おとぎ話を信じる子
パッキーちゃんと改めて、飲み物を飲む。
お金は飼い主?さんが払ってくれるそうで少し嬉しくなった。
お小遣いのやりくりは大変なのですごく助かる。
「ひょっとして私が今まで拾ってきた動物って」
「あたしの友達かも」
ベンチに座って足をぶらぶらさせ、パッキーちゃんは話す。
「というか、よく信じてくれたね。あたしの話」
パッキーちゃんに聞かれて、首を傾げた。
「だって、こういう話ってみんな笑い飛ばすって聞いたからさ」
「あーうん。私も経験あるよ」
昔の苦い記憶がよみがえってきた。
「世の中広いんだから、魔法の世界も地底の世界も海底の世界もきっとあるのに」
前にこの話をして、みんなから温かい目で見守られたことを思い出す。
「そっか、ずっとお話を信じていてくれたから、また会えたのかな、あたしたち」
パッキーちゃんはお母さんみたいな優しい目をして話す。
「またってやっぱり――」
ずっと前に会ったネコって話そうとした瞬間、扉がノックされた。
その直後、パッキーちゃんはネコの姿に戻る。
パッキーが一声鳴く。扉の向こうの人に対して。
扉がゆっくりと開き、パッキーが走って胸に飛び込む。
しっかりと受け止めたのは男性。
ライトブラウンの髪に眼鏡、ネクタイにスーツの二十代ぐらいの男の人がいる。
「見つけてくれて、ありがとう」
パッキーを抱き抱えたまま、深々と男性は頭を下げる。
「ど、どういたしまして……」
話していたことを男性に伝えようとしたら、パッキーが私を見ている。じっと。
「またね。パッキーちゃん」
その視線の意味に気づいて、パッキーに手を振って、別れた。