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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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魔王達

「勇者共に四苦八苦していると聞いていたが、大丈夫なのかな?」

 龍神族の魔王がせせら笑うように、声をかけたのは、賢者の魔王に対してだった。人間に似ているが、かなり大柄で尻尾といくつもの角、特徴的な耳等をもっているのが龍神族の魔王であり、より小柄で、比較の上でだが、典型的な人間型魔族ながら、短いがユニコーンのような角が額から生えているのが、賢者の魔王だった。賢者の魔王は、苦虫をかみつぶしたような表情で、

「では、彼らにかまけて、我が合力しない方が良かったのかな?」

と皮肉っぽい表情で言い返した。

「賢者様もむきにならないでちょうだいな。あなたもわらっていられないでしょ?ナスカの南部で勇者達に大敗したという話じゃない?あら、その顔…まさか、まだしらなかったの?あなたのところがはどうなっているの?」

 エルフに似ているが、獣的な耳、長く細い尻尾、鋭い爪の女魔王が割って入った。3人の魔王は、広い一室で少し離れて、各自豪勢な、悪趣味なゴツゴツした装飾と見る向きもあるが、に座って、対峙していた。

「まあ、我らが魔界支配のために、三者同盟を結成したわけだからな。結束して、新体制を作り、人間達に打ち勝つ、支配するのだからな。ここで、諍いをしても仕方があるまい。」

 彼女が、諭すように言ったが、“ふん。”“とはいうものの、維持できるものなのか?”と2人の魔王は思っていた。“本当に大丈夫なのかしら?”女魔王も内心不安だった。

「魔王様方。」

 その3人の間に、というか真ん中に一人の男が立っていた。天使?のような翼を持った、偉丈夫、人間でいう、風の男だった。脚は、鳥のようだったが。

「あやつめの狙いは、あなた様方が分裂することであることを、お忘れなきように。」

 丁重な言葉の中に、有無を言わせないものがあった。彼が、というか、彼を初めとした面々が、3魔王達の仲介をして、この連合を形成させたのである。

“このを!”“本当の目的は…。背後の…その意図は?”“怪しい奴らよね。とはいえ…。”

 彼らも、この男、あるいは女の言葉を完全に信用して、信頼していた訳ではなかった。彼らなりに策を労して、3魔王の連合を構築していた、この後を考えながら。“こいつを倒す、まず。それから、魔界統一、統一魔王になる。”と考えていた。

「神族の賢者よ。お前達の合力は、如何したのだ?」

「勇者のチームの一つでも、潰してくれませんこと?」

 疑わしいという表情だった。ただ、1人、賢者の魔王は黙って、男を観察するように見ていた。

「既に、勇者チーム二つを潰すのに十分以上の戦力を送りましたよ。それから、あれは陽動作戦です。多分、ここを奇襲することも考えているかもしれませんから、この城にも、勇者殺し隊を配置しておきましたよ。」

と天使風鳥男?は含み笑いしながら言った。更に、

「私達の合力、貢献の程、ご理解いただけましたかな?」

“ふん。最小限のところで、お茶を濁すつもりだな。できるだけ、我々だけでやらせて…。”“それだけということか。”“私達をできるだけ消耗させるつもりね。”3人は、疑わしそうな表情だったが、“そうも言っておれん。”と云うことも一致していた。彼らなければ、三者鼎立が崩れかねないからだった。“どう言うか?”と迷った。しかし、その悩みそのものは、直ぐ解消した。

