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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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撃退

 各種大小投石機、シーソー式、弾性利用式、石弓式等、巨大な矢、槍、発火物、古代火という火炎放射とも言われる成分を飛ばすカタパルト、巨大な石弓を備えた、重装歩兵、軽騎兵、装甲騎兵、矛を主体とした歩兵、石弓を持った兵、投槍機を囲む数人からなるから1隊、魔道士などの上級、強力な魔法仕える者達等々と人も装備も集めた数万の大軍が、整えた軍が三方から進撃を開始していた。その足取りはかなり遅かったが。

 カークの側が、堅固な野戦陣地が構築されるという設定での行動だった。今まで、単なるやくざな陣地と侮って、大敗してきた戦訓から学び、最初から本格的な攻城戦を挑むつもりなのである。自らも陣地を構築してから、攻城戦に入ろうと、目の前で構築工事を始めた。もちろん、歩兵などを前面に立てて、防御に万全を期していた、期そうとしていた。

 魔族の軍は、3魔王が共に、自分の軍を率いて、まずはカークの側の最前線の城に迫っていた。3魔王の座する本陣を中心に密集陣で、魚鱗の陣に似ているだろうか、で進んでいた。彼らにしては、魔獣、巨人、怪力、魔力だけでなく、攻城兵器をかなり備えての進軍だった。

「あの人間達は信頼できるのか?」

「信頼できるわけがないだろう。ただ、提供してくれたものは悪くないし、当面は脅威にならん。それなら、ありがたく受け取って、利用させてもらえばよかろう。」

「まあ、お前の言うとおりだな。あいつらが、何を望んでいるとしても関係ない。」

 魔王達は、連発式の石弓等を見ながら言い合っていた。彼らに接触してきた人間の勢力があった。彼らが提供した物で、ドワーフや小人の作る兵器とは異なる、次元の異なる優れたものである、優劣をつけることはできない、質の異なった優秀さなのである。

 そのドワーフ達、魔界のドワーフ達や捕虜として連行して奴隷としているドワーフ達に作らせた兵器も多数用意しているのは勿論だった。

 一気に、小城を突破して、魔王の天敵であり、統一魔王、真の魔王のハードルである勇者カークの領土になだれ込む予定だった。それは、あまりにも容易なことだと思っていた。

 しかし、彼らの飛び道具の射程距離を超えて、相手の放つ兵器に次々に兵士が倒れ、大盾も易々貫通された。それも無視して、力押しで突き進むものの、外堀の前で、死体の山を築くばかりで攻めあぐねる状態だった。

「くそ!こうなったら、我が陣頭にたつ!お前らは。」

「ミナまで言うな。我も同じじゃ。」

「同意。」

 3人の魔王がうなずき合った直後、瞬く間に陣形が突き崩されるのが目に入った。

「な、なんだ?」

「まさか?」

「そんな馬鹿な…。」

 目の前の土埃がおさまると、目の前に3人の男女が立っていた。

「お前らが魔王とはな…、魔界も末だな。」

 見覚えのある、男の右側にいるんだから女が、小馬鹿にするように呼びかけた。

「な、何を、この裏切り者が!」

「ゆ、勇者に体を売った、淫乱女が!」

「…。」

「こんな連中、早く、手っ取り早く片づけてしまいましょう?」

 左側にいる銀に近い髪色の女が、やはり小馬鹿にするように言った。

「雑魚は頼む。手早く、この3人はかたづけて応援に行く。」

 男が、両脇の女に交互に、その頬に口づけした。

「分かった。早くすませて、手伝え。」

「早く来ないと終わっちゃいますよ~。」

 わざと聞かせていることが分かったから、

「この!」

「なにを言っておる!」

「…。」

 魔王達の態度を無視して、彼らが動く前に、彼らは散った。

「申し訳ないが、あまり長く相手はしてやれない。妻達彼も、君らの副魔王以下の親衛隊全てを相手にするのは、さすがに少しばかり大変だから、早めに助太刀したいのでね。妻達に怪我をさせたくないのでね。」

 男は、3魔王達の前に立った。既に、彼らの親衛隊と、女二人の戦いは始まっていた。男は、そう言いながらも、彼女らを援護するように、攻撃魔法を放っていた。隊列が乱れ、態勢が崩れて、その隙をつかれて、次々に倒れてゆく。

「お、お前がカークか?卑怯者め!」

「お前の相手は我々ではないのか?」

「…。」

「ならば、震えていないで、早くかかってくればよいだろう?手持ち無沙汰だから、大切な妻達を助けたが、何か悪いか?」

 挑発するようにカークは言いながら、攻撃魔法を放ちながら、彼らの方に歩み寄っていった。3人の魔王が、それぞれの必殺技の技を繰り出した時、彼の姿が彼らの視界から消えた。 

