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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺の話

作者: 千武賢宙

みんなどこかのタイミングで夢を諦めるんだ。

 僕は今、印刷会社に勤めている普通の男だ。なんの面白みもないそこら辺にいる男である。そんな僕が高校生だった頃、勉強は吐き気がするほど大嫌いなので、放課後や休日は部活動に取り組んでいた。サッカーは小さい頃からなんとなくで生きていた僕が唯一本気になれたものだった。

◯高校1年生

なかなかスタメンに絡めない時期が続いた。中学生の時は人数が少なく、その日の調子など関係なしに試合に出れた。しかし、周りの環境も変わり、なんとなくでは試合に出れなかった。

その冬、選手権大会で3年生が全国大会に進んだ。そのまま勝ち進んで、24年ぶりにベスト8という好成績を残した。ここでは一年生も途中出場し、僕はスタンドから応援していた。でも、その子のことを応援するのは少しためらった。当たり前のことだとは思うけど、僕はそんな自分が憎くなった。

◯高校2年生

しかし、この経験をバネに強くなるなんで漫画のように上手くはいかなかった。練習をサボっているわけでもないのに。本気で試合に出たいと思っているのに。サッカーが嫌いになりそうだった。周りはみんな試合に絡んで、活躍している。僕は勉強もおろか、ベンチにすら入れない。そんな僕はどん底に落ちていた。

ある日家に帰る途中、変なハチマキをつけた高校生に出会った。めっちゃゴツい。どっかでみたことあるような顔だったけど、思い出せない。こんな特徴的なのに。

「Oh,オヒサシブリネ!!」

あー!思い出した、中学のとき同じ学校だったジンバブエ人だ。よく覚えてたな。

「おー久しぶり!元気にやってる?」なんて他愛もない話をしてたら突然、

「お前だけに教える稼げる話があるんだが、、この石を買うだけで金運が爆上がりするんだよ。買わないか?」

「ち、ちょっとこのあと予定あってさ、また今度な!」

とっさに別れた。そういえばそうだった。あいつ、変なやつだった。相変わらず変なやつだった。

○高校三年生

あっという間に高校生活もあと半年。ベンチに入ることは増えたけど、スタメンには選ばれない。受験生として勉強にも力を入れ始めたから、しょうがないと思った。でも、私は思った。最近チームが勝てていない。理由はスタメンがマンネリ化しているからだ。僕の中学の頃のように、11人全員試合に出れることが当たり前だと思っている。だから、伸びが悪いんだ。「チームのためにも、自分のためにももっと頑張らなきゃ。」

その日から競争心をもって練習に励んだ。勉強をする時間は少し減ったが、その分もサッカーに時間を当てた。すると、監督も頑張りを認めてくれて出場時間も増え、スタメン入りするようになった。

選手権の冬。全国出場を目標に県大会が始まった。初戦はなんなく突破し、2回戦。ここで大変なことが起きた。なんと、相手にあのジンバブエ人がいたのだ。知らなかった、あの高校に通っているなんて。ましてやサッカーをやっているのも初耳だ。バカみたいにゴツい。でも、今までの努力を信じて挑んだ。前半に2点取って折り返す。後半、3点取られ逆転負け。しかもその3得点すべて、あいつにとられた。ハットトリックされた。目の前の光景が信じられなかった。涙も出なかった。僕はここで引退した。

そんなあいつが今同じ会社で部下にいるとはなあ。

「おい、この資料まとめとけって言っただろ!ったく何回言えばわかるんだよ」

「スミマセン、ツクリナオシテキマス!」

今日もタバコが美味いなあ。

ジンバブエ人の印象が変わりました。

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