迷った先に出会うもの
それから季節は流れ、私は成長した。
来月から中学生になる私は、家に届いた制服にそでを通す。
「どうかな、お父さん、お母さん」
部屋で着替え、リビングにいる両親に店に階段を下りる。
「似合っているよ」
「そうかな?サイズちょっと大きい気が……」
「すぐに合うようになるわ」
お父さんに返事をしたら、お母さんが言葉を重ねた。
「そっか。それもそうだね」
「あとは髪だね。長いと校則に引っかかるから束ねておいてね」
再度返事をしてお父さんからヘアゴムを受け取ると、鏡の前に向かう。
(どんな髪型にしようかな、似合うのってどんなかな)
一つ結び二つ結びつける位置、いろいろ試行錯誤を重ねていく。
肩まである髪を首の後ろで一つに結び、最後に笑顔を見せて確認する。
「あらあら、まるで百面相ね」
お母さんが楽しそうに笑いながら話しかけてきた。
声に振り返ると、お父さんも楽しそうて笑っている。
その雰囲気に私も笑顔になる。
「ほら着替えておいで。買い物に行くよ」
「はーい。今日はクリームパスタな気分」
階段を上がって部屋に戻り、着替えると、また下りる。
お父さんもお母さんも準備を終えて、待っていてくれた。
「あ、ネコだ」
買い物に向かう途中でグレーの毛並みと黄色い瞳のネコが私を見ていた。
その様子に私は小さかった頃を思い出す。
(昔、この辺で似たようなネコさんにあったよね)
懐かしさを感じていると、ネコがぱたりと倒れた。
駆け寄ってみるとあの日と同じ赤い首輪をして、ぐったりとしている。
「動物病院に連れていくね」
買い物を父と母に任せて、私は動物病院に向かうことにした。