「うわー!」

 自分の右腕が消え、血が噴き出しているのが見えてから、酷い痛みを、感じて思わず叫び声をあげた、1人が。

 もう一人、壁にめり込んで、声も出なかった。もう一人は、床に叩きつけられて、割れた床に頭がめり込んでいた。

 それでも、彼らは起き上がった。

「ま、まだだー!」

「こ、この程度で…」

「や、奴めはどこだ?皆、油断をする…?」

 痛みを耐えながら立ち上がった彼らの前に、カークの姿はなかった。油断なく、身構えていると、

「おお、ようやく立ち上がってくれたか。あまりにも時間がかかるから、妻達の援護をしてきたところでな。失礼をした。」

 カークが、悠然と彼らの前に現れた。挑発するような笑みを浮かべながら、足がふらつく彼らをいたぶるように、斬撃波や魔法攻撃を彼らの親衛隊に向かって放った。

「きぁあー!」

 人間達であれば聖女に見えなくもない出で立ちの女魔族が、悲鳴を上げて倒れた。カークの雷球を直撃されたのだ。

「こ、この卑怯者!」

 怒りの形相になった人間型魔族の魔王の魔力が高まった。彼女は、彼の副官、筆頭魔道士、回復能力者、愛人だった。彼は怒りから、魔力を絞り出していた。

「それだけか?」

「なんとでも言え!目にもの見せてやる!」

 彼には、今までの慎重さはなかった。

 彼の必殺の魔剣の剣技と魔剣の力に彼の魔力が、纏われた魔剣の攻撃がカークに襲いかかった。が、カークの剣、聖剣エクスガリバーが一閃すると、彼の魔剣は折れて、その攻撃は弾け飛んだ。と同時に、彼の体から血が噴き出した。

「ぐふ…、馬鹿な…何をした?」

 カークは、それには、直ぐには答えなかった。他の二人の魔王が飛びがかってきたからだ。彼の力も、彼女の魔力も、カークが事前に展開していたトラップに引っかかって、自分自身の方向に返っていった。

 衝撃波で返ってきた自分の渾身の力に、トカゲ顔の魔王は、立ったまま痛みで動けなくなっていた。

「う、う。」

 唸るので精一杯だった。

「きゃあ~!」

 オーガ系の女魔王は、火炎に包まれて、悲鳴を上げていた。

「ああ、ごめん。あ、もうちょっと待ってくれ。」

 カークは、光の十字剣を作ると、それを投げ飛ばした。それは、途中で三つに分かれ、それぞれ魔族騎士達をなぎ倒した。

「待たせてすまなかったな。私が何をした?見ての通りだよ。エクスガリバーと私の力が、君と君の魔剣を上回っただけだよ。」

「く、くそ~。」

「あちらは、もう終わりそうだな。」

 ケイカとテンシアの殺戮が、終わりに近づいているのが分かった。

「もう~、私達だけで十分でしたわよ。」

「手助けの必要などなかったぞ。」

と最後の相手を倒しながら、文句を言った。

「では、私も終わりしないとな。」

 3魔王は、断末魔の苦しみの中、それでももがこうとしたが、無駄だった。静けさが支配するまで、さほど時間は、かからなかった。

「ようやく終わったか。」

「私達の方が、早かったですわね。まあ、でも、助けてもらいましたけど、随分と。」

「別に必要はなかったのだがな。」

 駆けつけてきた将兵も、二三発、大きな攻撃を受けると、魔王とその親衛隊が全滅したのを見て、総崩れになって四散していった。

「次を、早く片づけて、人間・亜人界に赴くか。」

 悪態をつきながら、彼に左右から体をすりつくるようによりそう二人に聞こえるように、カークは言った。

“頭のいい奴が一人、この機を利用して、この3人の領域に侵攻しているからな。まあ、どこまで深く考えているのか分からないが…。単に、表面だけしか見えない、小利口な奴だと助かるが。人間界にも、早く援兵にいかなあといけないからな。”カークが思っていると、

「魔族の軍で、後方を脅かしておるから、まだ余裕はあるぞ。」

「勇者達とそのチームや亡き勇者カクタのチーム、それに九尾の狐耳女がいますし、それに銃砲もありますから…。」

「まあ、小賢しい魔王を片付けてから…の方がいいか?そのくらいは…。」

と二人で勝手にうなずき合っていた。


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