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第12話 王子とデート





「なんていいおてんきなのかしら!ぜっこうのデートびよりだわ!」


燦々と降り注ぐ太陽の下で、私はムフフとほくそ笑んだ。

その隣では、フェリクスが些かげんなりした様子で立っている。


「いや、いやいやいや。いい天気がどうとかどうでもいいから。今気にしなきゃなんねぇことは他にあるから」

「あら、フェルったら、どうしたの?デートにはよいてんきはかかせないようそよ?」

「あのな!百歩譲って外でデートはいいとしても、なんでここなんだよ!?」


フェリクスがそう言って示した方向には、広大に広がる馬術場。


そう。

私は王子達とのダブルデートに、乗馬を選んだ。

と、言うのも。

ちゃんと理由はあるのだ。


「だって、フェルたちもじょうばはするでしょう?」


この国の貴族にとって、乗馬は嗜みだ。

大体6歳くらいから練習を始めて、10歳になると色々な催しにも乗馬で出場したりする。

王子達は言わずもがな、私とリリアンヌ様も勿論乗馬の練習もしている。


「いやいや、だからってなんでデートで乗馬なんだよ?色気もクソもあったもんじゃねぇだろ」


フェリクスは解せない...と眉根を寄せている。


「デートらしくないから、よ」

「は?」

「だから、フェルが言ったとおり、じょうばってデートらしくないでしょ?」

「ああ」

「アドニスさまは、ふつうのデートでまんぞくできる方かしら?」

「...あ、」


フェリクスの表情が、何かに気づいた様にハッとする。

私はふふん、と得意げに笑ってみせた。


「マジラバではガーデンパーティでろくなたいおうもできないアリスにきゅうこんするくらい、“ふつう”にあきていたアドニスさまにふつうのデートでお近づきになろうとするなんて、ぐのこっちょうだわ」


私はそう言って胸を張る。


マジラバでアドニスは、幼い頃から貴族令嬢の“令嬢らしさ”に飽きていた。

王子にお近づきになりたい、という彼女達の願望もアドニスには迷惑な話だった。

そんな中自分に全く興味を持たない無邪気なアリスに出逢って、「この子なら退屈な毎日を変えてくれそう」という、何とも他力本願な事を考えるのだ。


故に、アドニスを落としたくば普通の令嬢では駄目だ。


対して、リリアンヌ様はご令嬢の鏡とも言える方。

(もちろん今回のデートの内容にも難色を示していたが、私が全て上手くいくようにするからと説得した)

とても素晴らしい方だが、アドニスからしたら退屈なその他大勢の令嬢達と変わらないのだろう。


非常に腹立たしくはあるが。


だからこその乗馬だ。


乗馬は貴族なら誰でも幼い頃からやっているものだが、基本的に男女別ですることが多い。

況してやデートになんて、誰も考えない。


そして、一番重要なこと。

リリアンヌ様は大の乗馬好き。


マジラバの設定では、他の令嬢よりも早い5歳から乗馬の練習をしており、馬術は国内で5指に入る程の腕前だった。

この前のお茶会でそれとなく確認したところ、既に大人と同じメニューで練習していると言っていた。


これは、良い。

リリアンヌ様には珍しい“普通”ではない部分だ。

アドニスが興味を持つ可能性は非常に高い。


こうした思惑から、今日のデート内容と相成ったのである。


フェリクスの異論など、知ったこっちゃなかった。


「なるほど、確かにそうだな。兄上は常々「面白いことに出会いたい」と仰っているし、お前の認識は間違ってない」

「でしょう?」

「けどな、一つ問題がある」

「なぁに?」

「お前、乗馬出来んの?」


失敬な。

私はムッとした。


「当たりまえ〇のクラッカーよ」

「え、古っ...」

「わたしだってきぞくのはしくれよ?じょうばくらいならっているわ」


私の言葉のチョイスには思うところがありそうな様子のフェリクスだが、乗馬に関しての心配はしないことにしたらしい。

「え、こいつ、死んだのいくつだ?」「まさか、オバサン...??」とか何とか言っているが、無視だ。


ちなみに私が前〇のクラッカーを知っているのは、前世の父親の影響であって、決してリアルタイムで視聴していた訳じゃない。


まぁ、とりあえずフェリクスの同意を得た私は、どこかワクワクとしながらアドニスとリリアンヌ様の支度が終わるのを待った。



更新遅くなり、申し訳ございません!

次回はまた来週です!

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