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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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二つ目の拠点占領

「転真敬会奥義!小退木!」

「竜王天雷!」

「全ての悪しき者、聖なる光の下に…。」

「みんな、僕に力を貸して!」

「みんな、俺の力を!」

「私の盾で!盾よ、みんなを守って!」

「聖矢流星嵐!」

 カークの詠唱?に、何人もが、おのれの全力で対抗したのは、その翌日だった。そこは魔界ではなく、人間界、本来はケイカのである館の大広間でだった。

「うわー!」

「きゃぁー!」

「ぐふ…。」

と何人もの男女が壁にめり込むように叩きつけられた。いや、本当にめり込んだ。

「竜女様?」

 1人に激突を免れた若者が弱々しく、顔をあげて呟いた。その目には、白衣をきた頭に角があるが、白い肌の美しい、若い女がいた。彼を抱きとめて、衝突から防いだのだ。

「も、申し訳ありません。力不足で…。」

「何を言う。良くやったぞ。後は、吾にまかせて…。ぐふ…。」

 彼女の体が、真っ二つに成るのが見えた。噴き出す血の中で、カールが、

「お前、趣味が、悪いぞ。こんなのにうっとりして…。それとも、この顔が別の何かに見えていたのか?」

 カークは、竜女の頭を吊り下げて言った。そこには、人間の美しい顔ではなく、トカゲのような、或いは竜と言われるものの顔、頭だった。

「この犬顔女どもが、わらわらと!」

「ああ、虎顔女達がむさ苦しいったら!」

 戦いが大広間から庭に移っていた。テイカとテンシアは、獣人達、彼女らがよく知っている猫耳、兎耳、犬耳などを持ち、身体の一部に特徴的な身体特徴を持ち、特有な力を持っている者達ではなく、全く異なっていた、をなぎ倒していた。

「ぐ、ぐ…。」

 庭で倒れている戦士達の1人が、なおもカークと戦おうと、意識が朦朧としながら、ふらつきながらも立ち上がろうとしていた。金髪の端正な顔立ちだが、立派な体格の若者だった。

「この役立たずの屑が!」

 蹴り飛ばされて、よろめいて倒れた。何とか力を振り絞って振り返り、

「な、なにを…姫…。え?ひ、姫?ば、馬鹿な…?う、うわー!」

 彼は絶叫し、気を失いかけた。立ち上がりかけた気力を失い、フラフラと尻餅をついて、そのまま座り込んで動けなくなってしまった。

「ひー!う、嘘よ~、嘘?」

 ヒステリーに叫び、這って逃げようとしている小柄な金髪のエルフの美しい女もいた。彼女は、失禁すらしていた。

 彼女が逃げようとしているところには、熊顔の集団がいた。至るところで、同様な声、情景が起きていた。

カーク達には最初から、そう見えていたのだが、彼らの先頭になって、と言うより彼らに命じられてカークに向かってきた、彼ら、彼女らには別の顔、姿に見えたのだろうと、容易に想像が出来たが、

「あいつらは、何だ?オーク…いや、オークでもなさそうだが?」

「?」

「?」

「まあ、まず奴らをたおすことが先決だな。」

「そ、そうですわ!」

「さ、賛成…賛成だ!」

 3人は、とりあえず考えるのを止めて戦うことにしたのだった。負傷もして戦力をほとんど失っているだけでなく、戦意も気力も、真実を見て完全消失してしまった男女を無視して、3人は獣顔人達を蹴散らし始めた。彼らは、力も強かったし、動きも早く、魔法も武器も巧みにつかうことが出来たが、3人の前では、為す術はなかった。退路を阻まれ、完全な殺戮状態に陥ってしまっていた。

 力自慢と思える連中が、軽くケイカとテンシアが、右から左へと投げ飛ばしなが、すかさずとどめを刺してゆく。魔法で焼き殺したり、感電死させたり、剣で動脈を切ったり、足で踏み潰し、拳で心臓を貫いた。

「何人か…いや何匹かは、残しておけよ。」

 カークは、まとめて潰しながら、2人に声をかけた。

「ご主人様!」

 そんな叫びをあげて、呆然としている男女に駆け寄る、カーク達がよく知る獣人達がいた。

 ふと魔力を感じた。

「何かいるな。」

 カークが、何もない一角を睨んだ。

「見えるか?」

「見えますわ。ひどいざるな不可知結界ですこと。」

「こちらの力を測るぼど賢そうな顔ではないな。」

 3人の挑発的な言葉に、それは姿を現した。正確には、不可知結界を解除して、結果として3人以外にも見えるようになったということだった。

 狐顔の女?だった。“ん?1、2、3…9…九尾の狐か?”魔法杖、上部に赤く輝く玉、水晶のような、のついた、をもって、自信があるかのように、舌なめずりをしていた。

「どうじゃ、今なら配下にしてやるがどうだ?」

 ことさら威厳と落ち着きを見せようとしているのは、明らかだった。自分の部下たちの多くが倒れ、精鋭といえるはずの男女の戦意を消失させてしまっているから、この後のことを心肺せざるを得ないのだ。

「内心しようかあせりまくっているのが、一目瞭然ですわよ。」

「自分だけ早く逃げればよかったと後悔しているのが手にとるように分かるな。」

 ケイカとテンシアは、やはり挑発するように言った。

「何だと!」

 怒る九尾の狐に対峙するカークは、九尾の狐から別の声が聞こえてくるような気がしてならなかった。それでしばし、彼女を黙って観察していた。“相変わらず素早いな。”バーニャが、九尾の狐の後ろに近づいていた。そして、いきなり火球と雷電球を複数、九尾の狐に向かって飛ばした。狐が振り向くことなく、防御結界が張られて、それは全弾、消滅した。バーニャは、素早く姿を隠した。“相変わらずだな、俺の役に立つことを考えて動くな。”と思い出しながら感心した。

「あの玉、水晶玉からか?」

 カークの目に、魔力の波動がはっきり見えた。“わざとか?水晶玉が…わざと?”

 バーニャが、素早く身を隠したので、

「卑怯者!それ程我が怖いか?臆病者が!われから行くぞ!」

 水晶玉が光り、頭上から幾つもの稲妻がカークに落ちた。閃光と轟音と衝撃が周囲に広がった。大抵の者が、自分の身を守らなければならなかった。一瞬、全く周囲が分からなくなった。九尾の狐女?も、同様だったが、ただ一つ異なっていたのは、自分が結果が分かっていると確信していたことだった。無礼な敵を、卑怯な相手を、瞬殺したと確信していた。視界が回復したとき、彼女?が目にしたのは、小馬鹿にしたような表情で笑みを浮かべる女2人だった。“男がいない?”さすがに、この一撃で跡形も無くなるとまでは過信してはいなかった。“何処に行った?”

「この水晶玉が力の源か?誰か封じ込めているのか?」

 杖から水晶玉を取り外したカークが、それを手に首を傾げている姿が目の前にあった。

「か、返せ~!」

 何と、魔法か剣なりで向かってくるかと思いきや、鋭い牙で、彼に噛みつこうとした。しかし、すかさず繰り出されたカークの拳を数発受けて、牙を折られ、血を吹き出して、吹っ飛んで、大地に倒れた。

「ぎゃー!」

 素早く動いたカークは、足で彼女?の膝を踏み潰した。さらに、肘も踏み潰した。完全に動けなくなったのを見てから、手に持つ水晶玉を破壊した。すると、淡い光りと共に四散し、彼の前に、九尾の狐耳の若い女が平伏していた。

 

 

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