「あの屑どもは、そのためだったか?あまり手応えがなかったぞ。あれでは、返り討ちだったぞ。少し勇者達を、侮りすぎではないか?」

「出発して直ぐに、皆殺しにしてやりましたけどね。いいえ、情報を取るために、2人は残しましたわね。本当に手応えがありませんでしたわ。」

 そんな声が、どこからともなく聞こえてきた。そして、ドサっという音が聞こえた。床の振動を、かすかに感じた。2人の女の首が、転がっていた。

「こ、これは…ひ、卑怯者。姿を見せろ!何処に隠れている?」

と鳥男が叫んだので、3魔王も、見知らぬ首が誰なのか、多少分かった。

「見えなかったか?この程度の不可視結界など、直ぐに気がついていたかと思っていたが。すまなかったな。」

 その声とともに、3人の男女の姿が現れた。

「勇者達か?どうして…皆はどうしたのだ?」

 3魔王の目を気にして、聞こえてしまう声をエルフ似鳥男はだしてしまった。

「ああ、彼女らを責めないでくれ。ちゃんと、役割を果たしたんだ。我々に直ぐに襲い掛かってきたんだから、ただ、瞬殺されたわけだが、実力差だから、仕方がないよ。ああ、この女は情報を取るために、一旦は生かせておいたぞ。」

とぼろぼろの翼のある女の体を取り出した。

「こ、このー!」

 エルフ似鳥男は、場も、目も忘れ、彼に飛びかかってきた。魔力は、3魔王が、

「ほ~。」

と思うほど、高まった。炎を叩きつけるように放った。が、一瞬で中和され。素手の一撃を受けて壁に叩きつけられて、動かなくなった。

「お、お前は…。」

「まさか、カーク?」

「魔神殿が言っていた…。」

 3魔王は絶句したものの、スグに立ち直り戦闘態勢にはいり、彼らの親衛隊も駆け付けてきた。が、

「なあ、こいつの口車に乗らずに私の下につかないか?こいつに騙されていることがわからないか?既に。」

 しかし、カークの言葉が終わるのを彼らは、待つことはできなかった。陣頭指揮で、自らの親衛隊とともに、押し寄せてきた。

「ケイカ、テンシア。小さい2人の面倒をしばらく見てくれ。皆は、2人を援護してくれ。私は、でかいのをできるだけ早く倒して、合力するから。」

 そう言って、

「転真敬会奥義、小退水。」

 衝撃破で3魔王の動きが止まり、親衛隊のかなりの者が倒れた。それを見て、カーク以下が、つっこんでい行った。

 竜族の魔王は、火球や雷電を吐きだしながら、巨大な魔剣を振り下ろした。彼の親衛隊の面々、半ばが既に倒れていた、は主を援護しようと剣、槍、弓、斧、魔法攻撃をカークに向けて行った。

 魔王の剣は、何度も弾き返され、火球も雷電も無効化され、親衛隊の面々は次々に倒れていった。

「わ、我を愚弄する気か?」

と怒鳴った。彼が、ケイカとテンシアを援護するために、自分の戦いの最中に、2魔王やその親衛隊に向けて、時々、魔法攻撃をかけていた。

「悪いな。しかし、馬鹿にはしていないよ。早く彼女らを、助けに行かれないからでな。おまえをすぐには倒せないと判断した結果であるし、現に、まだ倒せないでいるだろう?」

「な、なにを…愚弄しおって!」

 彼は、さらに怒りのボルティモアをあげて、戦いを挑んできた。自分の部下が、カークに倒されるたびに、絶叫し、怒号とともに挑みかかった。

 しかし、それは弾かれ、また1人、また1人と彼の部下が倒れていくのを見ざるを得なかった。

「油断するなよ。」

 カークの叫び声が響いた。ケイカとテンシア達に向けられたものだった。二魔王は、最早孤立無援になっていた。そして、竜族の魔王も同様になっていることに気がついた。

「なあ。」

 カークの言葉を聞こうとしなかった。彼は、遮二無二に斬りかかってきた、渾身の魔力と力を込めて。それは、もう隙だらけの動きだった。

「ぐわー!」

「転真敬会奥義、小退木。」

 斬られて血を噴き出す傷口が、彼の意志とは逆に修復されることなく、血が沸騰し、体全体が熱を帯びて、溶解していった。

「お前だけを殺してしまったな。不公平だが、許してくれ。」






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