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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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合従連衡 3

「あれから5年が経つか?」

 カークが呟いた。新設の風車の試運転の視察に来ていた。試運転は順調だった。この世界では、今までなかった、大半が中世末の技術水準の、この世界には存在しないはずの形の高効率風車だった。これで、16基目だった。当初は従来型の改良型の建設、置き換えを中心にして、これは試験型の設置と試験で始めたが、心配したほど不備はでなかったが、高効率過ぎて、そのパワーを使い切れない事態が発生してしまった。普通ならば、小麦の粉ひきや精米機につなげればよいのだが、それに直結させると、回転、動きが激しくなってしまう、別な、他の用途向けに余力を回して力を分散させないといけなくなったのだ。だから、これを扱いうる周辺施設の構築にはどうするかの方が時間がかかった。水車も同様だった。試行錯誤、どれ縄式の対応の積み重ねの結果、何とか扱える、これを使って、産業の発展を進められるようになった。

「5年?」

「勇者カクタ殿がなくなってからだ。」

 カークは、他人事のように、別人のカクタという別のことを語るのかという感じだった。

“ある程度、進んできたが。国作りをもっとユックリしていきたいところだが、全面戦争が迫ってきたな。”カークは、心の中でおおきなため息をついた。

「勇者カクタの思っていた…これが…国だったわけだ…。悪くはない、そして戦いは…仕方がないな。」

 そんな会話がされ始めていたとき、カークによりそう者がいた。猫耳の見覚えのある顔。

「私はあなたについて行きます。」

 そこまで言うと、彼女は体を硬直化していた。

「ゆ~くりと聞いてあげましょうね。その後は、た~ぷりと教えてあげますからね~?」

「相変わらずだな。聞き分けのない奴には、再教育とやらが必要だからな。」

 後ろから、彼女の両肩に温かい物が触れ、耳元に残忍さをたたえた声が入ってきた。完全に彼女は失禁していた。思わずすがりついた腕を、カークは、優しくはあったが、簡単に振りほどいて、

「では、二人とも行くか?」

と歩き始めた。すぐに二人は、彼に続き腕を組んだ。彼女は、地面にへたり込んだ、

「お前がちゃんとしないから、悪い虫が寄ってくるのだ。」

「そうですよ。厳しい態度を取りなさいと、お願いしてますでしょう?」

と甘えるように寄りそいながらも、文句をいう二人に、

「コウとショクは何と言っていた?」

 あれから4年弱、二人はすっかり彼らの秘書役をこなしていた。各国の情報をまとめさせていた。

「なかなか、よく見てますわ。ちゃんと整理してまとめてくれていますよ。」

「拾った時は、何ができるかとおもったものだが…。よい拾い物をしたな。」

 二人が褒めた内容は…。


「これで同盟締結ですな。長い道のりでしたな。」

「長かったことはどうでもいいのですが…。」

「間に合ったかどうかが、一番問題ですな。」

 大国の外交担当者達の会話が交わされていた。幾つもの大国が、複雑な交渉、下準備、事前交渉の末、一同に会して連合軍を編成することが決まった。カークと名乗る男の本格的な周囲への侵攻、拡大が明らかにするになってから、3年近く経っていた。その連合軍が、実際に三方から、カークの領地に攻め込むまで、まだしばらくの時間がかかる。とはいえ、攻守同盟が結ばれているので、彼の軍に侵攻されても、援助、援軍が期待できる体制になっている。

“さ~て、どうしたものかな?流石に、連合軍の一員として攻め込むわけにはいかんだろうし…。”悩む諸侯が何人かいた。

 大国の国王、皇帝、大王から中小国、諸侯、有力都市が参集しての一大会議、実際の交渉は事前交渉、特に大国間で、既にほぼ領海済みなのだが、動いている情勢の下で少しでも、じぶんが有利になるようにとの交渉が、水面下で、王侯貴族から都市有力者達が、夜の会食、ダンスなどに興じているような光景の中で進み、何とかまとまってきていた。それでも、大軍がそろい、進軍するまでには時間がまだかかりそうだった。そのような事態に焦りつつも、諦めている者もいれば、それを上手く言いくるめ、責任を上手く他人に転嫁して、功績を自分の物にしながら、自分が恵まれないと不満を募らせる者もいたし、将来の体制に思いをよせる者も、色々な人間達がいた。

