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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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動き出す人々 3

「まあ、今日はもう寝たまえ。寝付けないなら、酒も用意してあるから、寝酒として少しだけ飲みたまえ。まだ、食事を終えていない者は簡単な食べ物を用意してあるから、それを食べて我慢してくれ。明日早く出発するから、私の、私が、いや私達が建国した国に向かう。以上だ、では明日。」

 カークはそう言うと背を向けて、ケイカとテンシアを連れて、元勇者カクタのチームが入っている天幕を出て、少し離れたところにある小さめの天幕に向かった。

 天幕の中は、簡単な寝具が用意されていたが、誰もすぐには寝る雰囲気ではなかった。

「どうする、これから…。」

 誰かが、ポツリと言ったが、彼も、他の誰もその続きを口にしようとしなかったが、

「何を今さら!今度こそ、彼に賭けるに決まっているでしょうが!彼が、魔界も、世界も征服すると言うなら、それで結構よ、それに従うだけじゃない。嫌ならとっとと帰って、さっさと殺されなさい!」

「まあ、彼女の言うとおりだよ。まあ、とりあえず、酒をいただこうじゃないか?」

「私は、お腹が空きましたわ。誰か、一緒にいただきません?」

 マルサの激に、苦笑しながらヘブロとリリアが割って入った。

「そうした方がいいわよ。もう、カクタはカクタに戻れないし、あなた方も戻れないんだから。」

 ダークエルフの女が、天幕の入り口に立っていた。バーニアだった。

「やはり、カクタが生きているかどうか確かめに行って、かえってこなかったというのは君だったか。」

「よく知っていたわね、王子様。失脚していたのに、耳は良いみたいね?」

「マルサから聞いたよ。彼女がいなかったら、もっと知るのは遅かったよ。」

「そう流石ね。」

 彼女とマルサは睨み合った。

「そのあなたが何を言いにきたの?」

「昔の仲間のために…と言ったらいけないかしら?カークは魔界も、人間界も、エルフも、そして亜人も征服するつもりだ。彼の下に、来たら、もうそれに従うしかない、選択の余地はない。それに、カークには、姉さん達しか、妻はないよ。」

「それを、私は説得できる自信はないが。」

 ヘブロは、おどけながら、身振り手振りを交えて説明した。

「其れなら、死ぬしかないわ。」

 皆が、彼女の言葉に沈黙した。

「もう、私と小さな領地で、ささやかな幸せで生きたいという勇者カクタは、もう、この世にいないのよ。」

 これには、即座に反論がでた。

「どうして、あなたとカクタなのよ?それは私よ!」

「二人ともかく、彼を裏切っておいて、何言っているのよ!」

と姦しい議論が始まった。バーニアもその議論に加わってしまったので、ヘブロは自分が収拾するしかないと頭を抱えた。

「まあ、考えて見ると、彼はもう静かな生活なんか出来ないだろうし、この世界も許さないだろう。あのお二人も、そうだろうな。さらに強くなったカク…いやカークと副魔王も倒せる二人の女…。もう、存在さえ、これしかないだろうな。その3人の下に来た以上、選択の余地はないな。我々は、死ぬか、彼に、3人に従うしかないというわけだ。」

「私も、あの3人に賭けますわ、マルサ様同様!」

 いち早く議論の輪から抜け出したリリアが、後押ししてくれた。

「3人の下で、世界相手に戦えばいいんでしょ?そして、その中でのし上がってやるわよ!大公になってやるわよ!」

 マルサだった。

“カク…カークの国の政治体制を聞かないとな。”“大公とか…そもそも貴族とか認めるかしら…。”“宰相とかでもいいわよ!”3人の思惑は、他のメンバーの先に行っていた。その後、だんだんと皆が寡黙になり、そのまま眠りにつくことになってしまった。

「あの小娘達に未練はないでしょうね?まあ、数年すれば、私達が小娘になりますけど。」

「そうだのう、我ら二人は永遠のピチピチの29歳だからのう。我らの方が良かろう?」

“実年齢は違うだろう。”と突っ込みたかったが止めて、

「何時までも、4歳上の姉さん美人女房だな。」

と返した。二人は、複雑な表情を見せた。どう反応してよいのかも迷った。それを楽しんでいるような顔の彼を見て、

「つ、強くならんとな…。」

「そ、そうです。もっと…。」

「魔王が何人も手を組むかもしれないからな。二人で、魔王一人くらいは倒してもらわないといけないかもしれないからな。」

 彼が応じてくれたので、

「そ、そうじゃ。そのためにもな…。」

「が、頑張りましょう、今から…。」

“本当に、それを期待しないとならないな。”と思いながら、カークはもじもじしている二人の手を引いた。

 3人同時に、窮屈だが唇を重ねる。少し離して、舌を突き出して、三つの舌が空中でなぞりあう。しばらく、それを続けた後、彼女達は体を離して、衣服を脱ぎ、手際よく全裸になり、彼の服も脱がしていく。“ピチピチの29歳か…。確かにそうだな。”と彼女達の裸体を見ながら思った彼の体が興奮しているのが伝わり、彼女達は安心した。

“ずっと年下か。”と何となく、カークが思いながら動いていると、

「わ、わしはお前が年下などと感じたいことはないぞ!」

とテンシアが両腕を絡め、両腕で抱きしめながら、彼の考えを察するように、喘ぎながら言った。

「そうですよ。私達、あなたを頼りにして、従っているのですよ。」

 ケイカが、胸を背中に押しつけながら、耳元で囁いた。

「美人で若い姉さん女房だから、頼りに為ているんだよ。」

「もう、そんなに年上、年上と言わないで下さいません?」

 ケイカが、彼の下で喘ぎながら文句を言った。

「そうじゃ。我々は、若いのだ。」

 ケイカの横でぐったりしながら、テンシアも文句を言った。カークは、笑いながら、

「何時も、二人は初々しいよ。」

 “いつも、29歳に、この瞬間、リセットするわけだからな。”

「それは、あなたも同じでしょう?」

「皆、いつも新鮮な関係じゃな?」

 彼の心を読んだように、二人は言った。

 寝息を立てる二人を、両脇で抱き、彼女達の体臭につつまれながら、カークは、“二人を守る?利用して?二人のために?どちらだろうか?どうでもいい、もう戻れないのだから。”何度も繰り返して自問しているうちに、眠りに落ちた。

「これは、カクタの味だな。全く、変わらない奴だよ。」

「こういうところが、抜けているのですわ、いつも。」

 軽食だといって用意されてもいた、魚のフライと肉の照る焼きなどを口にした彼らは、そんなことを云いながら、睡れなくなっていた。

「酒でも飲んで寝るか?これもカクタの趣味だな。」

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