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序章

はじめまして。初投稿作品です。二次創作ですが、温かい目で見てください。

桜を咲かせたい……ただそれだけの願いをなんで叶えさせてくれないの……。そう。あの巫女さえ邪魔しなければ私は桜を見ることができた。あの巫女さえ邪魔しなければね……。





――幻想郷。

結界を隔て、自分たちの住む世界の裏側に存在する世界。そこでは、妖怪、人間、神までもが平和に暮らしていた。どんなわがままも許される。だが、ひとつだけ。何があっても許されないことがあった。幻想郷に害なす出来事……。幻想郷の住民はそれを


異変


と呼んだ。


あるときは、何年も咲かぬ桜を咲かせるために春が来ない冬が続き――


またあるときは、空が赤い霧でおおわれ――


またあるときは、月が隠され、夜が明けない事もあった。


その異変を解決してきたのは、博麗神社の巫女にして結界を守る者。博麗霊夢。まあ、解決して宴会があるのはいつものこと。


――……ここに……もう一度同じ異変が起こるとするならば……どうなるだろうか……。


場所は白玉楼。冥界の中にある幻想郷の中でも特殊な場所とも言える。冥界……。亡霊たちが住まうところ。言わば、あの世。ここの主である西行寺幽々子は、この冥界に……白玉楼に住む、亡霊の管理者であり、お嬢様である。


――西行寺幽々子も、一度は異変を起こした張本人……。何年も咲かぬ桜……西行妖を咲かせるために春を集めた張本人である。

「……」

今日も桜を見上げていた。事を起こしておきながらも未だに咲かぬ桜を毎日のように見上げていた。

「幽々子様」

後ろから声がかかる。白玉楼の二代目庭師。魂魄妖夢だ。毎日のように幽々子のお世話と、剣術指南(幽々子が最近やる気をなくしている)。そして庭師も勤めている。幽々子が屋敷の中にいないときはこうして桜の場所にいる事を知ってここに足を運ぶ。

「またですか……? もう桜は……」

「ええ……。知ってるわ」

「でしたら……」

妖夢の言葉を遮るように、幽々子が妖夢の方を見る。そして、いつものように微笑む。

「幽々子様……」

何を考えてるのかさっぱりわからない。何か裏があると言えばある。ないといえばない。微妙に掴みにくい白玉楼の主である。

「手伝いましょうか……?」

声に気づき、後ろを振り返ると、桜の木の枝に、長袖のブラウスと淡い紫のロングスカートを身にまとい、腰まで垂らした栗毛 の女性が座っていた。その横には、半袖のブラウスと、朱色のロングスカートを身にまとい、薄桃色の髪を少し高位置で黄色いスカーフで纏めた女性が立っていた。

「…………豊姫」

幽々子が女性の名を呼ぶ。座っている栗毛の女性が、クスクスを笑い声をあげた。妖夢は何かに警戒するように、幽々子の前に立つ。

「こんにちは~……。月の外交リーダーの綿月豊姫です。宜しくお願いしますね。半人半霊の庭師さん」

警戒を解くためか妖夢に挨拶する豊姫。だが、一向に解く気配がなかった。

「大丈夫よ。妖夢……」

幽々子の一言で妖夢の警戒が解ける。

「さすが、分かっていますね。白玉楼の主、西行寺幽々子は……」

妖夢は、一歩後ろに下がる。

「で……妹さんまで連れて、一体何かしら……?」

「依姫は関係ありませんよ。用事があるのはあなたなんですから」

豊姫は笑う。依姫と言うのは横にたっている女性であろう。

「この桜を咲かせるのを手伝いますよ」

そう幽々子に告げる。何かしら裏があるのかなどと思った。そんなことはむしろ気にも止めることはできなかった。どうしても桜を咲かせたかった幽々子には都合のいい話であった。

「あら、いいのかしら?」

「ええ。もちろんです」

「果たしてそうか……?」

商談成立の水を差すように一人の人物が入ってくる。しわがれた男声の持ち主。

「あら……いつ戻ってきたの? 妖忌」

月の光に照らされその人物が明るみに出る。ヒゲを蓄え、白髪のオールバックがその人・魂魄妖忌の特徴とも言えた。彼は桜と幽々子の関係を知るただ一人の人物。そんな彼が二人の話を引き止めた理由……

「月のものだぞ。何を考えているのかわからん」

ただそれだけ。

何も知らぬ者が突然2度目の異変を起こす主に協力する、というのが引っかかったのであろう。

「あら、何もしないわよ」

豊姫は、閉じたままの扇子を口元に当て笑っていた。

「そうかな。見張りを兼ねて儂も手伝うぞ」

何かあれば斬ると言わんばかりの眼差しを二人に向ける。

豊姫はクスクスと笑っていた。依姫は、妖夢と妖忌を睨む。姉に手を出すなと言わんばかりに。


だがしかし


――この綿月姉妹の参戦は妖忌の読みが当たる。



――物語の歯車は突如として回り出す。


ということで、お楽しみいただけたでしょうか。ではまた。

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