第七話
俺が転生した付近は変な植物が沢山いたが、キャロットちゃんの家に向かっている道中には荒野が広がっていた。魔人の《森》なのに何で荒野なんだよ。
まぁそんなことはどうでもいいか。
キャロットちゃんの家までどうやって移動しているかというと、走って移動しているのだ。
いやいや魔人の体ってスゲェよ。
唐突にキャロットちゃんが「先導する。」とか言ったら、新幹線も驚くスピードで走り去った。俺も一応魔人だしできるかな?と走ったら、一瞬でキャロットちゃんに追いつく。今ならオリンピックの全ての種目で金メダルを取れますよ、俺。
まぁ魔人の身体能力は凄いんだがそれも大して重要じゃない。
問題なのは走ってるキャロットちゃんだ。聡明な紳士の方達ならここまで言えば分かるだろう。揺れがスゴい。ありがとう神様。
「ついた。」
至福の時間はもう終わりらしい。だが俺は脳内スパコンに映像を焼き付けたので使用に関していつでも問題ない。
え?これがキャロットちゃんの家?
洞窟じゃん。イメージはお城に住んでるかんじだったのに。
キャロットちゃんが洞窟に入る。お邪魔しまーす。
うわっ、洞窟の中にいろんな動物の骨が山積みになっている。野生児かな?
いや待てよ?...こんな光景最近見たな。動物の骨が散乱した洞窟。
あ!俺が食料と水探してる時に見つけた洞窟だ!
も、もしかして、あそこが俺の住処だったのか?ってことは洞窟暮らしが魔人のスタンダードなのか。
やだよう、やだよう。お風呂に入りたいよう。布団で寝たいよう。
「もう一度聞くけど、本当に記憶喪失?」
こちらを振り向いたキャロットちゃんに念押しされる。
「そうだと思います。バブーという名前以外、魔人の知識もこの世界の一般常識も知りません。」
「...信じてみる。いくつか思い当たる節がある。」
おお助かる。美人なだけじゃなくて優しい。
「思い当たる節とは何か教えてもらってもいいですか?」
「魔人は常に膨大な魔力を放出している。そして一般的な魔人は200kmほどぐらいの距離なら魔力の動向を察知することができる。あなたの魔力が最近妙な動きをしていた。」
うおお、聞いといてよかった!キャロットちゃんの寝顔を見に、夜また来ようと思っていたから危なかった!
「まず魔人について話す。」
「お願いします。」
ーーー
ひと通り魔人について教えてもらった。おおまかに
1、魔人は群れない
魔人は大体が排他的で気難しい。魔人種以外を見下しているため、他種族は会話をするのも苦労するとのこと。
じゃあキャロットちゃんはなんで俺と喋ってくれるのか聞いたら、親2人の気性が穏やかだったらしく、それが遺伝しているので他の魔人よりまだマシらしい。初めて会う魔人がキャロットちゃんでよかった〜。
2、魔人は身体能力が高い
これは知っている。やたら視力が高いし、早く走れたりするよね。と思っていたら他にも、飲まず食わずでも1ヶ月ぐらいは不眠不休で動けるとか、50年ぐらい冬眠・夏眠とかもできるらしい。思っていたよりも超人だった。
じゃあ洞窟に骨いっぱい転がってるの何で?って聞いたら顔を赤らめて「これは趣味。」ってさ。かわええ...。俺も食べるの好きだから食いまくるぞ!キャロットちゃんと!
3、魔人は巨大な魔力を持つ
ちょこちょこ聞いてはいたけど、出ました魔力!ファンタジーなら絶対あるよね。人間の平均的な魔力が1としたら、魔人の平均は5000だそうだ。強すぎワロタ。魔力があるなら魔法もあるだろと聞いたらやっぱりあるそうだ。でも魔人はあまり使わないらしい。何でって思ったら顔に出ていたらしく、すぐに「そんなの使わなくても強いから」って教えてくれた。
魔人の魔力は世界一ィィイ!!
4、魔人には固有能力がある
魔人って、ただでさえ強いのに特殊能力まであるらしい。反則的な強さやん。
キャロットちゃんは今までに水を操作する能力の魔人と、2人に分身できる魔人にあったことがあると言った。その魔人は今どこにいるの?と聞いたら「2人とも殺した。」と解答をもらえた。「これは趣味。」とのギャップがありすぎる。
キャロットちゃんの固有能力おーしえて!って聞いたら指を口の前に持ってきて「秘密。」って。ギャップゥー!!
気になる俺の固有能力は、結局分からなかった。
どうやって固有能力を使えるのか聞くと、「生まれた時から使い方が分かるから、教えることができない。」と言われてはどうしようもない。
とりあえず魔人のことは大まかだが終わりらしい。
次に東の魔人についてだ。
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