治安はよくない
前回の続き。
某発展途上国の地方都市。
治安がよいとは言えない。
農村部の小作人があまりの生活苦に耐えかねて、都市部へ。
それでも、仕事に就くことは困難。
その国は、歳入の大半が外国からの援助で、経済は低迷したまま。
都市部で運よく仕事にありつけたとしても、きわめて低い賃金の日雇い。
日給で食べる物を買うと、手元にはお金がほとんど残らない。
その街には数軒の製材所があり、丸太や材木を切削できる機械が。
地元の警察が「人間を切っていないか」調べたが、そういうことはなかった。
その都市で窃盗事件は日常茶飯事。
殺人事件も月に数件は発生していたが、半数近くの事件は犯人が逮捕されていた。
殺害方法が特定され、凶器が発見されると、ホシが見つかる割合は高くなる。
さて、翌月にその国からかなり遠い大国の北極圏で、またしても不可解な殺人事件が起きた。
ギロチンで処刑されたように、首がほぼ水平に切られていたが、
出血等はいっさいなし。
遺体を調べた警官や医師は、この状況について、合理的に説明することができなかった。
「世界の警察官」を自認する国では情報収集につとめたが、
外交関係の冷却がネックになり、断片的な情報を掌握できただけだった。
(続く)