【小説】万華鏡の罅(キズ)
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1
赤い桜と梅をあしらった模様が美しい万華鏡。
机の上に広げたクロッキー帳には、激しい線が何本も描きなぐられ、デスクライトの光に暗く浮かび上がる。
黒い机にはところどころ絵の具のシミが薄く残り、消しゴムのカスとともに塵埃のように降り積もった。
この苦しみに満ちた机の上からでも、万華鏡さえあれば銀河の星屑の中へ飛び出すことができた。
少しずつ回していくと、サラサラと小気味良い音を立てて形が変わっていく。
塊になった欠片が中央に集まり、時々飛び出した緑や黄色、赤い半透明の欠片を置き去りにしてまた変化する。
アイデアを出すという行為は、物事の本質に向き合う作業である。
目的があるようで、掴みどころのない、星屑のような手応えのない物を集める営みである。
なぜ、こんなにも息苦しくなる作業を繰り返すのだろう。
そんな弱い気持ちが何度も顔を覗かせてため息をつく。
また、サラサラと新しい秩序が生みだされ、すぐに崩れていった。
納田 枳由は万華鏡にくっつけていた顔を外して、机の上に広げた白い紙に視線を移した。
昨日の講評会で散々に打ちのめされた課題を、家に持ち帰って考え直していたのだが、答えが見つからずに呻いていた。
テーマは「未来」である。
毎回、ぼんやりとしたテーマが与えられて、周りの人よりも優れた回答を絵で求められる。
この道に足を踏み入れるまで、一度もこのようなテーマに向き合ったことがなかった。
広大な平野を一人で進むかの如く自由で、過酷な課題。
「何でも自由にしていい」と優しく語りかけるような問いが、人の魂を雑巾のように絞り上げて、水分を抜き取っていくのである。
頭を掻きむしった枳由の脳裏には、未来へと続く一筋の道が見えるだけだった。
あまりにも広すぎる宇宙に、放り出された魂が、彷徨ったまま着地できずに飛び続け、批判だけが繰り返し心に鞭を打つのだった。
身体が渇き、水でも飲もうかと身を起こしたとき、足がふらついて壁に手を突いた。
こんなに人間の身体は重かったのか、とまたため息をついた。2
砂の海に、点々と続く足跡が地平線を目指して伸びていく。
ギラギラと輝く太陽は、砂を焼きユラユラと地上に陽炎を立ち昇らせる。
空は抜けるような青空で、塵一つない空には澄み切った、そして焼ける空気が淀んでいた。
枳由の右足は、引きずりながら20センチメートルほど進み、砂にめり込む。
そして今度は左足に、活を入れるべく膝を曲げ、一度体重を移してから身体を反対側に倒した。
こうやって身体全体で、重心を移して捻じらないと足が言うことを聞かない。
熱い砂、熱い空気、そして目を焼く灼熱の光。
胸に抱えた筒には、砂漠に不似合いな桜と梅の模様が施され、しっかりと握った手はカサカサに乾いていた。
あと何歩進めるだろうか。
もう、数えるほどしか踏み出せない気がした。
何しろ、目の渇きが酷くて、砂も入って痛みが走る。
涙も枯れ果てて、泣くこともできないし最低限の潤いさえも保てない始末である。
かなり前から視界はぼやけていた。
指で目を擦ろうものなら、やすりで擦るように眼球を削るだろう。
ゼイゼイと喘ぐ喉には、乾いた砂のようにパサパサした感覚だけがあり、飲み込む唾もない。
とにかく、少しでも先へ進むしかない。
最早、どちらが進むべき方向なのかも分からない。
もしかすると、同じところをグルグル回っているのかも知れない。
それでも、足を前へ運ぶ。
辛いとか、苦しいとか、そんなネガティブな感情はとっくに消えて、楽しみや希望を目指していたはずの地平線には、何も見えなくなった。
何かを目指して歩き続ける人は、あまり遠くまで行けないだろう。
なぜなら目的地は視界に現れもせずに、まったく変わらない風景が精神を蝕むからである。
すべてを超えて、ただ進むだけのエネルギーに身をゆだねたとき、人は歩いて行けるのである。
そんなエネルギーも、いよいよ尽きようとしていた。
ぼやけた視界には、空と砂の境界以外何も見えなくなり、つっかえ棒のようにして身を支えていた足が、縦に揺れて崩れそうになった。
そして、焼ける砂原に、男の姿は崩れ落ちた。
投げ出した手には、赤い筒がしっかりと握られていた。
3
眩しい陽光が窓から差して、小鳥のさえずりが聞こえる朝、鏡に向かって目の周りをマッサージしていた印宮 由明は、特殊なコンタクトレンズを入れてブレザーを羽織った。
