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第3章 眠れない夜

むらさきいろの薔薇 第3章 眠れない夜


「あぶない!救急車!!」

「アッ!!!」

「幽霊だ!!」


「あなた!しっかりして!大丈夫?」

妻に起こされ我に返った。どうやら昨日の事故の夢を見ていたらしい。うなされて思わず叫んでしまい、妻を起こしてしまったようだ。

「なに?今何時だ?」

「まだ夜中の2時よ。かなりうなされていたみたい。」

「俺、なんか言ったの?」

「突然叫んだのよ、私もそれで起きちゃったのだけど・・・救急車!・・・そう叫んでいたみたいよ。」

「叫んだ?」

「そう・・・」

「ごめん・・迷惑をかけた?」

「大丈夫・・・気にしないで明日仕事でしょ?寝て。」


そういわれてまた布団の中で目をつむったがやっぱり気持ちが落ち着かない。私たちの間にないも知らずにすやすやと1歳になるむすこが寝ている。赤ちゃんの寝顔ほどかわいいものはない。」かわいい笑顔ですやすや眠っている。子どもの顔を見ると少しほっとした。この子のためにも交通刑務所には入りたくない。


 一度目を覚ますとなかなか寝付けなかった。ねつけないといやでも思い出す。あの突然の出来事、ハンドルを握って前を見ていたら突然影が現れて体当たりしてきた。間違えなく人だ。鳥や獣ではない。紫色の服だ。人をはねたのだ。怖くなった。まともに人を見ることができなくなった。私は倒れている人を見てないのだろうか?一生懸命思い出してみる。その様子が思い出せない。


 無我夢中で公衆電話まで走った。なにをしゃべったのかわからない。夢中だった。しかしそれから1分くらいしかたっていないのに被害者は消えた!なぜ?消える?いなくなる理由を考えてみる。

まず 私はスピードを出し過ぎていたわけではない。 被害者は飛び出してきたのだ 。横断歩道で横断をしようとしていたわけではない。あの時はわけがわからなかったが、ちゃんと確認した。薄暗かったがライトがついていたし、歩行者はわたる意思を見せていない。つまり飛び出しだ。


 もちろん横断歩道だからそんな言い訳とおらないが、向こうはこちらを確認してはいない。それで飛び込むなんて 自殺行為だ 。いや場合によっては 自殺が目的だったのじゃないだろうか ?そんな気がしてきた 。もし自殺だとするとしたら、あの場所を選んだのはなぜだろう? 自殺するのに場所なんて選ぶ理由はないか。死にたいと思ったときにたまたま 私が通りかかった。あの通りは人通りもなく 滅多に車も通らない 。そうなると私は本当に運が悪いというしかないのではないだろうか?


  もう一つ 疑問が出てくる すぐ近くに 公衆電話があった。 それが不思議だ 偶然だろうがあんな寂しい道に公衆電話が1台 ある。まるで事故があったらすぐ電話がかけられるようかの場所だ 。何か作為的にあの場所を選んだのではないだろうか ?


 私は考え始めると眠れなくなってしまい。あれからとうとう朝まで考え通してしまった。 妻はそれに気がついて「眠れなかったの?」と私に聞いた。

「まあね・・・やっぱり 人を跳ねるって 尋常じゃないってこと。 気になって気になってしょうがない。 あの時の事が忘れられない 。あそこに倒れていた 被害者が あれから立ち上がって 、どこかに行ってしまったが 力尽きて 死体で見つかる・・・ そんなことを考えると眠れなくなるよ 。それに幽霊伝説まで話されたらたまらないよ。」


「 しばらく仕事休んだら ?」

「仕事は休めないよ。今日憂さ晴らしに一人で一杯飲んできてもいいかな?」

「もちろんいいけど・・・」

「ごめんね、そっちだって育児に大変なのにぼくばっかり外で憂さ晴らしして。」

「そんなこと気にしないで、そうだ!私の前の会社の先輩だけど探偵さんを知っているのだ。相談にのってもらったらどう?そう魅力的なきれいな女性よ。お酒飲みながら話してみたら?きっと消えた被害者の謎ときしてくれるわ。今ではけっこう凄腕の探偵さんよ。」

「凄腕の探偵さんとお酒を飲むの?意味が分からない。」

妻はたまに何を言っているのかわからないことがある。

「その人ね、探偵だけど事務所がスナックなの。表向きはスナックのママ、実際は警視庁も一目置く 敏腕探偵よ。」

「でも探偵さんに仕事を依頼できるほどお金ないよ。」

「大丈夫、昔から世話好きのよい先輩だからお金取らないって。だんなの相談に乗ってほしいって私電話入れといてあげる。」

「ありがとう。そうするよ。」



 私も妻の知らないところでお酒を飲むよりも、彼女の知っているお店で飲んだ方が妻公認になるからそのほうが同じ飲むのでも気持ちよく酔えるのでそうすることにした。私としては探偵に相談するというより、憂さ晴らしがしたいだけだ。


 


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