調子に乗りました
カイルはひとしきり喜びを噛み締めると
もう1度魔術書を開き赤の魔法のページを見た
カイルは1人ぼそぼそと独り言を言い終えると
立ち上がり先程よりも下に狙いを定め手をかざした
唱えるのは赤の中位魔法「ヘビーフレイム」
カイルの周りが赤く光だし突き出した手の先に
見たこともない文字の刻まれた魔法陣が現れた
魔方陣は時計回りに回りながらその中心で
特大の火球を練り上げた
カイルがヘビーフレイムと短く吠えると
先程のファイアボールと同じように放たれ泉に落ちた
泉はヘビーフレイムと衝突し大きな水柱をあげ虹を描いた
カイルはヘビーフレイムの反動で後によろめきながらも
自らの打った魔術の威力をしっかりと捕らえていた
「魔術ヤベぇー.....」
彼は1人感動を噛み締めもう一度魔術書を開いた
こうなったら彼は最大火力がどんなものなのか
知らずにはいられなかった
カイルは高鳴る胸の鼓動を抑えつつ
魔術書とにらめっこを続けた
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小一時間がたってカイルは立ち上がり
足を肩幅に開き踏ん張りながら両手を空に突き上げた
唱えるのは赤の上位魔法「地獄の業火」
カイルの足元と
泉の上にヘビーフレイムの時よりも巨大な魔方陣が出現した
カイルは赤く煌々と輝く光に体をつつまれながら
魔方陣を見上げていた
「地獄の業火!!!」
カイルは短く紡いだ詠唱を叫び手を振り下ろした
その瞬間勢いよく魔法陣から巨大な火柱がたち
泉を包み込んだ
カイルは怖気に襲われ腰を抜かして倒れ込んだ
暫くして火柱が止みカイルは恐る恐る泉に顔をのぞかせた
そこには先程まであったはずの泉は消え黒く焦げ付いた
泉のそこがすがたを表していた
カイルは引き攣り気味の頬を泉から背け
一気に走り出した
カイルは走りながらこう思った
(魔術ってこえぇぇぇぇーーー)
そしてカイルは泉をあとにした