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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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同時進行で

「彼らの話を聞いて、情報を整理してから考えよう。」

とカークは、思っていた、一昨日までは。 しかし、今は、

「テンシアの領地にまず行こう。」

と言い出した。

「そ、そうか。それはいいが…。」

 テンシアはケイカの方を見た。

「どちらが先かになってしまうのは、止む得ませんが、理由を言っていただけますか?」

 ケイカも、遠慮がちに言った。“二人とも、相手を尊重しあうようになったか、偉い、偉い。”

「直ぐにケイカの領地に飛ぶ。二つの地を往復しながら、掌握する。一日に何度も往復してもな。」

「え?そんなこと…。そんなの…二点間の転位魔方陣を作るのには、最低でも、高位の賢者でも一カ月はかかりますよ。」

「そ、それにだ、稼働させるために、かなりの魔力を使うから、一日に何度もは…。それに、今回はお前もルートを作っていないだろう?」

「それとも、何か策でもあるのですか?」

「お前達の協力があれば…。」

「は?」

「え?」

「その…なんだ…いつもより激しくでだな…。」

「はあ~?」

「ほ~、ほ~?」

 後ろから胸を揉まれながら、カークの胡坐の上で激しく動いていたテンシアが、一段と大きな声をあげて動かなくなった。

「どう?」

 そのテンシアに舌を這わせているケイカが、ため息をつきながら尋ねた。

「できた。」

とカークが言うと、

「じゃあ、私ね。」

と喜々としたケイカ。

「わ、わかっておる。」

と残念そうなテンシア。

 馬鹿げたことのようだが、何故か昨晩、頭に浮かんだのである。力の増大は、知識の増大も含むのか分からないが。

 尻と胸をなでまわして、その感触を楽しんでから、もう我慢できない状態のケイカと、テンシアと同じ体位で一体になる。ケイカは、直ぐに喘ぎ声をだし、二人の動きは、激しくなる。テンシアが、しばらくしてケイカに愛撫を加えて早く終わらせようとする。激しい営みが終わり、グッタリして横たわる二人の間で精神を集中していたカークは、ニッコリして、

「つながった。魔法石に記憶もできた。すぐに魔方陣を展開して、稼働もできるよ。」

少し勢い込んで言うと、二人はノロノロと半身を起こし、

「それは良かったのう。吾も嬉しいが、…その…なんだ…。」

「?」

「目的は達成できてよかったですが…、やはり…その…。」

「?」

 意を決して、二人は互いにうなずき合うと、

「ゆっくりと…可愛がってな…ほしいのだ!」

「本来の愛妻を愛でる行為をですね、あらためて…。」

 ため息を、つきながらもカークは、応じるしかなかった。体も、反応するのだから。

 グッタリとして、涎を流している二人を見ながら、

「このまま進むしかないんだ。昔の仲間と戦いたくはないが…。あいつはら、どうするか…。」

 考えようと思ったが、カークは止めた。二人を抱くようにして、取りあえず眠ることにした。

 とはいえ、翌日に直ぐに出発というわけにはいかなかった。結果として、30人以上の人数になったので、それを同時に移動するほどにするために、多少時間と魔力(消費した後の休憩も必要になった)が必要になったからだ。また、全員の武装、装備が必要だったが、彼らの収納魔法などで確保していたものでは足りず、購入、さらには彼の隠れ家に戻って在庫を持ってくるといったこともしなければならなかった。その他雑多なものも必要であり、購入しなければならなかった。 

 購入は、ビーニャに手伝わせたというより、かなりな部分をやらせた。

「もう、戻れないの?あの頃に…。」

 ピエラは、散々2人に、

「こいつは、我らに首ったけなのだ、分かるであろう?」

「私達も彼を愛しきっているのよ、心のそこからね!」

「だから、あなたに入る隙間はないの!」

と最後にハーモニーして言われても、まだ、諦めきれない表情を度々向けた。彼女の頭の中では、自分とカクタに関係する記憶は、直接的でも、間接的でも美化されていた。

「勇者カクタ殿は、死んだんだよ。君たちに、屑勇者と罵られてね。」

「そんな…。」

 そう言いつつも、自分があの時、カクタの死に抗議しなかったのか、あれは、そうでもしない身の安全が保てなかったからだ、と弁解したかった。それは、さすがに口から出てこなかった。自分は、心の底から悲しんだと記憶が改竄してしまっていたが(あくまで自分自身によってだかわ)、どうしてもそれを言うことができなかった。実際、そうではなかったのだが。

「お主は、どうして、あの勇者カクタに、皆が殺そうとしていると伝えなかったのだ?間に合わなかった?いつ知ったのだ?駆けつける時間はあったように思えるがな、どうだ?だが、お前はかけつけることもなく、彼が殺されるのを、男の元で過ごしたのであろう?残酷よの。自分を殺すことに皆が賛成している中で、自分だけが知らず、皆に祝われている、愛されていると思い込んで、宴会で喜び、誰を選ぶが悩んでいたとはな、勇者カクタは哀れよの。」

「あなたは、彼の元に駆けつけて、彼にそのことを告げることができたのよ。馬鹿な勇者カクタは、ホイホイてあなたを選んだでしょうね。ただ、その後はあなた方2人は、逃げ回らなければならなかったでしょうけどね。でも、勇者カクタなら、追っ手を蹴散らしてくれたでしょう。あなたを助けて、逃げおおせていたでしょうね。分かるでしょう?分かっていたけど、彼との苦労を幸せだとは思えなかったのでしょう?あなたは、だから、彼のいない、いなくなる、かれが殺されてしまう世界を、暮らしを選んだのよ。」

 2人は、彼女を半ば押さえつけるようにして、耳元で囁いた。

“彼女は、使う、それだけだ。”


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