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不器用サラリーマンは異世界で器用になったようです  作者: 水島 鏡
第2章 エントリオン公国
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城下町にて

カイルはイオナに引っ張られ城下町までやってきた


城下町には、多くの露店が立ち並び活気に満ち溢れていた

カイルとイオナは人の合間を縫って進み一件の店の

前で止まった


「イオナどうしたんだ?」


カイルが声をかけるとイオナは呟いた


「ここ私よく来るんだ」


カイルはイオナに連れられるままその店に入った


中には女性用の髪飾りや下着等が売っていた


「イオナ!ここって!」


正直絶句した

彼女もいなかったしこういった店に入る機会もなかった


おちつけこういう時は素数を数えるんだ......


あー!!

ダメだ集中出来ない周りに目がいってしまう


「カイルどうしたの?」


イオナが不思議そうにカイルを見ているが

カイルは既にイオナを直視できないほど緊張

していた


「イオナ、こういう店って普通同性とくるものじゃないか?」


「え? カイルだからいいかなーと思って」


どういう判断基準だよ

カイルならいいってどういうこと

俺ってそういうのに体制があると思われてるの

それともあれか!

幼馴染のあれってやつか!


「カイルちょっと試着してくるから待ってて」


そう言ってイオナは気に入ったもの数個掴んで試着室に

入っていった


カイルは居心地が悪そうに店内を見回しながら

イオナが出てくるのを待った


「カイルー」


「そこにいる?」


試着室越しにイオナの声が響いた


「いるよ」


カイルは早口になりながらも噛めずに言えた自分を

褒めてやりたくなった


すると突然試着室の仕切りが外され下着姿のイオナが

現れた


「こんなのどうかな」


「似合うかな?」


カイルは思わず目が飛び出そうになった


そこには薄い紫にリボンやレースのあしらわれた

下着を身につけた幼馴染がたっていた


「少し派手だけどたまにはこういうのもいいかなって思ったんだけど」


「カイル?」


カイルはフリーズした頭をなんとか起動させた

しかしそれでも混乱は収まらず

店を飛び出してしまった


「カイル、急にどうしたの!?」


後からイオナの声が聞こえるがそれを無視しカイルは無我夢中で

城下を走り抜けた




ーーーーー




カイルはしばらく進んで息を切らしながら壁に

もたれかかった


今でもまぶたを閉じればイオナの姿が鮮明に浮かんできた


カイルは頭を振り考えを切り替えようと努めた


「そういえばここどこだろ」


カイルはいつの間にか少し高台にある大きな木の

前に立っていた


眼前には活気に満ち溢れ人でごった返している城下

そしてその向こうには地平線まで続く草原が広がっている


「綺麗なとこだな」


カイルの髪を心地よいそよ風が撫で

そばでは小鳥が囀っていた


「カイルやっぱりここにいたんだね」


後ろを振り向くと息を切らし滴る汗を拭う

幼馴染がいた

汗が頬をつたい首筋に垂れるのを見ると妙に艶めかしく感じ

先程のことも相まって一層彼女を見ると幼馴染を超えた何かを意識してしまいすぐに目を背けてしまった


「どういうことだ?」


カイルは咳払いをして質問を投げかけた


「どうって忘れたの!?」


イオナは心底残念そうな顔をし説明を続けた


「昔、お互いが小さい頃ここでよく遊んだじゃないか」


「それに、僕と結婚してくれるって…」


最後に行くにつれイオナの声は消えそうなほど小さくなって言った


「それにどうした?」


「なんでもない!」


イオナはそう言ってカイルより1歩前へ出た


「それにしてもここの風がきもちいよね」


そう言ってイオナは背伸びをした


「全くだ」


ふと背伸びをした時に城下に一般の兵士と違う格好をした

人々を見つけた


「イオナ、あの一般兵より着飾った兵士はなんだ?」


「あれは、ギルドの冒険者だよ」


そう言ってイオナは芝生に座り込んだ


「あの格好は、自分を目立たせて仕事を回しやすくするためだよ」


「そうなのか」


ギルドの冒険者たちは明るい色の鎧やローブ飾りの多くついた

剣や杖と言ったものを装備していた


「ってこれ、カイルが教えてくれたことだよ!」


「そうだっけな、あははは」


こんなことまで知ってるなんて色々知ってるんだなカイルって


冒険者たちは仲間と楽しそうに話しながら町の端に消えていった


カイルはふとあることを思い出した

カイルはこの異世界に来たものの何もやることを決めていなかった

元々魔法が使いたかっただけというふしもあるがどんな世界か転生前は知らなかったしましてや自分がこんなことになるなんて夢にも見ていなかった


(漠然とだけど世界を見て回りたいな)


今考えるとそんなことしか思いつかなかった


カイルは先程の冒険者達を思い出し

ギルドに入れば世界を見て回れるんじゃないかと

思い始めた


冒険者になりたいかな?

旅団については次回触れますのであしからず

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