるだけ優秀な成績で卒業したい彼にとってはこれは効果てきめんだったようだ。


「着いたわよ」


 目の前には、こじんまりとした校舎が立っていた。日本人だけの校舎なので六クラスしかないのだからこのサイズでもおかしくはないかと楓は納得する。立ち止まっていると、誰かと肩が当たった。


「あ、すいません」

「ごめん、こっちこそ前見てなかった」


 振り返ると、同じくらいの背丈の少年がいた。珍しい、紫色の髪の毛だ。眼鏡をかけているその様子は何だかひどく知的に見えた。だが、彼が腰に下げている木刀は何だかアンバランスに思えたが、やはりよく似合っている。

 ちゃんと木刀の帯刀許可はもらっているとよ、彼は口にした。楓がじろじろと木刀を眺めているのに気がついたのだろう。そうのんだと、楓は適当に相槌を打つ。

 校舎の中から複数人の先生が現れる。手には大きな段ボール箱を持っている。中に何が入っているのか分からないが、丁寧にそれを地面に置いた。中身はまだ分からない。


「全員いるな」


 これから班分けを発表する。そう言って、先生のうちの一人が名簿を取り出した。そして、既に決められている班の構成を一つ一つ読み上げる。

 そして仲間は、集結するーーーー。

お気に入りのキャラクターはしょっちゅう使い回してしまいます。

この小説の主人公は、自分の過去作の主人公が集合しています。

一番メインとなるのは楓と氷室ですが、一応主人公は班員全員です。


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