中学校までは「ロボット」と呼ばれて冷やかされる毎日に耐えていたのだが、高校生になるとあからさまにいじめを受けることもなくなった。
外見はどうでも良かったが「感情がない人間」だとレッテルを貼られたことが堪えていた。
生まれつき涙液が出ないため、目の渇きを防ぐために毎日点眼して特殊なコンタクトレンズをつけて生活している。
瞬きをしないから不気味に見えるのか、あだ名を付けられていた。
悲しい映画を見ても表情が変わらず、楽しいときも、怒ったときも目つきが変わらない。
瞼を動かさずにいるから、いつしか心も動かなくなってしまったようだ。
心が空っぽな人間は、生きる価値がないようにさえ思えた。
抑揚のない日常を淡々と生き、老いていくのかと思うと息が詰まりそうになった。
そんな由明に気さくに声をかけてくるのは、友達の枳由くらいである。
「なんか、暗い顔してないか」
目をぱっちり開いて外を見ていた彼に、声をかけて来たときのことである。
いつも「表情がない」「ロボット」と言われ続けたから、暗い顔をしているなどと言われたのが衝撃だった。
「もしかして、僕のこと?」
由明は振り返ると、真っ直ぐな視線をよこした。
一瞬たじろいだ枳由だったが、言葉をつないだ。
「何となく、佇まいがね ……」
顔の表情は読み取れなかったが、直観的に分かったのである。
人をあっと言わせるデザインを考えていると、楽しくてしょうがないこと、身近な広告や車のデザインなどについて話す枳由は、いつも笑っていた。
彼のように、人を感動させるデザインを考えていれば、感情豊かになれるのかも知れない。
ロボットと言われ続けてきた心の痛みと、コンプレックスを克服する方法を見いだした由明には、デザインで感情に訴える道が希望の光に思えたのである。
イメージを形にするトレーニングを、2人は互いに競いながら磨き、その中で感情を客観的に捉える方法を見いだしていったのだった。
4
漆喰が剥がれ、トタンは錆びた木造2階建ての安アパートの外階段にはゴミ袋がいくつか出され、中身が散らばっている。
電柱の上に止まったカラスが、食料を求めて下界を見下ろして長く鳴いた。
雑草が茂る敷地に砂利が敷かれ、ブロック塀には罅が入っていた。
2階に住んでいる七田 咲優奈は、ため息をついて求人のタウン誌にボールペンで印をつける。
高校を卒業してからずっと勤めていた会社がつぶれて、再就職先を探しているのだが思わしくない。
生活をしていくために焦れば焦るほど、表情に出てしまい悪い印象を与えているようだ。
両親を幼いときに亡くし、施設で育ったため身元を保証する親戚もいなかった。
兄弟姉妹はなく、暗い性格からか友達もいなかった。
寂しさから些細なことでもすぐに涙を流し、貧困のため色褪せた服と靴を身につけているため少女時代にはよく虐められた。
同じような恵まれない境遇の仲間はいたが、お互いメンタルがいつも疲れていて心を通わせることもなかった。
玄関を上がるとすぐにリビングで、小さなシンクとユニットバスがあるだけの部屋には、洗濯機もむき出しで、収納もない。
ゴミがあちこちに散乱していたが、金がないから次第に物が消えていった。
公園で水を飲んで飢えをしのいでいると、あんパンを差しだした男がいた。
「これ、食うかい」
ニッコリと笑ったその男は、スケッチブックを持ってベンチに座っていた。
「暗い顔してるからさ、食べて元気出しなよ。
よく分からないけど、何とかなるさ」
その男は、赤い千代紙をあしらった万華鏡を取り出すと空へ向けて覗き込んだ。
両手で筒を持って回す姿がおかしくて、ふっと笑うと男がこちらに視線を向けた。
「あっ、ごめんさない。
それ、万華鏡ですよね」
珍しさにジロジロ見ていると、カバンから一本取り出して咲優奈の手に押し付けた。
「覗いてみなよ。
宇宙を感じるよ」
ニコッと笑った顔は、春風のように爽やかだった。
彼女はそれを空に向けて覗いた。
サラサラと音を立てて形を変えていく模様が、不思議な気持ちにさせた。
こんな風に、頭を空っぽにして過ごしたことがあっただろうか。
いつも劣等感にさいなまれ、毎日のスケジュールに追い立てられていた自分には、孤独を呪う以外に感情がほとんど湧かなかった。
彼女の頬には、一筋の涙が伝っていた。
5
灼熱の砂漠は、命ある者を干物に変えて死地へと引きずり込む。
身体を焼かれた枳由は、体力がいよいよ尽きようとしていた。
砂が目に入り、涙も枯れた眼球は痛み、爪は割れて血が滲んだ。
