やばっ......国からでなきゃ(汗)
エルドは、自分が仕出かした
ことの重大さに気づき全速力で
屋敷に向かって走っていた
カイルが使った
特質系第五錬成魔法『皇帝の尊厳』は
10個の魔法を組み合わせて使う
特質系錬成魔法の中でも特に発動が難しい上位魔法に値する
ただでさえ、適性がないと使えない魔法をカイルのように
無能扱いされていたものが使うこと自体かなり驚くべきことなのに
あろうことか特質系まで扱えるとなれば
かなり厄介なことになるのは目に見えてわかっていることだ
屋敷に戻ると既に荷馬車に
荷物を積み込んみ
まるでカイルの行動を見越したように
ルチアナが立っていた
「カイル様、これからどういたしましょうか」
ルチアナの問いに対し
カイルはなんの迷いもなく
答えた
「ギルドの中立地帯に向かおう」
「おそらくこのままこの国に居座ってもいづらくなる一方だろうからな」
カイルは、ルチアナと共に馬車に乗り込み
国を出立した
ーーーーー
カイルとルチアナは、馬車に揺られ草原を進んでいた
季節的には、初夏にあたり
草原には少し蒸し暑く感じる風が吹いていた
(イオナには悪いことをしたな)
(落ち着いたらイオナに手紙を書こう)
ふとカイルがそんなことを考えると
荷馬車の荷台に動くものがあった
カイルは、とっさに反応し剣を抜き構えた
モゾモゾと動く布はやがて立ち上がり
カイルめがけてよろよろと歩きながら近づいてきた
カイルがその布を剥がすと中から
イオナが出てきた
「イオナ!?」
カイルが戸惑っているとイオナはカイルに抱きついた
「カイル!」
イオナはそのまま泣きじゃくり始めた
カイルは、なんとか泣くイオナをなだめすかし
何故、カイルの馬車に乗っているのかを尋ねた
イオナ曰く、試合の後イオナとルチアナは、共に屋敷に向かって帰ったと言う
帰り道は同じだが屋敷は、違うので途中で別れイオナは自宅に帰った
その後カイルにお祝いの言葉をかけに行こうと
カイルの屋敷に向かうとそこでルチアナがいそいそと
荷物を荷馬車に積んでいるとこを目撃し
なんとなくで荷馬車の荷物に隠れたのだと言う
確かにこのままあの国においておけば
彼女もカイルと同じく無能の烙印を押された人間
カイルがいなくなったことにより
両親や貴族等からの蔑みの目は彼女だけに向くようになるだろう
そう考えるとカイルと共に旅立った方が安全だろう
カイルはイオナがついてくることを承諾した