「まあ、取りあえずは、まとまって戦おと言うことになったではないか?」

 典型的な人間型魔族の男達か、唸りながら睨み合う、オーガ系女魔族、トカゲ型魔族の男、蟻型男魔族達をなだめるように言った。

「フン。俺は、お前らなどに期待などはしておらんわ。足を引っ張るなと言っておるだけだ。」

とトカゲ顔が言えば、

「それは、こちらのセリフだ。」

とはオーガ系の女。

 彼らは全て、魔王と称して、魔界で勢力を拡大している連中だった。もちろん、各地の魔王神殿で魔王の認定を受け、真の魔王になるためには全ての魔王を称する、自分以外の者を倒し、勇者カークとその二人妻を殺すことであると教わっていた。

「ダークエルフの魔王の参加を、もうしばらくまとうではないか?」

 ダークエルフといっても、ハーフエルフ、人間と遊牧のエルフ族との間の、だが。まあ、ダークエルフと周囲から呼ばれているから、敢えて異は挟んでいない。

 同盟の参加を打診して、内々には同意していたはずの彼女がまだ来ないのである。

「どうでもいいではないか?」

「そもそも、エルフなどと同盟する必要があるのだ?」

 オーガ系魔王のセリフだった。

 しかし、彼女との同盟は不可欠だった。その彼女が来ないのである。彼女に、彼女に代わる者を、代理の者の出席を認めることとなっている。それも来ないのである。

「カークと二人の女達は手強い。それに、他の魔王達もいる。カークを倒しても、手痛い被害を受けたら、それをつかれる。」

 二人は少しの間黙った。“馬鹿な奴らだ。少しは頭を働かせろ。力ばかりの…。”と思ったものの、彼自身、他の魔王達が同盟を締結しようとしている可能性、実は既に一グループがかなり進んでいた、を全く考えつかないでいたのである。

 だが、他にも締結を、同盟を図る面々がおり、それどころか、一歩進んで人間・亜人と提携を図ろうとする又は人間からの提携の話しに乗ろうとする一派さえもいたのである。さらにその中にカークに取り込まれた者達もいた。もちろん、この三人は、そのことを一切知らなかったが。

「どうするのです?3魔王…候補と暫定的な同盟を結ぶのですか?」

 ダークエルフ、人間と魔界のエルフ族のハーフなのだが、は側近の褐色の肌の女から問われていた。

「カークが目の前に迫っているのだぞ、それでも、彼らと共に奴に抗するか?」

「しかし…。」

“あなたこそ、真の魔王に相応しいのに…。あなたを真の魔王にしたい、私は…。”と彼女は唇を噛んでいた。彼も彼女の期待を分かっていた、できれば、「彼女の為に」統一魔王、真の魔王になりたいと思わないではなかった。人間と魔族のハーフの父と魔界のエルフ族の母から生まれ、ダークエルフとして生きてきた彼を支えたのが彼女だったからだ。だが、カークには勝てない、彼に勝つどころか、個人的な力量はともかく、その兵力等で完全に劣勢なのは、聡明な彼は分かりすぎるくらい分かってしまっていた。このままでは、敗れる、そうなれば、彼女を死なすことになる。それは避けたい。今、連合を組んでも、問題を先送り、それも僅かなだけ、するだけである。自分が魔王に相応しいと援助を約束してきた人間は、怪しいとしか思えなかった。

「なあ、カークのいう世界の実現に賭けて、その世界の中で、より高い地位を求めるべきではないか?」

 何も言わない彼女にさらに続けた。

「そのためには、さらにお前の助けが必要なんだ。」

 しばらくの沈黙、彼女の目から涙が流れたが、

「はい。」

 その言葉を聞いて、思わず彼女の手を握りしめると、彼女も握り返した。二人の心は通じ、方向は決した。


「よくまとめた。」

 カークは二人を褒めた。

「流石に、我が教育しただけはある。」

「あら、私の教え方がよかったからですわよ。」

「なにい?」

と軽く睨み合いながらも、笑顔を見せる二人にホッとし“じゃれ合うようになったな。”、少し緊張した面持ちで、3人の前に立つ二人を、カークは満足そうに見た。

「これからどうするのですか?」

「どうすると思う?」

「各個撃破?」

「切り崩し?」

「全て正解だ。」





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