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異世界姉さん美人妻二人、両手に花…勇者の本音は  作者: 安藤昌益


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戻れないか?

 ピエラは、故カクタの取り巻き女の一人であった。女達は、大体二つに分かれていた。彼に寄り添おとして争うグループと彼が必要とする立場に、彼と戦いやそれに限らずともに立てる、進める立場に立つことを争うグループにだった。前者の女達が能力や実力がなく、戦いその他の場面で彼の役に立たない存在ではけっしてなかったし、後者も彼に隙あらば、機会を見逃さず、スキンシップを求めてきたから、あくまでも傾向の違いだった。

 ダークエルフの彼女は、後者の典型だった。戦いでも頼りになる奴だったし、異世界の知識のうち、庶民レベルの、身近に役立つ知識の先生は彼女だった。表面には出さないが、自分への思いの強さは強いと感じ、真実ではと最後まで思いたかった何人かの一人だった。それが、葬式の日、他の男の胸で泣いていた、自分の死を慰めともらおうとではなく、自分からの解放を喜び泣いていたのには、さすがにショックだった。今では、遠い昔のことのように思えるし、それで恨む、復讐しようとは思ってはいなかったが。

「何を追ってきた?私とよりを戻したい、なんて考える訳はないだろう。誰に頼まれた?目的は、カクタを、あらためて殺すことか?確かめることか?そもそも、対象は私か?それとも、この二人か?そもそも誰の情報だ?」

 ビーニャの別邸というかが近くにあったので、そこにピエラとまだ息のある連中を連れ込んだ。虫の息の連中を、当分は、死なない程度に回復させて、ピエラの尋問を始めた。彼女は、どこから白状すればいいか迷ったようだったが、しばらくして口を開いた。

「あんたに、擦り寄っていたハイエルフ女と正騎士女だよ。あれだけ擦り寄っておいて、あんたの暗殺が上の了解事項と知ったら、手のひらを返してさ…。それだけに、怖かったんじゃないか?それから、王妃と魔王妃を見たと言う奴がいてさ、まあ、上は半信半疑らしくて、情報も曖昧だったからね、私に確かめろと依頼がきてね。たまたま、それを命じられた貴族の仕事をしていたから、その流れで、こうなったわけだよ。本当は、信じてなかったよ。あんたは死んだ、死体も、埋められるのもみたしね。」

 一旦、口をつぐんでから、思い切るように、

「ねえ、元に戻れない?あの時は、保身のためにああでも言わないと危ないと、思ったんだよ、わかるでしょ?あの男が手近で、やりやすかったからで…。私は、あんたを、カクタ、愛して…痛!止めてよ、ば…王妃様。」

 さっきから、こめかみをヒクヒクさせていた二人はいきなりピエラを締め上げた。そして、カークを睨んだ。

「もう戻れないよ。」

と冷たく言った。ピエラは、がっくり下を向き

、二人は満足気に頷いた。“違う意味でも、もう戻れないな。”

 勇者カクタが生きているかもしれないと、かなり半信半疑で、軽く考えているとはいえ、動き始めているわけだ。その上、元王妃、魔王妃も生きているかもしれないと動き出しているわけだ。ほんの好奇心、念のための確認であっても、手を打ったのである。第一手が失敗した。そうなれば、第二手が、それが…。“ああ、完全にスローライフは、夢の夢のまた夢だな。もう毒を喰らわば皿までだな。”

「お前の入る場所などはないのだ。こいつは、吾ら、二人を選んだのだ、最愛の妻としてな。」

「そうなのよ。彼の左右に立つのは、私達二人だけなのよ。彼は、私達と深く愛しきっているのよ。」

「吾らも、こやつを心から愛しておるのだ。どこまでもな!」

「そうよ。彼を最後には裏切ったあなたは、お呼びではないの!」

“本当なの?私の場所はあるよね?”と目を向けていたピエラに、“ここははっきりさせておかないとな。”と、

「もう、あの頃には戻れないんだよ。だがな、どうだ、私達3人とともに、人間、亜人、魔族が共存する世界を作らないか。吾らの同志として加わらないか?」

 のぞき込む彼に、

「まだ、そんなことを…あんな夢物語を、まだ信じているの?…わかったわ、やるわ。」

 勢いよく頷いたが、

「やるわ、ではなく、やらせてもらいます、だろう?」

「そうよ。あなたは、お願いする方だということを忘れてはいけないわよ。」

 押さえつけて、耳元で命じていた。

 ピエラは頷いたが、

「はい、だろう?」

「お願いします、でしょう?」

「はい。お願いします。」

“こいつは、計算しているはずだ。そういう女だ。それでもいいさ、大いに使える奴だからな。”

 彼女と生き残った彼女の仲間達に、従属の盟約を結ばせた後の3人の営みは、いつも以上に激しいものになった。少なくとも、3人には思えた。カークは、誰を抱いているのか、度々わからなくなっていた。あの二人が見えたような、感触を感じたとも思ったり、ようやく抱いたと抱いたこともなかった女の感触をかんじたりした。それを振り切るために、

「ケイカ。テンシア。お前達だけだ!離したりしないぞ!ともに地獄の底まで連れて行くからな!」

 彼女達の下から、後ろから、坐位で胸を揉みながら、胸の弾力を自分の胸で感じながら、ベットの上で、立ちながら、動き、突き上げていた。

「お前が抱くのは、吾らだ!我らだけだ、絶対!どこに行ってもだぞ!」

「あなたが、抱いているのはどこまでも、私達なの!他の女じゃないのよ!」

と二人は叫びながら、喘ぎ声をあげ、激しく動いた。自分達以外の女を抱いている、今抱かれているのは自分達以外の女であるという幻覚を打ち消そうとするように。

 息絶え絶えで、両脇に仰向けで涎を垂れ流しにしている二人を交互に見ながら、

「明日、奴隷達を買うぞ。彼らを率いて、ことを起こすからな。もう後戻りはない。わかったな。」

 二人は、何か言おうという意思が頭の隅に浮かんだが、声にならず、ただただ頷くばかりだった。

“だが、どちらからやるか?どうやるか?まず、彼らから情報を聞き出してからだな。それに基づいて計画を練るか。あ~、もう、俺はいつも行き当たりばったりだな。自分が嫌になるよ。”カークは、頭をかき乱したいくらいだった。

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