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車内販売物語  作者: 白河かや乃
3/3

コーラはアルコールなのか。

「八尋君はどうなの、最近」

ビールの冷たさに少し落ち着いた私は、静かに枝豆をつまんでいる八尋君に話をふった。



姉2人と育ったせいか彼は女性に対する接し方をよく心得ていて、私が愚痴を言っている時も意見せず、ただうんうんと話を聞いてくれる。

そのせいで乗務後、主に私によって頻繁に居酒屋に連行されるはめになっているのだけれども。



「この前コーラ飲んでから出勤したらアルコール検査で引っ掛かっちゃってさあ、俺酒飲んでなかったのに家帰れって助役に言われて」

「なにそれ! コーラのせいなの?」

「そう、後から先輩に聞いてさ、ミントタブレットとかでもたまに反応するんだって」

「聞いてる分には面白いけど実際なったらむかつくかもしれない」

「だろ? 帰ってゲームしてふて寝したよ」

理不尽な事もこうやって笑い話として昇華できるのは八尋君の良い所だ。




「八尋君はさ、仕事辞めたいなーって思ったりする?」

「まあたまには思うけど。ここ給料いいし俺は出世とか興味ないから特急も乗らないし、気楽なもんですよ」

「そうなんだ……」

「来週休みとったから北海道で蟹食べてくる」

「はぁー、いいなあ。こっちは有給なんてあってないようなものだもん」

取れたとしても、疲れて一日中寝て終わりそうだ。

「将来長野の友達とカフェやろうって話してるからそれまでは車掌続けるわ」

「いいなあ! 私雇ってよ」

「よし採用」

「やった」

頭の中にパフェを運ぶ自分の姿が浮かぶ。

……年齢的にギリギリかもしれない。

「でもさ、」

「うん?」

「辞めないでしょ?」

「……うん」

今の仕事は、やっぱり好き。

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