魔王達を説得する
「ああ、殺してしまったか?まだ、蘇生できるか?」
と口に出して迷ったが、ケイカ、テンシアへの援護に、すぐに関心が向いてしまった。“危ないかも”と思ってしまい、そちらへの援護を優先してしまった。
「どうだー!これで終わりだ!」
「もう、これでおしまいです!」
2人の魔王は、カークからの攻撃で、動きが泊まった所を2人につかれ、吹っ飛んで、壁にめり込んで、もう立ち上がるのがやっとの状態になっていた。彼らの親衛隊も、カーク、そして、ケイカ、テンシアの援護で、彼らのチームの攻撃に押されまくり、彼らの主の前に、楯になれる者が僅かいるだけだった。
「魔王様!」
と2人の魔族が、カークの所から駆け出した。
「こいつらは、あの翼男放った勇者殺し隊に捕まって、殺されかかっていたのを助けた連中だ。」
カークが、まだ何とか立っている2魔王親衛隊員を全員、一瞬でなぎ倒して、2人を床に叩きつけ、見下ろしながら言った。
「どうしたのだ?」
「何故、ここに?」
2人は、おのが主の前にひれ伏して、泣き声を上げていたが、
3魔王の本拠地では、3魔王が別の1人の魔王にひれ伏して、その魔王を統一魔王として、推戴して、彼らの家臣達の幹部も歓呼の声をあげて、それを受け入れたというのである。
「皆、あれが本当の魔王様ではないことが分かるはずなのに…。」
「魔王様にお伝えしようと…他の仲間は次々に途中で殺され…。」
2魔王は絶句して、脱力状態になってしまった。
「なあ、お前達の家臣の多くは取り込まれているようだよ。どうだ、私の下につかないか?お前達の実力に見合った待遇、地位を保障してしてやる。お前を慕っている者達も少なからずいるだろう?そいつらを、今は仕方がなく黙っているだろうが、助けてやりたいとは思わないか?それに、復讐したいと思っているだろう?そのために、お前達を支援して、力を貸してやる。悪い取引ではあるまい。我々とともに、新しい社会、世界を作ろうじゃないか?魔王になるなどは、諦めてもいいのではないか?そんなことは、大したことではないのだ。いや、魔王が何人いてもよいではないか?」
カークの語りかけは、悪魔の甘い囁きのようだった。
「こやつの言うとおりじゃ。我らとともに行くことを、躊躇う理由なぞないぞ。」
「そおですよ。貴方方に、相応しい地位、役職が用意してあるのですから。」
ケイカとテンシアは、いつの間にか、2魔王のそばに歩み寄り、膝を折り曲げて、耳元でカーク以上に悪魔的な甘い囁きを吹き付けた。
「その貴方方を騙った連中って、あなたがよく知る、信じていた連中じゃないのかな?」
「我らの方が、信頼できるぞ。我々に、すでに下った魔族達のことを考えてみよ。」
2人にすら、親衛隊ごと完敗、カークが度々加勢していたとはいえ、していた彼らには、それを跳ね返す気力は失われていた。
「さあ、へこんでなんかいられないぞ。奴らは、お前達もまとめてい始末するために、総則兵を送ってくるはずだ。いや、もう送ってきているかもしれない。ここにいる家臣達を早急にまとめて、私と共に来い。一旦、ここは退き、新生魔大公国を立ち上げるのだ。」
「だれが、魔大公だと?お前達のことだ。」
「カークがあなた達を魔大公に任命したのよ。」
“まだ、してないぞ。”と思ったが、
「その通りだ。さあ、家臣達をまとめろ。反撃のための拠点となるところまで引き上げるぞ。ことは急ぐぞ。早くしろ。」
とせかすように言った。部下達に助け起こされながら、素早くカークは、彼らに回復魔法をかけた、力なくではあったが、命令を出し始めた。
最終的に、南にあるカークの側の砦で、最前線にあり、2人の勢力圏と境を接している、カデューサの砦に移動した。
そこから、戦いが、始まった。各地陽動のため派遣されていた部隊は、撤収、この地帯に集まってきた。戦力の増強を見て集まってくる勢力も少なくない数があった。
「ここは、彼らに任せていいのではないか?」
「同感ですわ。私達は、移動した方がいいのてわは?」
「一応、一撃与えておいてやろう。」
“もう、甘いのだから。”
“何時ものことですわね。”
2人は思ったが、口にはしなかった。
強行軍で進んで来ていた統一魔王軍の先遣隊は、突然上空から降り注いだ火球、雷球、氷塊などで、それは慌てて張られた防御結界を突き破られ、ほぼ壊滅状態になった。これで、彼らの軍事行動は一時的に停滞することになった。
「あいつを…あの方々を敵にまわすのが、誤りだとわかったかい?」
「まあ、奥様方にひどい目に遭わされたあなた方には、よく分かっているわよね。」
「自分だって、そうだろう?あまり大きな顔をするなよ、まあ、俺らも同じだかが。」
自分の偽者につかない家臣をかき集めていた、それはあまり多くなかった、2人に合力に来た勇者や元魔王候補達が口々に言うのを、反論は敢えてしなかった。




