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3姉弟?

“ああ。こいつら、本当なら、こんな場末でこんなビールを飲んでいる身ではないのにな。”

「苦労した後のビールは、一段と美味いな。」

「ここのワインは不味いけど、さすが地元自慢の、このビールは美味しいわ。」

といかにも美味しかったという顔で、一旦ジョッキを置いた、両脇の女達に、男は思った。

“まあ、順応力があって助かっているわけだが。”とも思い直した。二人が顔を近づけてきた。

「おい、エルフ女に関心があるのか?」

「若い女が、そんなにいいのかしら?」

 怖い顔をしながら、耳元で囁いた。“よく見ているな。”そして、“はい、若いピチピチに関心がありますよ。”との言葉は飲み込み、

「私を知っている奴なんだ。」

と小声で言った。

「大丈夫?」

「後で殺すか?」

 二人は心配そうな顔をした。

「大丈夫さ。雰囲気も変えているし…それにあいつは、私の死体もみているから。それにだ。」

 小さく笑って続けた。

「美人のお姉様二人が目立って、私はかすんでいるからな。」

と言って、二人の頬に軽く、交互にキスした。

「全くお前は。」

「こんなことしたって。」

と言いつつ、まんざらでもなさそうな顔をしていた。“本当に怪しんだら、確かめに来るだろう、あいつの性格なら…、かな?”心配になり、チラッとまた見たが、魔法の発動も、さらに関心を向ける素振りも見られなかった。安心するとともに、残念さも感じた。“やはり、俺への思いなど、その程度という訳か。”視線を変えた。

「お前達、何をしている?食べて、飲め。」

 向かい側の4人が、まだ食事にも手をつけていないのに気がついて、声をかけた。

「あ、あの…本当に食べていいのですか?」

 少女がおずおずと、顔を伏せながら尋ねた。

「私達の言うことを聞き、働いていれば衣食住と小遣いは保証すると約束しただろう?明日は、まともな服と装備を買ってやる。」

 その後、男二人の方を向いて、

「お前らも、次からは仲間、いや部下として報酬を出す。まあ、これは支度金だ。」

 彼は、腰の袋から財布を取り出すと、金貨二枚、銀貨数枚、銅貨二十枚を取り出して、二人の前に置いた。

「こんなに?」

 驚いた表情だったが、直ぐに手がのびた。

「ここに来い、2日後だ。仕事をしてもらうからな。」

 彼が睨むように見ると、

「へ、へい。」

と言って、ビールに肉にかぶりつき始めた。

 男の子と女の子の方は、

「こんなに美味しいの初めて。」

「美味い!」

と言って夢中で食べていた。

“全く、拾ったなら、もっと責任を取れ、馬鹿野郎ども!”と腹立たしくなった。野盗か魔族に襲撃された村の孤児を拾ったらしいが、ろくな服も食事も与えずに、荷物運びにこき使い、盾代わりに使っていたらしい。しかも、話からすると、使い捨て感覚だった。

「明日は如何するのだ?」

「ん?こいつらの服と装備やらを買い揃えて、それから休養かな?」

「湯屋に行きましょう。やっぱり返り血を落としてきれいにしたいわ。それに、きれいな体の方がいいでしょう、あなたも?」

「そうじゃな。我も賛成じゃ。こいつのためとあらば、念入りに体を洗わねばなるまい。」

 そう言って、体をすりつけてきた。シチューに浸したパンを頬張りながら、苦笑しながら二人の顔を交互に見た。

 魔族と人間の女である。二人とも見た目はアラサー、29か28である。髪を銀髪に染め、鎧も下の服も明るめの色にしているのが、魔族である。血が入っているというのではなく、正真正銘の純粋な魔族である。人間の女としては長身だが、でかいと言うわけではなく、一見ほっそりしているが、胸も尻も結構大きく、肌も黄色がかった弾力のあるものに見えるが、柔らかさも感じる。黒髪に染めている女は人間で、魔族の血など入ってはいない。ただ、全てをダークな感じにしていることと化粧も魔族っぽくしていることから、彼女の方が魔族に見えるくらいだった。やはり、平均より背丈があり、ふくよかではないが、胸と尻は豊かで、黄色っぽいが白い肌は柔らかそうであるが、弾力も兼ね備えていた。二人とも、似てはいないが、割と気の強そうな顔立ちである。“美人なんだ。美人なんだ…でもな…。”つい、周囲の若い女に視線を向けようとするのを彼は抑えた。

「それに、この数日、体を洗えず臭っていますからね。」

「我も同じだな。早く体を洗いたいな。自分でも臭うからのを。」

 そう言いながら、急にもじもじし始めると、シチューを食べる手を止め、彼の腕をとり、自分の豊かな胸に押しつけた。いつの間にか、自分達の胸当を外して、彼の腕のを外していたため、二人の乳房の柔らかいが、弾力のある感触を感じた。

「お前も、我の臭う体を味わいたかろう?我はよいのだぞ。」

「私の味付けの濃~い体を味わいたいんですわよね?」

 骨付の硬い肉をかみちぎってから、

「もう味あわせてもらったけど…。」

とため息を隠しながらたしなめた。

「あの時は、ゆっくり出来なかったでしょう?」

「安宿の粗末なベッドの上でも、やっぱりな…?」

 二人の乳房、腕の感触と二人から少しムッと感じる臭気が鼻をくすぐって、体がその気になり、それを二人に知られてしまい、上気し、ニヤニヤする二人に見上げられて、抵抗する気がなくなってしまった。“あ~あ”と思いながらも、彼女らの腰を抱きしめた。

 男は、人間としてはやや長身だが、筋肉隆々というほどではないものの、筋肉はそれなりについていた。黒髪は染めていないが、魔族っぽく化粧をし、装備もダークにしていた。魔族の血が入っていると装おとしているが、人間であるというよりも、異世界から召喚された人間である。

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