半開きになった口の中にまで砂埃が入り、ジャリジャリとした感覚に顔を顰め、呻いた。
「水 ───」
この世に残す、最期の言葉になる予感が口から吐き出された。
それでも離さずに持っていた赤い筒を顔に引き寄せて、砂に置いたまま覗き込んだ。
砂まみれの皮膚には潤いがなくなり、心の底まで乾ききっていた。
「綺麗だ ───」
擦れた声を絞り出し、少し筒を回した。
砂とは違う、粒がこすれ合う音がして、最期だと思っていた風景に変化が訪れた。
指を動かす力はまだ残っている。
そうだ、身体が完全に砂に帰るまでは、生にしがみついてみよう。
そんな気持ちが頭をもたげた。
震える手で熱い砂を突き、何とか身を起こすと地平線へ視線をやった。
「涙が出なくても、感動する心は失われない ───」
万華鏡の、混沌とした宇宙がこの先にもあるはずである。
左手に掴んだ砂が、サラサラとこぼれ落ちて地面に埃を立てた。
その時、人影が足元を暗くして、ぬっと手を伸ばす者がいた。
驚いて振り返ると、ぱっちりと開いた目がこちらを瞬きせずに見つめていた。
小さな水筒を受け取ると、一口、流し込む。
乾いた大地が雨水を吸い込むように、身体に水が駆け巡った。
「貴重な水を ───」
砂漠では、一口の水が金よりも重い。
水筒を返すと、男はもう一口飲めと押し付けてきた。
「君には、割れて干上がっていた心に恵みの雨を貰った。
だから、飲んでくれ ───」
彼は、脇にスケッチブックを抱えて、もう一方の手には赤い筒を掴んでいた。
どこまでも続く砂漠を、体力の続く限り歩こうとする枳由を、彼は追いかけてきたのだと言う。
苦しみを乗り越えて、何を求めているのか彼も知りたくなったのである。
6
就職活動を続けながら、アルバイトを始めた咲優奈は街を歩いていた。
駅前のサイネージに映った映像を見て、ふと足を止める。
どこかの海辺で暮らす少女が、つまらなそうな顔でベンチに腰かけ、スケッチブックに何かを描いていた。
通りかかった男が、それを見て言う。
「へえ、綺麗な線だね ───」
手元が映ると、描きなぐった線が綿埃のように塊を作っていた。
何を描いたのかは分からない。
その少女は万華鏡を男から受け取り、覗き込むと笑顔になった。
そんなショートストーリーだったが、咲優奈の心は妙に揺り動かされた。
ギリギリの生活と、孤独にすり減った心に、何かが染み込んでくる。
カバンにしまっていた万華鏡を取り出すと目を押し当てた。
千変万化の宇宙が広がり、美しい世界が心を解き放つ。
目からこぼれた涙を袖で拭うと、彼女はまた歩き始めた。
「何とかなる ───」
スーパーのレジ打ちをして、何とか暮らしていけるようになると、趣味の手芸を再開した。
子供服にオリジナルのレースを付けてネットに上げたのが話題になった。
元々手先が器用で、新しいデザインを考えることを楽しんでいた彼女は、注文を受けて子供服を売るようになった。
徐々に注文が増え、アルバイトをしなくても生計が立つようになると、地域のカルチャーセンターでコマを持つことになった。
幼い子供を持つ母親が集まり、見事なデザインの服に感嘆の声が上がった。
近所で手芸を楽しむ主婦が集まると、咲優奈を講師に招いてささやかな講座が開かれ、次々に新しい作品ができ上っていった。
こうしてできた人の輪が、地域に根付いていくと、彼女の孤独は癒され、笑顔を取り戻していく。
「七田さん、こんなに斬新なデザインを思いつく秘訣は ───」
ある時尋ねられると、彼女は答えた。
「万華鏡の粒が、レースみたいで綺麗でしょう。
これを子供服に活かせないかなって ───」
破顔した彼女は、高らかに笑い合うのだった。
7
「未来」を形にする ───
枳由の双眸は、涙に潤んでいた。
完璧に未来を表現しようと思ったら、ゴールを自分で決めなくてはいけない。
漠然とした明るさとか、不確かな未来などという幻想でははいはずだ。
そう、未来は枳由自身の頭から溢れ出るのだ。
自分の顔をしっかりと描き、頭からたくさんのデザインが飛び出していく。
これが、未来だった。
「俺のリアルを描いたのだ。
これがダメでも、他に何もない」
出来栄えは思った以上に良かった。
早速講師に見せると、
「これなら、充分美大入試で通用するよ。
頑張ったね」
と肩をポンと叩かれた。
由明は、入り組んだ道を迷いながら進む自分を描いていた。
こちらも悪くない答えだった。
「2人とも、コツを掴んだかな。
結局のところ、自分のリアルを表現するしかないんだ。
高いレベルのテクニックを駆使してイメージで攻めても、きっと満点には届かない。
