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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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謀略の交差

「元王妃が、恨みを忘れるなどあり得ないことですよ。女の私には、よく分かります。同じ女である王妃様も、お分かりになると思います。あの女は、可愛いご子息様、王太子様を、あなた、そして国王陛下にも復讐するという大それたことを考えているのです。騙されてはなりません、同じ女である、私の言葉をご信じ下さるよう、お願いします。」

 プリマベ王国現王妃は、長い見事な金髪の、白を基調としてはいたが、派手なドレスを着た、女の使者の言葉に震えつつも、従うしか術はなかった。

 先日、

「前王妃は、既に死んだのであり、今いるカークの妻ケイカは、そのような恨みなど持たない、カークとの生活に幸せを感じている別人です。」

との言葉を受け取っていたのだが。

「あのような輩とは…。」

 脅すような迫る使者が、王妃の耳に囁きかけた時、

「どこぞの、下等な妖狐の輩が何をほざいておるやら?」

 九尾を持った狐耳の白装束の女が、空中に姿を現していた。

「こ、この化け物が!」

と振り返って叫ぶが、

「この後に及んで何を言うのかな?」

 その言葉の直後に、使者の女の体が靄に包まれ、彼女の苦痛の声とともに、彼女の耳が狐耳に変わり、九尾が後ろに現れた。

「まがい物の九尾が…どちらが化け物かのを?」

 その挑発的な言葉に、靄を払いのけ、何とか立ち直った女は、

「婆が煩い!」

と火球、雷弾を複数放った。が、それは途中で消え、同時に彼女の体が壁にめり込んだ。

「ぐ、ぐ…。」

 苦痛のうめき声を出したが、体が動かなくなっていた。そして、顔が狐耳の美人から狐耳の狐顔に次第に変わっていくのが目に入った。それを見て、

「王妃殿。このような者の言葉なぞは信じてはなりませんぞ。後悔しないように。化け物はこやつらの方なのですから。」

と震える、失禁していた、王妃に語りかけて、彼女は姿を消した。その時、どうなったのか分からないが、動かなくなっていた九尾の狐顔女も消えていた。王妃は、分からなくなっていた。声にならない叫び声をだして、頭を抱え込んでいた。

「お前らしくないと言えば、おまえらしくないが…。」

「まあ、いいと思いますよ、別に。あなたの忠義は分からなくもないし、どちらかというと賛成ですわよ。でも、後の楽しみというか、後で、たっぷりとと謂うのもいいのではありませんが?」

「その通りだ。ゆっくりなぶり殺すのが、良いのではないか。我も協力するぞ。」

「わ、た、し、もですわよ。」

 ケイカとテンシアが、残忍な笑顔を浮かべて寄りそってきたので、カークは落ち着くことができた。

「奥様がたのおっしゃるとおりかと。」

 跪きながら、後ろの九尾が踊るように動かしていた、というより勝手に動いていた、勝手に。

 捕らえてきた狐顔、狐耳の九尾を、拷問するように、じわじわと叩きのせながら、ある程度吐かせた後、堪えくれなくなってきたため、頭蓋骨を割って、握りつくすようにして、記憶を抜き取っている、カークの顔と行動を、九尾の狐耳女はケイカとテンシア同様に、ほくそ笑むように見た。

「ああ、分かった。」

 カークは、荒い息を整えながら答えて、手の動きを止めていた。

“状況は、こいつらに、こだわっている時ではないな、確かに。こいつらの背後にいて、糸を引いている連中に見せつけなければならないが、そのうちできるだろう。とにかく、有無と言うのは。”カークは、素早く考えることしかできなかった。

“まあ、こいつに聞くことに、こだわる状況下ではないか?今、まずやるべきことをすべきか、それがどれかを考えるべきだな。”

「まずは、魔王達を倒すか。」

 それに対して、反対する者は、いなかった。 

 結局、王妃は震え、怯えながらも、九尾の狐耳女の説得に応じ、国王の意見に異論を唱えなかった。彼女は知らなかったが、それまでには、何人もの、何人と呼ぶべきかは疑問があったが、獣顔の女達がやって来ていて、最後の二回は彼女の暗殺を使命にしていたが、九尾の狐耳女と元勇者とそのチームに、抹殺されていたのだが。

「全く、あいつらの偽善の面の皮の厚さもさることながら、それに騙されかけるんだから、困ってしまいますよ。」

「そういうものだ。まあ、ご苦労だったな。」

「しょせん、そういう馬鹿女と阿呆な亭主の国王なのよ。」

「その馬鹿に、阿呆を寝取られて、泣いていたのは誰だったかのう?」

「あなたには、いわれたくありませんわ。」

「まあ、そうだな。」

 シンシアが、ケイカに、あっさり負けを認めるように言った。

「我も似たようなものだしな。」

 それに肩すかしをくったからか、

「お互い、馬鹿な女と阿呆な夫にしてやられた者同士ですわね。」

「そんな過去のこと…他人のことなど忘れろ。できるだけ、早く魔界に、魔王達退治に出発だから、人選やら準備をしないと。」

「すぐに?人選とは?」

「まるで…。」

「魔王討伐と言えば、勇者がパーティーを率いてだろう?」

 呆れる2人に、カークは悪戯っぽく笑いかけた。

「久しぶりですわね。懐かしいですわね、あの頃が。」

「ちょっと、まるで、若い頃は…になっているわよ。」

「実際。あれから、6年は経っているよ。若者とは言えないからな。」

「何よ!まるで私が年寄りみたいじゃないの?」

「そ、そうですわ。失礼ではありせんか?」

「いや、そういうわけでは…。」

「まあまあ、経験、知恵、技量など高まったところはあるじゃないか?それに、いくつものグループを作れるだけの人材も、色々な人材もいる。陽動、挟み撃ち、奇襲、包囲、同時攻撃など取り得る戦術、戦略も豊富にできるから、心配いらないさ。」

 カークが、ヘブル王子に助け舟をだすように口を挟んだ。





 

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