へーゲ村を救え
カイルたちは村長の願いを承諾した後
村長にあてがわれた家に案内された
室内はシンプルで生活に必要最低限のものしか置かれていない部屋だった
カイルたちは
今後の予定について村長を交え話し合っていた
「彼らには俺が損害を与えたからおそらくまだそこまで遠くに入っていないと思う」
「私もカイル様のおっしゃる通りだと思います」
「だとするとどこかで体制を立て直して根城に戻るかするんじゃないか」
カイルがそう言うと全員が頷いた
「それなら偵察をしたほうがいいかもな」
「ルチアナは確か隠密行動もできたよな」
「はい、心得ております」
ルチアナは、女神からもらった本に書いてあったのだが
どうやらただのハウスメイドではないらしい
生前のカイルが何を目的としてルチアナを鍛えさせたかは知らないし
なんだか知ったら知ったで面倒そうだから特に触れないでおこうと思う
「村長、ここら辺の地図とかってありませんか?」
カイルがそうたずねると
村長は自らの上着のポケットから
紙を取り出した
「大まかな地図ですけど、こんな感じですかね」
そういって村長が広げた地図には村周辺の村の配置や
その近くにある湖等が書いてあった
「おそらく潜伏するならここしかないだろうな」
そういってカイルは地図の左隅にある森林を指差した
「ルチアナ、少し遠いけど頼めるか?」
「問題ありません」
そういってルチアナはカイルに一礼して
飛び出していった
「さて俺たちはとりあえずルチアナから状況報告を受けるまで暇なわけだがどうするか」
カイルが椅子の背もたれに深く腰掛けて天井を見ていると
イオナが喋りかけてきた
「ねぇ、暇なんだし村の復興を少し手伝わない?」
「そうだな、暇だしそうするか」
「そんなわけにはいきませんよ、あなた方は私たちの客人です」
「そんな方々にそこまでしていただいたら私たちの面目がたちません」
村長は非常に困ったような顔をしてイオナとカイルを交互に見た
「気にしないでください村長、俺たちも好きでやるんですから」
そう言うと村長は納得したようで了承してくれた
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カイルとイオナは村長に案内されて畑にやって来た
畑はかなり酷い有様で
育てられていた食物の苗は踏み潰され
中には燃やされてしまっている畑もあった
「かなり酷い有様ですね」
「えぇ、もうすぐ収穫の野菜もあったのですがこうなってしまってはしばらく野菜は取れないでしょうし、なんとか死守した食料だけでももって後一週間と言う状況ですね」
「カイルさんたちには、この畑の整備を頼みたいのですがよろしいですか?」
カイルたちは承諾して村長から鍬などの農機具を預かり
村民たちに混じって作業を開始した
カイルは身体強化の魔法を使って
人一倍働いた
カイルの働きもあり広大な畑の整備は日暮れ前には片付いた
カイルたちはその夜自分たちの持っていた干し肉も提供し
ささやかな夕食を共にした