なぜだか分かるかな?」
目をカッと見開いた由明がポンと手を叩いた。
「自分自身を評価するものだからですか」
講師の先生は、口角を上げてふっと笑った。
「違うね。
宿題にしよう。
じっくりと考えておいで」
手を挙げて、踵を返した後姿に、また由明のため息が漏れた。
「徹底的に、考えろか゚ ───」
「いや、多分かなり正解に近いはずだ。
でも何かが足りない」
由明の目には、涙が滲んでいるように見えた。
腕を組んで唸る枳由は、自分が正解を知っている気がした。
だが正確に言葉で表現できなかった。
万華鏡を押し当て、瞬きできない目に映るのは、無限の宇宙だけだった。
8
無数の塵が広がっては集まり、形を変えていく。
千変万化のビジュアルを持ち味にして、由明は映像クリエイターとして名を知られるようになっていた。
音楽に合わせて映像をアレンジしたり、即興で奏でた音に合わせて変化するようにしたりして、視聴者が参加できる作品を次々に発展させていった。
都内のヴィータイノベーションラボで開かれた、展覧会に招待された枳由は、忙しい合間を縫って会場を訪れた。
「やあ、来てくれてありがとう。
相変わらず忙しそうだね」
冬なのに、ノースリーブのシャツに薄手のパンツといういで立ちで、パタパタと手で扇いで見せているのは、冗談でやっているわけではなかった。
「おっと、ごめんな、またクライアントだ」
スマホを取り出してロビーへ戻ると、何やら打ち合わせをしているようだった。
話をしながら、チラチラと視線をよこして、作品を見ようとする枳由。
この前は駅の階段から滑り落ちたとか、クライアントと話しながら寝落ちしたなどと笑う。
「ちょっと、仕事を調整したらどうだ」
半分冗談めかして言ったが、
「まあ、何とかなるさ。
でもさ、最近つまらない仕事ばっかりでパッとしないけどな」
と愚痴を漏らした顔には、暗い影が見え隠れした。
大手広告代理店に就職した枳由には、体力の限界まで働くバイタリティが溢れ、いつも笑っていたが表情に変化がないようにも感じられた。
「みんなは、俺の顔を見て、瞬きしないから表情がないなんて言うが、お前の方が無表情なんじゃないのか。
営業スマイルで自分を殻に閉じ込めているだろう」
親友として、痛烈に批判はしたものの、どうにもならないのも理解していた。
夢の広告マンになって、仕事に殉じたとしても笑っていられる心境なのだろう。
でも、仕事が単調でつまらなくなったとこぼすようになってからは枳由が見せる影が濃くなっていった。
「これを ───」
別れ際に、小さな箱を手渡した。
少し怪訝な顔をしたが、
「何だい、まあ、ありがとう」
と言葉を残して立ち去って行った。
9
暖かい春の日差しが、新緑の木々の合間から木漏れ日を地面に落とす。
汗ばむような陽を避けて、木陰のベンチに腰を下ろした女は、ポーチから赤い筒を取り出した。
長さ20センチほどの千代紙のような模様が施された円柱の片側には穴が空いていた。
その和紙のような質感を、指先を滑らせて確かめるように眺めていた女は砂粒がついているのを認めた。
どこかで落とした覚えはないし、外でガーデニングの類をしたことがない彼女にとって、ザラザラした感触が新鮮だった。
乾いた砂を削ぎ落すと、少々傷ついていることに気づき、またその傷が自分の気づかないところで起きた何かを表しているように思えた。
青いベンチから立ち上がり、ゆっくりと日向に出て空を指すように突き出した。
右目を穴に当てると、サラサラと音を立てて半透明のカラフルな欠片が不思議な模様を作り出した。
ゆっくりと回すと新しい形を創り出し、心をその形に惹きつけていく。
子供服の注文が増えて、ネット販売を軌道に乗せたため、生活にはゆとりができていた。
咲優奈は先ほど買ったミネラルウォーターで喉を潤し、一息ついた。
公園には、徐々に子どもの声が増えてきて、ボール遊びに夢中になって駆けていく小さな子どもの胸にはレースの飾りがある。
思わず近づいて、そのレースをしっかりと目に焼き付けようとする。
服に華やかさをもたらす模様には、万華鏡のように無限の可能性がある。
指先に染みついた技術で紡ぎ出す宇宙のような広がりが、心を春の日差しで満たしてくれた。
咲優奈は瞬きをして、風で飛んできた砂粒を洗い流し、痛みに少し顔を顰めた。
立ち上がり、眩しい光を横顔に受けながら、マンションへと戻って行く彼女にの瞳には、もう涙の跡はなかった。
了
この物語はフィクションです