魔法でできた万華鏡
息を切らせて公園に到着すると、パッキーちゃんがすでに到着していた。
私と一緒パーカーとジーンズを着て、自動販売機の前で手を振っている。
色やデザインはさすがに違うけど、同じ服でなんだか嬉しくなった。
「こんにちは、パッキーちゃん」
息を整えて挨拶すると、パッキーはりんごジュースのペットボトルをくれた。
「ありがと」
「この間のお礼だよ」
パッキーちゃんがそう言って笑うと、私の顔がほころぶのもわかる。
「ユカリちゃんには笑顔が似合うね」
「パッキーちゃんもね」
お互いに笑いあって、一息ついたあと、場所を変える。
波の形をした滑り台の前を通り、水飲み場にたどり着く。
「この辺でいいかな」
パッキーちゃんは水飲み場の蛇口を開ける。
水が太陽の光を浴びきらめく中、初めて聞く言葉を紡ぎだす。
「水が、浮いた!」
パッキーちゃんの手から風が吹いて、水飲み場から出た水が、空中に舞う。
正円、楕円、星形、三角、ひし形、四角、様々な形に姿を変える。
それが二個、三個と作られていく。
「すごいすごい!これが魔法なんだね」
「そうだよ、身近にあるものを使って、いろいろできるのが魔法なの」
水でできた長方形の中心に薄い膜のようなものができる。
なんだろ。と思ってのぞき込むと私の顔が映っていた。
「鏡?」
水の鏡が三つ重なり柱になる。その奥にも水の膜ができて鏡になる。
「この中ににビーズを入れて……」
ピッキーちゃんがポケットから色とりどりのビーズを出し、中に入れていく。
「覗いてみて」
私が三角柱をのぞき込むと、視界が少し暗くなり、ゆっくりと回りだす。
「これ万華鏡?水でできた万華鏡なの!」
三角柱から顔を出して、パッキーちゃんを見ると満面の笑みを浮かべていた。